BE_FREE!
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『BE FREE!』(ビー・フリー)は、江川達也漫画作品、またそれを原作とする映画作品。

本作は江川のデビュー作であるが、『コミックモーニング』(講談社)に1984年7号から1988年29号まで、足掛け5年連載し、単行本12冊になったヒット作品である。高校の若い数学教師笹錦洸(ささにしき あきら)が題名通りに自由奔放豪快破壊的に活躍し、その発想の豊かさから、生徒はおろか民衆の信頼まであつめ、30年後文部大臣になるという、荒唐無稽な話。絵は彼の作風の劇画調である。
あらすじ

笹錦 洸(ささにしき あきら)は、壱河市立明北高等学校[1]に赴任したばかりの数学担当の教師である。生徒に人気はあるが、授業の内容はお粗末であり、校長達の評価は最低である。

そんな彼を慕う伊福部や丘野といった女生徒もいるが、彼は、隣席の同じ数学教師である島本 圭子(しまもと けいこ)に思いを寄せ、朝昼妄想をめぐらし、将来は彼女と結婚したいと願う。

そこに突如登場したのは虎子光 秀一郎(こしひかり しゅういちろう)という大金持ちで二枚目でスポーツも仕事もできるというスーパーマン。虎子光は、校内で目を付けた容姿端麗な美少女生徒達を次々と陵辱し、共依存技能を悪用して和姦に持ち込む事で自分の奴隷とし、校長まで権力で脅迫し学校全体のシステムを、能力主義による管理教育に変えていってしまった。

笹錦は、問題児・不登校児ばかり集めた、学年無しのさくら組の担当にされてしまう。さくら組の生徒はほとんどが不登校なので、笹錦は一人ずつ家庭訪問して出席者を増やす努力をする。しかし、肝心のさくら組の生徒はまわりの生徒に迫害されて、能力主義・差別主義・管理教育のあまりのひどさに不満が爆発した笹錦は虎子光を殴り倒し、オートバイで学校中を走り回って荒らし、ついには建設重機でコンクリート校舎を全壊してしまう。

当然クビになり、行方不明となるが、彼は突然「笹錦洸一」と名乗り生徒として登場し、皆が唖然とする中、さくら組の生徒に納まってしまう。無収入の彼は公園のベンチで寝起きしているが、島本圭子にプロポーズしてついに受け入れられる。

なんとなく平和な日々が戻るが、以前さくら組生徒の敵討ちでひどい目にあわせた暴力団岩尾組が、本格的な復讐を始めた。対象は笹錦・島本・さくら組生徒全員である。こうしてさくら組と岩尾組の全面戦争が始まるが、東大時計台上に追い詰められた笹錦と島本は、なんとヘリコプターからの射撃のなかをかいくぐりセックスをし、笹錦は想いを遂げ、警察と暴力団の大抗争の中をアドバルーンで脱出する。

ほとぼりをさますため、笹錦は島本とさくら組生徒全員(そして、失敗したため屋敷を追い出された虎子光兄妹)を引き連れ、南海の無人島で1か月共同生活をする。ところが笹錦の手違いで食料を持ってきていないことが解かり、一同愕然とするが、何も無いところから始まる生活が皆の才能を活性化させ、団結力も強くなる。

帰国後、笹錦は元の明北高校の校長となってしまう。生徒が一丸となって、世の中を変えようと、笹錦を国会議員にしようと資金集め等の活動をし、学校を楽しい場所とし、地域住民にも解放される。教育委員会も地元警察もこの手腕に脱帽してしまい、岩尾組とも和解し、地元住民の信頼は抜群となり、ついに笹錦は国会議員に当選する。しかし、これに激怒した日本政財界 影の支配者「虎将軍」こと元祖虎子光秀一郎の手によって笹錦は告発され、10年以上の懲役を受ける。

30年後、笹錦と結婚していたのは丘野だった。島本圭子は獄中の笹錦を待つことができず見合いで政治家と結婚し、夫無き後は自分が政治地盤を受け継いで、ついには総理大臣となる。彼女は、笹錦を文部大臣に指名し、笹錦は(第一話からの予告通り)文部大臣になった。皺だらけの老人となった圭子は笹錦と再会する、しかし、彼の外貌は30年前とまるで変わっていなかった。
登場人物
明北高校
教師
笹錦洸(ささにしき あきら)
本編の主人公。しかし、本当に人間かどうかはよくわからない。作者自身も「そいつがいつ生まれたのか誰も知らない」と、物語の終わりに書いている。新卒の数学担当教員として赴任したばかりの若者。彼の主な行動は
上記のあらすじで書かれている。連載当初は島本圭子に片思いする好色な一青年教師として描かれていたが、しだいに行動が人間離れしてくる。オートバイ通勤をしており、曲芸のように乗り回すことが出来る。学校で大暴れした時オートバイは大破したが、ホームレスになってからもなぜかオートバイは所有している。好色さにかけては人後に落ちるものではなく、「全身性器」と例えられている。多くの女生徒には「スケベ大王」呼ばわりされ嫌悪されているが、彼を熱烈に慕ってくれる女生徒もいる。着任したばかりの時、隣席の美人数学教師島本圭子に一目惚れし、学校のトイレでオナニーして、ティッシュの付いた陰茎を露出したまま廊下を歩いて大騒ぎとなり、「おなにぃ野郎」とあだ名を付けられた。島本圭子は、それを嫌がらず、むしろ生徒に慕われている印だと言ってくれて、これで彼女への思慕は絶対的なものとなる。その後も、毎日のように島本圭子を妄想して毎晩オナニーをしているようだが、「オナニーは1日3回まで」と禁じたくらいだから、自然状態では1日何回しているのか見当も付かない。彼の本命は島本なのだが、相手が美人だと見境無くセックスする(ただし、18歳未満は対象外のようである)。精力絶倫で回復力抜群。一晩に53回して、相手の女をして「バケモンだなこいつ」と言わしめている。なお、伊福部や冴子の発言から種無しと思われる。彼の戦闘能力は超人的であり、学校を破壊した時、最初はオートバイで学校中走り回ったが、階段を駆け上がり、手すりの上を走り、窓から飛び出し向かいの校舎に飛び移りといった特撮レベルのアクロバットを披露した。岩尾組との抗争などでは、どこから持ってきたのか、特殊な機械・兵器を繰り出し、手品を見ているようであった。初期には、相手の体力を10分の1にするガスという恐るべき秘密兵器を愛用していた。変装術も得意で、まるで別人に化けられる。後述する虎子光秀一郎・冴子・島本圭子(後二者は女性)に化けて、まるでばれなかった。常に人の予想の二枚も三枚も上を行く、突拍子も無い男である。苗字のネーミングはコメの品種ササニシキに由来。
島本圭子(しまもと けいこ)
本編のヒロイン。笹錦より1歳年上で、眼鏡をかけ、ストレートのセミロングの黒髪を品良く左右に分けている。(前髪は分けていない。)生徒の人望も厚く、美人なので男子生徒の人気も高い。そのため、一度生徒に強姦されかかったこともある。品行方正でセックスに関してはかなり保守的な思想の持ち主で、笹錦に惹かれながらも、彼のあまりに乱れた性生活にショックを受ける。笹錦がクビになったあと、さくら組の担任となるが、そこへ笹錦が生徒として現れ、混乱してしまう。彼のプロポーズを受け、家族に紹介し、東大の時計台の上で性交するも、笹錦が懲役刑に服することになったため両親の勧めた縁談で結婚することとなり、刑務所の面会室で泣きながらそれを詫びる。結婚相手が政治家だったため、夫の死後地盤を受け継ぎ政治家になり、30年後になんと総理大臣となり、笹錦を文部大臣に指名する。南海の孤島で、女性が次々服を脱ぎ捨てオールヌードで生活し始める中、最後まで服を脱がなかった。千葉市在住。最寄り駅はさくらやま駅という架空の駅であり、家族構成は父、母、そして妹。妹はメガネをかけていないがよく似ている。
虎子光秀一郎(こしひかり しゅういちろう)
明北高校に赴任してきた若い数学教師。笹錦より1年後輩になる。虎子光グループの御曹司。二枚目で運動神経抜群で東大卒と来ているので、たちまち女生徒の人気者になるが、彼は可愛い女生徒を次々と毒牙にかけ、自分の言いなりになるグループ(虎の子親衛隊)を作っていく。だが、彼の本来の目的は将来行おうとしている民衆の管理システム構築のひな形として教職を選んだのだった。彼の手によって、明北高校は完全な管理システムにおかれ、虎子光は得意の絶頂だったが、笹錦の暴走であえなくそのシステムは崩壊する。本人も知らぬ間に笹錦にマインドコントロールされていて、最終的に自分自身の精神はおろか肉体すらコントロールできなくなってしまう。支離滅裂になってしまった彼を救ったのは、笹錦とさくら組だった。彼の作ったコンピューターシステムは、その後笹錦が改造・発展させ、より人間性の有るシステムへと変えられてしまうが、彼はそれに礼を言っている。彼と妹の冴子は実は異父兄妹の孤児であったが、虎子光グループ総帥元祖虎子光秀一郎の後継者候補の一人となり、彼が明北高校に来た段階では、後継者となるか影武者となるかの試験段階であった。結局、彼は大失敗をしたため、影武者にもなれず、妹とともに屋敷を追い出されるが、笹錦とさくら組に支えられ、南海の島へ妹と一緒につれていってもらえ、妹の膝枕で平和な眠りの日々を過ごせた。苗字のネーミングはコメの品種コシヒカリに由来。
虎子光冴子(こしひかり さえこ)
虎子光秀一郎の妹。そうとは知らず笹錦が海辺のテントで一晩中セックスをする。兄が赴任した年に教育実習生として明北高校に来て笹錦を仰天させる。島本圭子の前で性交したことをほのめかされ、潔癖な島本の逆鱗に触れるが、知恵を働かせ窮地を脱する。翌年正式に同校の教員となり島本の担当クラスを引き継ぎ。笹錦とはセックスフレンドの関係をずるずる続ける。美人だが冷淡そうな容貌なので、性格が悪いように取られてしまうが、結構思いやりがある。髪が金髪なのは、外国人の母親の遺伝らしく幼い時から金髪であった。孤児院でも金髪であることを理由にいじめられ、兄の秀一郎はそれを必死で庇った。
早川かおり(はやかわ かおり)
作中は「カオリ」と呼称される冴子の親友。いつも二人で一緒にいるが、レスビアンというわけではないらしい。冴子とセットの出演ばかりで、単独出演は第64話くらいである。冴子より大人しめの性格で、人柄も穏やかである。冴子と共に教育実習生として明北高校に配属された翌年、校舎破壊後に冴子と共に教師として正式採用。島本の後任として冴子と共同で2年A組を担任。南の島では登場が無かったが、最終回の同窓会では虎子光と並んで登場する。
如月太郎(きさらぎ たろう)
もと全共闘の闘士。生徒を理解しようと努めている、教育者の鏡のような人。虎子光の管理教育に対して、ファシズムだと反対し、管理されない教育を取り戻そうと考え、笹錦を共闘にさそうが、自分自身が田舎の分校に飛ばされてしまう。数ヵ月後笹錦が校長になったとき、教頭として戻ってくる。自分に良く似た顔をした小学生の息子がいる。
歯車比呂志(はぐるま ひろし)
男性教師。悪人ではないが、名前の通り組織の歯車体質で、ガチガチの保守思想の持ち主。島本圭子にプロポーズをするが、これがきっかけで、圭子はかねてからされていた笹錦のプロポーズを受ける決心をする。良くも悪くも組織の歯車体質な為か、笹錦統治下の明北高校では今までと一転し女生徒に手を出そうとしたり、笹錦の選挙出馬に対し現実的見地から否定的な意見を言いながらも、当選時は皆と共に大喜びしていた。
校長
ことなかれ主義の権化。笹錦や虎子光など、過激な教師が赴任してきて心が休まることが無い。最後は、如月先生と入れ替わりに田舎の分校へ飛ばされてしまう。
教頭
校長の腰ぎんちゃく。

熊野(くまの)男性教師。虎子光統治下のクラス編成ではスポーツ特待クラスの3年B組を担任。筋骨隆々で広い肩幅にTシャツ、首にはホイッスルを下げる典型的な体育教師。特に活躍はないが、丘野が3年進級時に編入されたクラスの担任として登場し、「このクラスにいれば勉強できんでも推薦入学で大学はOKじゃ。しかも体育の授業は今までの3倍だ」というセリフが、虎子光が担任する前出の3年A組との立場の違いを説明する印象的な役割となっている。
生徒(さくら組関係者)
伊福部昭子(いふくべ あきこ)
女生徒。第1話から最終話まで登場した。自由奔放にして寛容な人物で、ある意味笹錦の最大の理解者であり、波長も似ている。物語の
キーパーソンで活躍することが多い。美人で少しポッチャリ目。セミロングのウェーブヘアを右上でポニーテールのように結んだ、ちょっと変わった髪形。


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