BMW・7シリーズ
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7シリーズ(英語名: 7 Series、ドイツ語名: 7er)は、ドイツ自動車メーカー、BMWが製造・販売している大型高級セダンである。
概要

E3系を前身とする大型サルーンである。他のライバルの多くがショーファードリブンカー(オーナーは後席に座り、専従の運転手がハンドルを握る)としての性格を強く持つ中、7シリーズはオーナー自らがハンドルを握る車(オーナードリブンカー)としての性格を強調している点が特徴である。

車名の後のアルファベットは、iがフューエルインジェクション、Aがオートマチックトランスミッション、Lがロングホイールベース、dがディーゼルエンジンを表す。
初代 E23(1977年-1986年)前期型後期型735i 後期型 リア

1970年代に実施されたモデル改称により「7シリーズ」となる。前年に登場した6シリーズ(E24)同様の流麗なスタイルを採用するが、プラットフォームは6シリーズが5シリーズベースであるのに対し、7シリーズでは専用設計となる。

従来の車ではショーファードリブン向けとしてロングホイールベース仕様が存在したが、7シリーズにおいてはボディそのものを大型化することによりこれを解消した。これによりマーケットではメルセデス・ベンツ・Sクラスと完全に競合することになる。

エンジンはE3系から引き継いだ直列6気筒エンジン(ビッグ・シックス)を全車に搭載し、ラインナップはキャブレター仕様の728と730、インジェクション仕様のトップモデルは3.3リッターの733iになった。また研究用にE23ベースの水素自動車も開発された。1979年には全車がインジェクション化され、728i、732i、735iとなる。1980年には2002ターボ以来のターボ車となる745i[注釈 1][注釈 2]を追加。1983年に外装をマイナーチェンジし、フロントグリル、バンパー、サイドミラーなどのデザインが変わった。

日本では当初、バルコム・オート・トレイディングが輸入を行っていたが、1981年昭和56年)のBMWジャパン設立に伴い移管された。

しかし、正規輸入車は厳重な排出ガス対策に伴うパワーダウンが顕著で、日本やアメリカ合衆国に比べて排出ガス規制が遅れていたヨーロッパからの並行輸入が盛んに行われた。また、1980年代中盤はランド安だったことあり、右ハンドル圏である南アフリカからの並行輸入も多く見られた。

日本に正規輸入されたモデル
グレード発売期間エンジン排気量最高出力変速機備考
733iA1977年-1984年直列6気筒 SOHC3,210cc170馬力( - 1979年)
175馬力( - 1982年)
180馬力( - 1984年)3速ATドイツでは1980年から732iに名称が変更されたが、日本仕様車は最後まで733iのままであった。1983年にはこのエンジンを5シリーズに搭載した533iがデビューしている。
735iA1985年 - 1986年3,430 cc185馬力 4速AT(最終型はプログラムセレクター付)ミシュランTRXタイヤを装備。
745iAM30型(M30B34)
直列6気筒 SOHCターボ250馬力標準車の「Bパッケージ」と、バッファローレザーシートなどを装備する豪華版の「Aパッケージ」というグレードが存在。しかし分かりづらかったため、後にそれぞれ「標準車」、「特別仕様車」と改名した。このうち後者では北米向けのL7と同じオールレザー内装にすることも可能だった。当初は4.5 LのV型12気筒を搭載する予定であったが、オイルショックによりその開発を断念せざるを得なかった。

2代目 E32(1986年 - 1994年)740iL735i

初代と比較してさらに洗練されスマートになったボディが特徴で、空気抵抗係数(Cd値)は0.32を達成した。また、先代で実現できなかったV型12気筒エンジンがついに完成し、750i/iLは第二次世界大戦後のドイツ車で初のV型12気筒エンジン搭載車となった。750iLの登場を受け、メルセデス・ベンツではW140の開発がずれ込むことになる。

トランスミッションは4速もしくは5速ATに加え、5速MTも存在したが、日本にはAT車のみが正規輸入された。

日本に正規輸入されたモデル
グレード製造年エンジン排気量最高出力備考
735iA-1992年直列6気筒 SOHC3,430 cc211馬力最終年には、ウッド部分をエボニーとした、特別仕様車が用意された。
この時期すでにV8の4.0 L/3.0 Lモデルが発表されており、生産調整の意味合いもあった。
735iLA1988年 - 1992年
750iLA1988年 - 1994年V型12気筒 SOHC4,987 cc300馬力後席中央にコンソールを設け2人掛けとし、乗車定員を4人とした豪華な750iLAハイラインも販売された。
730iA1991年 - 1993年直列6気筒 SOHC2,986 cc188馬力右ハンドルのみの設定。730iA-V8が発売された後も、価格上昇による顧客離れが懸念されたために併売された。
750iA1991年 - 1994年V型12気筒 SOHC4,987 cc300馬力
730iA-V81992年 - 1994年V型8気筒 DOHC2,996 cc218馬力ムービングパーツやフライホイールを過度に軽量化したため、アクセルオフと同時に大きなフリクションを感じる、
回転フィールの良くないものであった。
740iA
740iLA3,981cc286馬力モデル末期の1994年に専用のレザーシート、木目パネルを装備した「740i/iLエディション7」が発売される。

3代目 E38(1994年 - 2001年)

BMW・7シリーズ(第3世代)
E38型
E38
概要
販売期間1994年 - 2001年
ボディ
乗車定員4 - 5 人
ボディタイプ4ドアセダン
ストレッチリムジン(L7)
駆動方式FR
パワートレイン
エンジンV8・V12
変速機5速AT
5速MT
6速MT
車両寸法
ホイールベース2,930 mm
3,070 mm(750iL)
3,320 mm(L7)
全長4,985 mm
5,125 mm(750iL)
5,375 mm(L7)
全幅1,860 mm
全高1,435 mm
1,425 mm(後期型M-Sport)
車両重量1,870 kg(後期型735i M-Sport)
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3代目7シリーズ。当時の3シリーズ(第3世代/E36)に似せたヘッドランプを採用。空気抵抗係数(Cd値)は0.30である。エンジンは750の排気量拡大を除けば基本的に従来モデルを踏襲する。

1996年に740の排気量拡大と同時にトランスミッションが変更になり、全車マニュアルモード付きのステップトロニック搭載となる。1998年にはフェイスリフトを行うと共に、V型8気筒モデルにエアロパーツやスポーティーな内装のMスポーツ仕様が追加される。日本で導入されたモデルは下表のとおりになるが、欧州ではV型8気筒DOHCのディーゼルモデル740dが発売された。またL7は750iLのホイールベースを250 mm延長し、後席の居住性を上げたストレッチリムジン。後席に大型センターコンソールが付加され、乗車定員は4人。東アジア(日本など)および中東、欧州地域のみで販売されたモデルである。その他のモデルとして、728i、728iL、730i、730iL、735iL、740iL、725tds、730dなどのモデルも製造されたが、日本には正規輸入されなかった。また、ハノーヴァー万国博覧会での移動用に水素エンジン仕様の750hLも少数製造された。
また、730i等には5速あるいは740iのみ6速マニュアル仕様車も存在したが、これも、日本には正規輸入されず、下記、日本正規輸入モデルのオートマティックやステップ・トロニック車のみが輸入された。

日本に正規輸入されたモデル
グレード製造年エンジン排気量最高出力
740i-1996年V型8気筒 DOHC3,981 cc286馬力
750iL1995年 - 2001年V型12気筒 SOHC5,379 cc326馬力
735i1996年 - 2001年V型8気筒 DOHC3,497cc235馬力
740i4,398 cc286馬力
L71997年 - 2001年V型12気筒 SOHC5,379 cc326馬力

4代目 E65/E66/E67/E68(2001年 - 2009年)

BMW・7シリーズ(第4世代)
E65/E66/E67/E68型
フロント(前期型)
リア(前期型)
フロント(後期型)
概要
販売期間2001年 - 2009年
ボディ
乗車定員4 - 5 人
ボディタイプ4ドアセダン
駆動方式後輪駆動
パワートレイン
変速機6速AT/5速AT
車両寸法
ホイールベース2,990 mm(E65)
3,130 mm(E66)
全長5,030 mm(E65)
5,040 mm(E65LCI)
5,170 mm(E66)
5,180 mm(E66LCI)
全幅1,900 mm
全高1,490 mm
車両重量1,900 - 2,220 kg
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