BD-ROM
[Wikipedia|▼Menu]
これによりBD-Rでも擬似的に(BD-REDVD-RAMのように)リライタブルメディアとして手軽に扱え、PCとの親和性が高まることや、書き込み時のファイナライズ処理を必要としないことといったメリットがある。

さらにブルーレイディスク(BDMV,BDJD,およびテレビ放送をダビングしたBDAV)では、DVDCSSCPRMに代わってAACSと呼ばれるコピーガードが搭載されている。AACSはBDレコーダーなどでは最新作のBD-ROMの挿入によって、インターネットへの接続を経由せずとも自動的に暗号鍵が更新されるが、PlayStation3をはじめとしたゲーム機、およびPC上のブルーレイ再生用ソフトウェアはインターネット回線への接続を経由し、プレイヤーやOSの更新を行わなければAACSを最新のバージョンにすることができなくなるよう対策されている。AACSは毎年2月ごろに更新される。[3]
転送速度

等速は36Mbpsすなわち4.5MB/s。これはDVDの転送速度を1倍速(1.4MB/s)として、約3倍速に相当する。BD-ROMは1.5倍速の54Mbpsすなわち6.75MB/sが標準転送速度である。追記型ディスクであるBD-Rは現在6倍速の216Mbpsすなわち27MB/s、書き換え型のBD-REは2倍速の72Mbpsすなわち9MB/sまで規格化され、BD-R/REディスク、BDドライブが商品化されている。なお、6倍速記録に対応したBD-Rに、12倍速で書き込み可能なBDドライブも発表されている。
保護層「#耐久性」も参照

BDの最大の特徴として、保護層(カバー層)が0.1mmであることが挙げられる。DVD、HD DVDは0.6mmでCDは1.2mmである。
拡張性

Blu-ray Discは、1枚のディスクの多層化により大幅な容量の拡張が可能である。BD-ROMに関しては8層構造までが学会発表済みであり、実用可能であると考えられる。これが実現すれば1枚のディスク(25GB×8層)で容量が200GBを超える光ディスクメディアが誕生することになる。BD-RE/BD-Rの記録型光ディスクについては片面4層(128GB)構造までがBDXLとして開発済みである。

TDKは2006年4月26日、「33.3GB×6層」の200GBの追記型Blu-ray Discを光ディスク関連技術の国際会議「ODS 2006」で試作品として発表した[4]。1枚のディスクにHD映像を約18時間分格納できる。信号処理技術の進歩で1層あたりの記憶容量が拡大したため、各層あたり33.3GBのデータが格納できるようになったという。

2008年1月24日ソニー発表によれば、BD用などの記録・再生光ディスクドライブの薄型化・低コスト化できる光集積デバイス(レーザカプラ)を日亜化学工業と共同開発した。高効率の1ビーム光学系を採用し、さらに独自の小型パッケージング技術を活用したことで厚み3mm未満、面積14mm×7.4mmと小型・薄型化を実現。BDなどの2層メディアでの信号読み出しを最適化し、安定的な記録・再生を可能にするドライブや光学ピックアップが設計できるようになるという。BDドライブの薄型化とコスト低減に向け、2008年内に量産化を目指すとした。

2008年7月7日パイオニアはBDと互換性を有する400GB光ディスク技術を開発したと発表[発表 9]。BDと同じ25GBの記録層を16層に積層した再生専用光ディスクだが、記録型ディスクにも応用可能という。また、対物レンズの光学的仕様がBD規格と同一で、互換性維持が可能。

また、パイオニアのロードマップによれば2008年から2010年にかけて再生専用ディスクを開発し、さらに2010年から2012年にかけて書き込み・書き換え可能ディスクの開発を行うとし、2013年には記録層が40層で記録容量1TBの再生専用ディスクが登場する予定となっていたが[5]、商品化はされていない。

2010年、TDKイメーション[6])は片面16層で容量512GBの光ディスクを開発したと発表した。両面記録では容量1,024GB(1TB)となり、世界初の1TB級の光ディスクを実現した[7]

2014年5月13日、パイオニアとメモリーテックは片面256GB/両面512GBの「データアーカイブ用 次世代大容量光ディスク」を発表した[8]
小型メディア

12cmディスクのほかにビデオカメラ向けの用途での使用などを目的とした8cm光ディスク(BD-R/BD-RE)が規格策定済み。容量は1層で7.5GB、2層で15GBとなる。現在1層7.5GBのみが商品化されている。
環境への配慮

2004年4月15日凸版印刷とソニーは、「材質の51%以上が紙のディスクを共同開発した」と発表[9][10]。近いうちに紙の割合を70%以上まで引き上げると発表している。多くの自治体において、燃えるゴミとして捨てることが可能となる。また、日本ビクター(現:JVCケンウッド)やパイオニアはトウモロコシの澱粉(デンプン)から合成されたバイオプラスチックによるディスクを開発した[11]。両社の技術や原料は同じだが、製法が若干異なる。
ProFile

BD-ROMでは、ビデオデコードやBD-Jを必要としないオーディオのみのプレーヤープロファイル(BD-Audio)を含む4つのBlu-rayディスクプレーヤープロファイルが策定されている。なお、ビデオベースのプレーヤープロファイル(BD-Video)においてはBD-Jが必須である。

 BD-AudioBD-Video
Grace PeriodBonus ViewBD-LiveBlu-ray 3D
Profile 3.0Profile 1.0Profile 1.1Profile 2.0Profile 5.0
内蔵メモリ要件不要64KB64KB64KB64KB
内蔵ストレージ不要オプション256MB以上1GB以上1GB以上
二次ビデオデコーダー
(ピクチャ・イン・ピクチャ)-オプション必須必須必須
二次音声デコーダーオプションオプション必須必須必須
仮想ファイルシステム不要オプション必須必須必須
インターネット接続機能なしなしなし必須必須

BD-Live

インターネットから追加コンテンツやゲームなどを行える機能である(BD-ROMプロファイル2.0)。BD-Liveに対応したソフトとBD-Liveに対応したBD再生可能機器(PlayStation 3など)が必要である。追加データの記録は再生機器のハードディスクに記録される。BD再生専用機などハードディスクを持たないプレーヤーではUSBメモリなどの外部記録媒体を用いる必要がある。この機能は2010年ごろに一時的に普及したのみで現在はほとんど使用されなくなったが、AACSの都合上ブルーレイプレイヤーはインターネット接続が必須である。
Blu-ray 3D

主に2010年以降に登場したBlu-ray Discの派生規格。Blu-rayに対応した全ての機器でBlu-ray 3Dが視聴できるわけではなく、対応しているゲーム機はPlayStation 3PlayStation 4Xbox Oneシリーズのみである。通常の方法での視聴には専用規格の3D眼鏡、およびHDMI伝送で3D映像に対応したテレビも必要である。それらを用意できなかった場合、Ultra HD Blu-rayのように映像のダウンコンバートは行われないので映像を一切視聴できなくなる。ただし、Blu-ray 3D用の映像とBlu-ray Disc用の映像を両方含んだBD-ROMも存在する。
言語設定

DVDでは容量などの都合上から不可能であったが、Blu-ray以降はリージョンコード以外のデータを国際間で共通させたデータのディスクを製造できるようになった。また、Blu-rayプレイヤーに設定された二つの地域情報により、一部の字幕・音声を選択できなくなるような仕様にすることも可能である。また、設定上可能な言語数もDVDより大幅に増加し、古語に該当する言語も追加されている。

例としてPlayStation 3の場合、リージョン以外の二つの地域情報を変更できる設定項目は「BD / DVD - 視聴年齢制限使用地域」や「BD/メニュー言語」などが該当する。前者を変更した場合、BD-ROM内の許諾画面の言語が変更される。このように、Blu-rayには三つの言語・リージョン設定の項目が存在する。Blu-rayのリージョンコードを再生機器側から変更することは不可能。
規格・フォーマット

DVDでは読み出し専用規格(ROM型)を先に策定したために、書き込み型フォーマットの策定では規格が乱立した。また、CDやDVDでは初期の再生専用ドライブでは書き換えメディアは反射率が低いため、読み込めないという問題があった。これらの反省からBDでは書き換えメディアフォーマットを先に策定して、共通の仕様にて読み出し専用メディアにも対応する方向で開発が進められた。したがってBDでは反射率の問題は発生しない。また、現行メディアとの併用も考慮し、波長や基板厚の異なるCD/DVD/BDに1つの光ヘッドで対応するための、いわゆるユニバーサルプレーヤー向けの技術開発も当初の段階から行われた。

BD-RE Ver.1.0以外はベアディスク(bare disk, カートリッジに入っていないむき出しディスク)でカートリッジはオプション。ベアディスクタイプの容量は25GB(1層)と50GB(2層)のほか、後発のBDXL規格で100GBと128GBが製品化されている。しかし、それ以上の容量の商品化はいまだにされておらず、Ultra HD Blu-rayでも同様。

ディスクの規格BD-RE Ver.1.0BD-RE Ver.2.0以降BD-RBD-ROM
単層ディスクの容量23.3GBまたは25GB25GB
カートリッジ必須オプション
ファイルフォーマットBDFSUDF
アプリケーションフォーマットBDAVBDMV
著作権保護技術BD-CPSAACS
記録速度1x1 - 2x6x1.5x(再生速度)

物理フォーマットは以下の各節の通りである。
BD-R

BD-R(Blu-ray Disc Recordable)は、ライトワンスディスクである。BD-Rでは記録層に「無機系記録材料」または「有機系記録材料」を使用する。無機系は経年劣化に強いが高価である一方、有機系は従来のDVD-Rなどと同じものであり、製造コストが安いが経年劣化しやすい。当初は無機系ディスクの価格が高かったが、現在では価格にほとんど差がなくなったため、有機系記録ディスクはしだいに販売されなくなった。
BD-R Ver.1.1

物理規格はハードコート技術を前提とした表面の強度の規定が追加されたため、ベアディスクが基本となっている。

記録速度は1 - 2倍速に対応。

ファイルシステムはUDF 2.6。

アプリ規格はBD-RE Ver.1.0と同じBDAV規格。

著作権保護技術はAACSを使用。
BD-R Ver.1.2

物理規格はVer.1.1と互換性を保ったままであるが、無機系記録材料の場合は4倍速記録対応になり、有機(色素)系記録材料のディスクの規定(1 - 2倍速)が追加された。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:135 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef