Amazon が創業時に掲げたビジネスモデルは独創的なものだった。ベゾスは、開業当初の4 - 5年間では利益を挙げることはできないと予測していた。Amazon の株主は「ゆっくり」な成長速度に対して、もっと速く採算性を確保しなければ株主の投資を正当化することはできず、長期的には生き残ることすらできないだろうと不満を漏らした。
21世紀初頭のITバブル崩壊は多くのIT企業を倒産に追い込んだが、2000年に Amazon の株価も113ドルから6ドルに暴落したものの、堅実なビジネスモデルを選択した Amazon は生き残り、IT不況を乗り越えて電子商取引における大手企業となった。
2001年第4四半期、Amazon は開業以来初めて利益を計上した。10億米ドル以上の収益に対し、利益は500万米ドルとささやかなものだった(一株利益は1セント)が、黒字への転換はベゾスの型破りなビジネスモデルが成功できることを示した[45]。 2011年、Amazon はアメリカでフルタイム従業員を3万人雇用していた。 2016年末の時点で、アメリカにおける従業員は18万人、全世界のフルタイムおよびパートタイム従業員は30万6,800人となっていた[46]。 本社のあるシアトルはボーイングの企業城下町として知られていたが、2018年現在では市内オフィスの20パーセントを Amazon が使用しており、同社による経済効果の累計が4兆円を超えるなど、アマゾンの企業城下町となりつつある[47]。 2020年現在、Amazon はアメリカでのEC市場シェアでは40%近くを占め、圧倒的トップにあるが、この頃よりディズニー、ナイキ、ワークマンなど有名ブランドが次々に Amazon から撤退する事態が起こり、牙城が揺らぎ始める。 その理由として、Amazon 内の模造品の多さによる「ブランドイメージの棄損」、自社独自で最終顧客に対してしっかりブランディングを行いたいというブランド側の思惑、モールに支払う割高な手数料がかからず、データベースなど含めプラットフォームに極度に依存する(ロックイン)ことのない自由な設計思想がベースになっているカナダ発の EC プラットフォームの Shopify(ショッピファイ)の進出、販売データや顧客データを管理することはできないという欠点などが上げられる。 Amazon ではいまだ第三者による大量のブランド品が販売され、偽造品の販売も横行しており、2019年からは日本でも偽物の排除を目的としたプログラム「Project Zero」を開始。商品情報を継続的に自動スキャンすることで偽造品の疑いがある商品を検知するシステムや、ブランド側が偽造品の疑いがある商品をサイト上から削除できる権限を持たせるなどの対策を行ってきたが、事実上放置に近い状態であり、なおかつモール側に直接の法的責任はない。 沼澤典史
さらなる成長と拡大
模造品の横行による有名ブランドの撤退
一方、Shopify(ショッピファイ)は、2020年現在で9%弱のシェアで Amazon に次いで第2位につけているが、2020年の売上高は約3080億円で、前年比で86%増を達成。ショッピファイでは Amazon とは異なり、アカウントを作成して管理設定を行うだけで EC サイトが立ち上げできる。ショッピファイは基本的にはECサイト作成を主なサービスにしているため、モールに支払う割高な手数料が必要ではなく、結果、出品業者が続々とショッピファイに乗り換えているなど、Amazon の座を脅かす存在となっている。すでにネスレやゴーゴーカレー、コムデギャルソン、Red Bull など、有名企業でも商品力で勝負する企業が多くサイトを立ち上げているなどの変化が出ている[50][52]。
沿革
1990年代
1993年7月、Amazon.com, Inc の前身となる法人「Cadabra.com」を登記。
1994年1月、Cadabra.com から Amazon.com に改名される。
1995年春、アマゾンのウェブサイトが完成し、βテストを開始。
1995年7月16日、アマゾンの正式サービスを開始。
1996年6月、デラウェア州法人として再設立[43] 。
1997年5月14日、NASDAQ に上場を果たし、初値は1株18ドルをつける。
1998年5月、株価が一時105ドルに。
1998年6月、ミュージックストアを開設し音楽配信事業に参入。英国とドイツにてアマゾンのサービス開始。
1999年6月、ユーザーが累計1,000万人に。
1999年9月、米特許商標庁でワンクリック(1-Click)特許が認められる。
1999年12月、バーンズ&ノーブルズの精算システム「エキスプレスレーン」をワンクリック特許の侵害で訴える。
1999年12月、ジェフ・ベゾス、タイム誌の「今年の人」になる。さまざまな企業に出資したり、買収したりして機能を追加。
2000年代
2000年1月、1,500人をレイオフ(解雇)。99年末から00年末にかけてアマゾンの株価は90パーセント下落。最安値が一時15ドルとなる。
2000年9月、航空宇宙企業「ブルーオリジン」を設立、有人宇宙飛行を目的とした事業を開始。
2000年11月1日、日本語サイト Amazon.co.jp「本」のストアをオープン。
2001年(平成13年)1月24日、札幌にカスタマーサービスセンターを開設。
2001年4月、NTT DoCoMo i モードアクセスサービスをスタート。
2001年5月、Amazon アソシエイト・プログラムサービスをスタート。
2001年6月13日、「音楽」「DVD」「ビデオ」のストアを同時オープン。
2001年8月、Ezweb アクセスサービスを公式サイトとしてスタート。
2001年10月、アマゾンに立ち読み機能を追加。「ソフトウェア」と「TV ゲーム」のストアをオープン。
2001年10月、「代金引換」による支払いスタート。
2002年7月、クラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を開始。
2002年9月、「マイストア」オープン。
2002年11月6日、「Amazon マーケットプレイス」オープン。
2002年、ウェビー賞を受賞[53]。
2003年7月、「エレクトロニクス」ストアをオープン。
2003年11月5日、「ホーム&キッチン」ストアをオープン。
2003年12月、「ボーダーフォンライブ!」向け公式サイトをオープン。
2004年9月、ブックストア内に「雑誌」コーナーをオープン。
2004年10月12日、「おもちゃ&ホビー」ストアをオープン。
2004年11月、ケータイサービスをリニューアル。「Amazon スキャンサーチ」を追加した新ケータイサービス「Amazon モバイル」提供開始。
2005年11月、ブックストアにて「なか見!検索」を開始。物流センター「アマゾン市川 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。
2005年11月17日、「スポーツ」ストアをオープン。
2006年4月、コンビニ・ATM・ネットバンキング払い開始。
2006年5月、米特許商標庁がワンクリック特許の再審査を命じる。
2006年6月、出版社やメーカーの商品を委託販売する「Amazon e 託販売サービス」を開始。
2006年8月3日、「ヘルス&ビューティー」ストアをオープン。
2006年10月、Amazon ショッピングカードをコンビニエンスストアにて販売開始。「お急ぎ便」の提供開始。
2007年2月1日、「Amazon ポイントサービス」を開始。
2007年3月29日、「時計」ストアをオープン。「スポーツ」ストアの店名を「スポーツ&アウトドア」ストアに変更。
2007年4月24日、「マーチャント@amazon.co.jp」を開始。
2007年6月、「ベビー&マタニティ」ストアをオープン。初の会員制プログラム「Amazon プライム」を開始。
2007年8月28日、丸善と Amazon.co.jp による共同ブランドストア「丸善オンラインストア」を開始。
2007年10月、物流センター「アマゾン八千代 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。
2007年11月19日、電子書籍リーダー「Amazon Kindle」を発表。電子書籍販売サービス「Kindleストア(Kindle Store)」を開設。
2008年4月14日、在庫管理・商品配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」の提供を開始。
2008年5月29日、「コスメ」ストアをオープン。
2008年7月1日、「コンビニ受取」サービスを開始。
2008年8月28日、iPhone/iPod touch 向け専用サイトをオープン。
2008年10月15日、「食料&飲料」ストアをオープン。