All_You_Need_Is_Kill
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この項目では、原作小説について説明しています。2014年の映画版については「オール・ユー・ニード・イズ・キル」をご覧ください。

All You Need Is Kill
ジャンルSF[1]バトル[1]
小説:All You Need Is Kill
著者桜坂洋
イラスト安倍吉俊
出版社集英社
レーベルスーパーダッシュ文庫
発行日2004年12月30日
発売日2004年12月18日
巻数全1巻
漫画:All You Need Is Kill
原作・原案など竹内良輔
作画小畑健
出版社集英社
掲載誌週刊ヤングジャンプ
レーベルジャンプ・コミックス
発表号2014年6・7合併号 - 2014年26号
巻数全2巻
映画:オール・ユー・ニード・イズ・キル
監督ダグ・リーマン
製作ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
配給ワーナー・ブラザース
封切日2014年6月6日
上映時間113分
テンプレート - ノート
プロジェクトライトノベル漫画映画
ポータルライトノベル漫画映画

『All You Need Is Kill』(オール ユー ニード イズ キル)は、桜坂洋による日本ライトノベルスーパーダッシュ文庫集英社)より、2004年12月に刊行された。スーパーダッシュ文庫版のイラスト安倍吉俊が担当している。2014年には小畑健の作画による漫画版、およびジャンプ ジェイ ブックス集英社)より漫画版のイラストを用いた新装版も発売されたほか、アメリカ合衆国で実写映画化された。『このライトノベルがすごい!』作品部門では2006年版で8位を獲得している[2]

近未来世界を舞台に、時のループに捕らえられた主人公の成長と運命を描いた、いわゆるループものの物語で[3]、桜坂洋の出世作となったSF小説筒井康隆らに激賞され[4][5]星雲賞候補作にもなった。また2014年の実写映画版は、世界的なスター[6]であるトム・クルーズが主演するハリウッド映画として製作されたが、日本のライトノベルが大作のハリウッド映画として映像化されることは本作が初めてであり[7]、異色のこととして紹介された[8]
あらすじ

舞台は、異星人が地球に送りこんだ「ギタイ」と呼ばれる敵に襲撃を受ける地球。かに座ι星方向の40光年先にある異星人の星から惑星改造(テラフォーミング)のため、無人の土木作業用ナノマシンとして送り込まれたギタイは、棘皮動物に取り込まれることによって人類を脅かす怪物へと進化し、人類を惑星改造の障害と認識して世界各国に侵攻を行っていた。人類は「機動ジャケット」と呼ばれるパワードスーツを投入し、ギタイとの劣勢な戦いを続けていた。

主人公キリヤ・ケイジは、ギタイと戦う統合防疫軍に初年兵として入隊するが、初出撃で絶望的な戦場へと送り込まれ、そこで圧倒的な戦闘力を持っている若き少女兵士リタ・ヴラタスキの援護を受ける。キリヤは瀕死の重傷を負うものの最後の力を振り絞り、リタたちUS部隊が「サーバ・アルファ」と呼ぶアンテナ付きのギタイと相打ちになって死亡する。しかしなぜか意識を取り戻し「出撃前日の朝に戻っている」という怪現象に見舞われ、それが幾度も繰り返されることになる。

ループする間、他の人間はループを認識できずに同じような行動を繰り返す一方、ギタイたちはキリヤをつけ狙うかのように行動を少しずつ変えながらキリヤを殺し続け、それは戦場に行かず逃亡しても逃れることができない。しかし生と死を繰り返す中、「記憶だけが蓄積される」ことが自分を成長させることを知ったキリヤは、ギタイを倒すために、その能力を活かして経験を積み重ねる。

あらゆる手段を講じ、リタに匹敵する戦闘力を身につけていくキリヤは、誰とも秘密を共有できないまま激化する戦いを生き抜いていく。しかし戦場で再び「サーバ」と対峙したキリヤは、再会したリタから、時間のループを繰り返していることを見抜かれる。実はリタもまた、過去に時間のループを経験したことがあり、ループを脱出したり引き起こしたりする方法を発見して戦いに利用していた。

リタによれば、時間のループはギタイ側が自らの未来を有利なものに変えようと、未来から過去へと情報を伝送する過程で発生する現象であり、キリヤは「サーバ」を倒した際に過去へと放った通信を浴びたために、ギタイの通信網に組み込まれてしまったのだという。キリヤはリタから、手順を踏んでギタイが過去に向かって送信している情報を阻止すればループを脱出することができると聞かされ、協力してサーバを倒すが、キリヤの意識は再び1日前へと戻ってしまう。

ループからの脱出は失敗し、更にギタイ側はキリヤとリタを直接狙って作戦を大きく変更する。リタの分析によれば、リタとキリヤはループを繰り返しすぎたことで、ギタイのサーバが過去へと情報を送信するアンテナとしての機能を持ってしまったのだと言い、ループから脱出するためには、「キリヤかリタのどちらかが死ななければならない」という。ギタイの攻撃によって基地が崩壊していく中、キリヤとリタは、幾度も繰り返してきたループを己の死によってなかったことにはしたくないという思いを胸に、どちらが生き残るかを賭けて決闘する。リタはキリヤとの戦いに敗れて戦死し、キリヤはリタに代わってギタイと戦い続ける道を選ぶ。
主な登場人物
キリヤ・ケイジ
本作の主人公であり
語り手。本書は基本的に彼の一人称で語られる。統合防疫軍JP所属の初年兵。当初は失恋の経験を機に、根性のない自分を変えて周囲を見返すという動機で軍人となるものの、本編中ではそのことを青臭い動機であったと後悔している[9]。物語冒頭の戦い(0回目のループ)で激戦区に送り込まれ、右往左往するまま戦場で死亡するが、死の直前に「サーバ」と呼ばれるギタイに戦いを挑んで相打ちになったことから、自分が死ぬか30時間が経過すると前日に戻るという時間のループに巻き込まれる。何度も戦いを繰り返すうちに経験を積み腕利きの兵士に成長していく。自分が死んだ回数を、現在のループ回数として左手の甲に油性ペンで記入する習慣をつけている[注釈 1]。物語序盤では、爆薬によって杭を打ち込むパイルドライバー杭打ち機)と呼ばれる近接武器を用いていたが、中盤以降はリタに倣って使用回数に制限のないバトルアクス(戦斧)を使用するようになる。物語の結末では誰とも知らない相手からキラー・ケージ(Killer Cage)という渾名をつけられ、リタの手柄を横取りした人物として侮蔑されるが、亡きリタに倣って機動ジャケットを青く塗装して戦い続けることを心に誓う。
リタ・ヴラタスキ
US特殊部隊に所属している精鋭で[10]、階級は准尉[11]。公称は22歳だが[12]、実年齢は19歳[13]。他の兵士からは戦場の牝犬(せんじょうのビッチ)という渾名でも呼ばれる。モンゴメリの小説『赤毛のアン』のヒロインを連想させるような容姿の[14]小柄な少女だが、圧倒的な戦闘能力を持っており英雄扱いされている。わざと目立つ赤の蛍光色に塗装した機動ジャケットを着込み[15]、重量200キログラムのタングステンカーバイドの戦斧を武器として愛用する[16]。他人には伏せているものの、過去にキリヤ同様の経緯から時間のループを211回[17]繰り返した経験があり、その後もギタイ側が引き起こしているループを逆手に取り、人類を有利な戦いに導いている。故郷や家族がギタイによる虐殺の犠牲となり、その復讐のために兵士となった経験を持つ[18]。リタ・ヴラタスキという名は本名ではなく、年齢を偽って入隊するために盗用した身分証明に記されていた人物の名であり[19]、彼女自身の本名は明かされない[注釈 2]


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