BMX
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エンド幅は他のほとんどの自転車と共通の100 mm。ハブ軸受け部の開口幅はフレームのリアエンド同様14 mmと3/8インチの2種類がある。レース用と一部のフリースタイル用フォークでは、前ブレーキの取り付けを想定しておらず、初めからブレーキ台座が付いていない。素材はフリースタイルではクロモリ鋼のみ。レーサーではクロモリ鋼に加え、カーボンのブレードをアルミのクラウンで支えたものもよく用いられる。フォークオフセットはフラットが0 - 20 mm程度、その他フリースタイルとレースでは25 - 35 mm程度が一般的。
ハンドル

BMXは車高が低いため、著しいライズにクロスバーと呼ばれる支え棒が入った独自形状のハンドルバーが使用される。素材はクロモリ鋼が一般的であるが、アルミやチタンなどもある。ハンドルバーを構成するパイプの本数によって2ピース、4ピース、8ピースなどがある。フラットランドではハンドル幅をより狭められる4ピースや8ピース、そのほかの競技では2ピースが好まれる。ピース数が多いと固く、少ないほどしなりが出る。パイプの直径は22.2 mmで統一されている。

グリップは伝統的にフランジ(えりまき)の付いた独特な形状のものを使用する。BMX用グリップはたいてい両側に穴が開いており、ハンドルバー端の保護のためにプラスチック、または金属製のエンドキャップ(バーエンド)を被せる。
ステム

ステムはハンドルクランプ径22.2 mm、コラムクランプ径1-1/8インチ(約28.6 mm)のアヘッドステム。BMX用ステムに求められるのは頑丈さと強いクランプ、ある程度の軽量さである。突き出しはフラットで25 - 35 mm程度、その他フリースタイルとレースでは45 - 55 mm程度が一般的で、フラット専用に0オフセットステムやステムとバーを一体化してオフセットを小さく取ったバーもある。ステムの形状としてフロントロード、トップロード等があり、ステムの選択によるハンドルの高さの調節も可能だが、ハンドルの高さはハンドル自体のライズとヘッドスペーサーで調節することが多く、ステムの形は好みで選ばれることが多い。素材は全てアルミ。
シートとシートポスト

BMXのシート(サドル)の用途は

手でつかむ

両膝で挟み車体をコントロールする

技の失敗時に臀部を保護する

休むときに腰掛ける

等である。長時間座り続けることはまずないので、快適性はあまり考えられていない硬めのものが多く、それよりも転倒時を想定した強度、耐摩耗性とシート裏のつかみ易い形状が重視されている。破れにくいように表面をケブラーで覆ったものや、クッションも皮張りも全くないプラスチックボディだけのシートなどもある。

シートの固定方法は伝統的なレールとやぐらを用いるものとピボタル方式のものが主流。ピボタル(pivotal)とはMacneil社が開発した固定方式で、構造のシンプルさと軽量さゆえ発売後急速に普及した。ピボタル方式のサドルは専用のシートポストと組み合わせる必要があり、レール式のものとは互換していない。サドル下とポスト上端にある波状面を噛み合わせ、サドル上面の穴から内部を貫通した1本のボルトによってポストに固定する。

シートポストの径はストリートでは25.4 mmで、アルミ製のものがほとんどである。フラットではシートをつかむことが多いので、シートポストを長くとっていることが多い。その他のフリースタイルでは技の最中に膝等がシートに当たることを嫌いシートを非常に低くするスタイルが多い。
クランクとフロントスプロケット(通常の自転車ではチェーンリングに相当)

クランクはクロモリ鋼かアルミの3ピースが主流。以前は1ピースも多かったが現在はほとんど見られなくなった。クランクの軸(スピンドル)の太さは19 mmと22 mmの2規格に絞られており、このスピンドル径さえ同じならば他メーカーでも互換性がある場合が多い。レーサーではマウンテンバイクのクランクもよく流用される。クランク長はフラットランドでは135 - 165 mm程度から好みで選ばれる。その他のフリースタイルとレースでは170 - 180 mm程度が一般的である。

通常の自転車(MTBやロードバイク)ではクランクが一体になった「チェーンリング」という部品があるが、BMXではクランクとフロントスプロケットは完全に個別の部品になっている。PCDも統一されており、互換性が非常に高い。フロントスプロケットはBMXの顔ともいえる部分で、趣向を凝らした様々なデザインの製品がある。1990年代まではレース、ストリート共に歯数は40T前後と巨大で、鉄板そのもののきわめて重い物が使用されていた。2000年代に入ると車体の軽量化が進み、素材はアルミに、ストリートではスペース的利点からもより小径のスプロケットが好まれるようになる。フリースタイルでは9Tのリアコグドライバーが一般化し、フラットでは18 - 25T程度、その他フリースタイルでは23 - 28T程度のスプロケットを合わせることが多い。レースではペダリングのスムーズさを重視し大きなスプロケットが好まれている。
ボトムブラケット

BMXのボトムブラケット(BB)は現在以下の4種類が存在する。またBMXのクランク軸の太さは19 mmと22 mmの2種類があり、各BBのベアリング内径もこれに合わせて2種類用意されている。

アメリカンBB - 現在では安価な完成車のみに見られる旧式のBB。強度があるが大きく重い。アルミのカップにベアリングが圧入してあり、それをボトムブラケットシェルへ圧入する。ベアリング外径41 mm、カップ外径51 mm。

ユーロBB - カップをネジ式でフレームに固定する。マウンテンバイクなどと互換性のある規格。その軽さと扱いやすさ故、一時期ストリート、フラット共に主流となったが、外径の小ささによる強度不足からストリートではほとんど見られなくなった。レースでは主流であり、フラットでもスパニッシュと共に主流である。ベアリング外径30 mm。

スパニッシュBB - flyバイクが考案した独自規格のBMX専用BB。従来のカップを排し、2個のベアリングとその間に挟むチューブスペーサーだけのシンプルな構造となった。ベアリング外径はアメリカンBBとユーロBBの中間で、強度と軽さのバランスが考慮されている。発売以来スパニッシュBBを採用するメーカーは増加しているが、他社規格を嫌うメーカーはミッドBBを採用する傾向がある。ベアリングそのものを万力のような工具で直接フレームに圧入する。外径37 mm。

ミッドBB - 最も新しいタイプで現在ストリートの主流となっている。スパニッシュBBと同じく、ベアリングを直接ボトムブラケットシェルへ圧入する。ベアリングはアメリカンBBと同じサイズ。つまり、ミッドBBはアメリカンBBのベアリングそのものである。外径41 mm。

アメリカンBBがアルミのカップを採用しているのは、圧入時の変形をカップで吸収するためである。ベアリングを直接BBシェルに圧入するタイプは、BBシェルに対して高い加工精度を要求する。しかし、実際にそのような精度で加工されたフレームは少なく、新品のBBでも圧入直後から回転が悪くなってしまうことがあるため、BB圧入の際に専門工具によるBBシェルのリーマ加工を行い、精度を確保することがある。
チェーン

チェーンシングルスピード固定ギア用の1/2×1/8サイズを使用する。軽快車用の安価なチェーンが使用できるが、カラーチェーンや激しいライディングでのダメージを考慮した高強度チェーンも多く出ている。トラックエンドを持つBMXでは、後輪軸を前後に動かすことによって車体を扱いやすいようにリアセンター長(BB - 後輪軸の距離)を調節する。このとき半コマや1.5コマと呼ばれる特殊なコマをチェーンに組み込むことがある。これらの部品を使うと、奇数のリンク数を選択することが出来、微妙なリアセンター長調整が可能になる(半コマを使わない場合、チェーンのリンク数は偶数のみ選択できる。)。また全てのコマが半コマからなるチェーンも存在する。
ペダル

BMXのペダルにはグリップ力、耐久性、軽さ等が要求される。素材にはアルミ、プラスチック(ポリカーボネート)等がある。ベアリングは安価なボールベアリングとメンテナンスフリーなシールドがある。形はフラットペダルで、グリップ力と耐久性を得るためさまざまな形状をしており、踏み面は広い。クランクに固定するネジの径は、9/16インチと1/2インチの2種類がある。前者は3ピースクランク用、後者は1ピースクランク用だが、1ピースクランクの衰退に伴い1/2はあまり生産されなくなった。

フラットではペグの上に乗っていることがほとんどなので、ペダルは軽量なプラスチック製が好まれる。ストリートでは強度、グリップ力、価格等のバランスがいいアルミ製が主流であったが、ODYSSEY社のTwisted pc pedalの流行をきっかけにプラスチックペダルが主流になった。プラスチックペダルの特徴として

軽い

ぶつけても体へのダメージが少ない

安い

消耗が激しい

靴にやさしい

等があり、金属ペダルの場合は

食いつきがいい

耐久性が高い

ピンの交換可能

等の特徴がある。トレイルでのライディングでは土や泥によるグリップの低下を防ぐため金属ペダルを使用するのが一般的である。レースにおいてはスピードを競うためシマノ社のSPDに代表されるクリップレス・ペダルが主流である。
ホイール

BMXのホイール(車輪)は20インチである。24・26インチホイールのBMX(MTBMX)もあるが、これは「クルーザー」と呼ばれ区別される。大部分が手組みによるスポークホイールである。コンポジット(成型プラスチック)ホイールも少数あるが、これはファッション性を重視したもので、重いため競技には向かない。スポークの組み方は強度の保たれる6本組、8本組が普通。フラットランドではたわみの少ないラジアル組を選択することもある。スポーク数は36本が最も多く、テンションを重視するフラットランドで48本が使われたり、軽量化のためにフロントに32本や28本を選択する場合もある。ロードバイクMTBのようにメーカーが自社部品のみで完成したホイールは一般的ではなく、ユーザーがハブ・リム・スポーク・ニップルを自由に選んで組み合わせる。
ハブ
BMXのハブは堅牢さを重視した設計であり、クイックリリースは使用せずナット止めである。壊れにくくメンテナンスフリーなシールドベアリング使用のものが多くなっている。ハブ軸径は14 mmと3/8インチの2種類があるが、前ハブは3/8インチ軸が主流である。OLD(オーバーロックナット寸法)は前ハブが100 mm、後ろハブが110 mm。BMXの後ろハブには、フリーホイールを使用するハブ、カセットハブ、フリーコースターハブの3種類がある。

フリーホイール - 内部にラチェット機構を持ったギア部品のことで、ハブシェルに切られたネジ部に締め込んで取り付ける。トラックレーサー等と同じもので、以前はすべてこのタイプだった。フリースタイルでは走行性能は重視されないため、軽量化やスペース確保ができる小型のスプロケットのメリットは大きい。しかし、フリーホイールでは取り付けネジの存在によりギアの小型化に限界があるため、主流はカセットハブに移行した。最小歯数は13T。

カセットハブ - ラチェット機構をハブシェル内部に配置し、コグの交換のみでギア数が変更でき、ストリート向けには、専用コグドライバーを使用することによってギアの小型化に対応したハブ。レースやフラットランド以外のフリースタイルでは現在主流である。ギア数の変更はレースではコグのみ、ストリートではコグドライバーの交換により対応する。現在レース向けコグは最小が11T、コグドライバーの最小は8T。ストリートでは9Tが広く普及している。

フリーコースターハブ - ラチェット機構を持たないBMX独自の特殊なハブ。バックスライドハブとも。BMX競技には、後ろ向きに進むという珍しい動作が含まれるが、このときに通常のハブではクランクが逆回転し邪魔になってしまう。フリーコースターハブは、非ペダリング時にギアと車輪の回転が切り離されるような機構を内蔵しているため、後進してもクランクは回らない。フラットランド専用のハブだったが、近年はストリートにも取り入れられるようになった。フリーコースターの起源はコースターブレーキハブ(後ろに漕ぐとブレーキが掛かるハブ)のブレーキ機能を取り除いたもので、当時のフリースタイラー達はこの改造を自分で行いフリーコースターを実現していた。
ストリートでは、後ろハブは右ドライブか左ドライブかを選択する。通常自転車のスプロケットとチェーン(ドライブトレイン)は車体の右側にあってこれを右ドライブと呼ぶが、左ドライブのハブを選択するとドライブトレインを左側に変更できる。メインでグラインドをするサイドの逆にドライブトレインを配置することでグラインド時にスプロケットやチェーンの破損を防ぐことが出来る。


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