Android 4.4以前のバージョンで動作するアプリケーションは、基本的にはDalvik仮想マシン(VM)上で動作する。DalvikはJavaのオープン実装であるApache Harmonyをベースとしているが、Java APIセットからはSwingやAWTなどが除去され、Android専用のUIフレームワークや独自ライブラリなどが追加されている。Java CDCのAPIは、全てではないが、概ね含まれている。なお、オラクル(旧:Sun)Javaの互換性テストを通過していないため、正式なJavaではない。APIセットはJava Platform, Micro Edition(Java ME)とも異なる。Android 7.0 Nougat以降はJava APIライブラリの実装がOpenJDKベースになった[56]。
Googleから提供されているソフトウェア開発キットでは、Javaプラットフォームによるプログラミング環境と、C/C++による開発がサポートされている。Java以外にも、Javaプラットフォーム向けの複数の言語(Scala、Kotlin)で書かれたプログラムがDalvik/ART上で動作する。Java Native Interface(JNI)を利用して、JavaとC/C++間で相互運用することも可能である。Android 2.3以降ではNative Activityのサポートにより、使用可能なAPIの制約はあるもののC/C++のみでアプリケーションを開発することも可能になっている。また、.NET Framework互換環境の1つであるMonoもAndroidに対応しており、XamarinとMicrosoft Visual Studioを利用することで、.NET言語(C#/F#)を使用してAndroidアプリケーションを開発することができる[57][58]。
Android 4.4(KitKat)からは、デベロッパー向けに新たな仮想マシンAndroid Runtime(ART)が実装された。ARTは、Dalvikよりもアプリケーションの動作効率などを向上させることを目的に開発された[59]。Dalvikの場合、多様なハードウェアに対応できるよう、アプリを中間コードの状態で保管しておき、実行直前にネイティブコードに変換して動作させるJITコンパイル方式が採用されている。一方でART仮想マシンは、予め最初からネイティブコードに変換しておくため(ahead-of-time:AOT)、実行速度や動作速度が向上する[60]。Android 7.0以降のARTではAOTとインタープリタとJITをミックスしたハイブリッド手法が採用された[61]。
なお、Android 4.4では依然としてDalvikが標準となっており、ARTを用いるためには開発者向けオプションで設定が必要である。ただし、アプリケーションによってはART上では正常動作しないものもあり、Dalvikとの完全互換は保証されていない[62]。
Android 5.0からは、ART仮想マシンが標準となった。5.0に搭載されたバッテリー改善システムと、ARTの効率性の良さという組み合わせによって、バッテリー持続時間がAndroid 4.4と比較して1.37倍と大幅に伸びた[63]。 ブートローダー(bootloader)とは、デバイスの電源を入れた際にフラッシュメモリ上にインストールされたLinuxカーネルを読み込み、そこからAndroidを起動させるシステムである。パソコンで例えると、BIOSという部分に相当する。ブートローダーのインターフェースは、一部の端末でアクセス可能である。多くの場合は、電源ボタンと音量ダウンボタンを同時押ししながら電源を入れて起動させる事ができる。起動後に表示されるインターフェースは、fastbootモードとも呼ばれる[64]。ほとんどの携帯端末ではブートローダーにUbootが使用される。 アプリケーション開発用にはAndroid SDK(Software Development Kit)が、ランタイムとライブラリの開発用にはAndroid NDK(Native Development Kit)が無償提供されている。SDKとツール類は後述のAndroid Studioに含まれているほか、単独のコマンドラインツールも利用可能である[65]。Android SDKに含まれる通信ツール「Android Debug Bridge」(adb)によって、Androidデバイス(携帯電話機/タブレットなど)とホストPCとをUSBで接続して、アプリケーションプログラムをデバイス上で実行しながらPC上でデバッグすることができる。Googleが有償で提供するSIMロックフリーの開発専用携帯電話機や他社の専用の携帯電話機エミュレータでないと、低レベルのランタイムとライブラリを書き換えることはできない[40]。統合開発環境は、Android Studioが推奨されている。Android Studioの実行環境つまりホストとして対応しているOSは、Microsoft Windows、macOS、Linux(Ubuntuなど)、ChromeOSである[65]。Visual Studio、IntelliJ IDEA、RAD Studioなど他の統合開発環境もAndroid開発に対応しているものがある。 当初はアプリケーション開発にEclipseと専用プラグイン(Android Development Tools:ADT)が利用されていた。Googleは、2013年5月15日に開催されたGoogle I/OでAndroid Studioと称する新たな統合開発環境を開発中であることを表明した[66]。これはIntelliJ IDEAをベースにしたオープンソースによるAndroid専用の開発環境であり、ビルドツールとして従来のApache AntではなくGradleを採用している。また、レイアウトのデザインもよりグラフィカルで端末実機のイメージに近くなるとされる。2014年12月8日に正式版1.0がリリースされた[67]。これに伴い、Eclipse用プラグインのサポートは2015年に終了した。 Android SDKでは、Android Virtual Device(AVD)と呼ばれるPC上で動作する仮想デバイスを用いることができる。対応CPUと同様にARM、MIPS、x86の3種類のアーキテクチャをエミュレーションするソフトウェアがSDKに同梱されており、これにロードされるシステムイメージもAndroidバージョンごとにそれぞれ提供されている。ユーザーがこれらを選択して、任意のAndroidバージョンとCPUエミュレータの組み合わせによるAVDを作成する。ただし、一般的なエミュレータと同様、他のコンピュータシステムをエミュレーションするために動作が非常に重く、快適なデバッグを行うことは難しい。これをカバーするため、仮想化支援機能をサポートしているx86アーキテクチャのCPUが搭載されたホストマシン上では、x86システムイメージによるAVDを高速化することができる。WindowsおよびmacOSにおいては、インテルが提供するIntel Hardware Accelerated Execution Manager(HAXM)によってIntel VTによるサポートを有効にすることができる。また、Linux版のSDKにおいては、x86エミュレータ自体がKVM上で動作させることが可能となっており、Intel VTまたはAMD-Vによるサポートによって高速化することができる。
ブートローダー
開発環境
Google Mobile Service
Size:233 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef