Akt
AKT1
Akt1と阻害剤の複合体の結晶構造のリボン図[1]
識別子
略号AKT1
Entrez
(英語版)207
HUGO391
OMIM164730
RefSeqNM_005163
UniProtP31749
他のデータ
遺伝子座Chr. 14 q32.32-32.33
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AKT2
Akt2と阻害剤の結晶構造[2]
識別子
略号AKT2
Entrez(英語版)208
HUGO392
OMIM164731
RefSeqNM_001626
UniProtP31751
他のデータ
遺伝子座Chr. 19 q13.1-13.2
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AKT3
識別子
略号AKT3
Entrez(英語版)10000
HUGO393
OMIM611223
RefSeqNM_181690
UniProtQ9Y243
他のデータ
遺伝子座Chr. 1 q43-44
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プロテインキナーゼB (英: protein kinase B、略称: PKB)は、グルコースの代謝やアポトーシス、細胞増殖(英語版)、転写、細胞遊走といった複数の細胞プロセスにおいて重要な役割を果たすセリン/スレオニンキナーゼで、Aktとしても知られる。
ファミリーのメンバー(アイソフォーム)Akt1
(英語版)は細胞の生存経路に関与し、アポトーシスを阻害することが知られている。またAkt1はタンパク質合成経路を誘導することもでき、そのため骨格筋肥大や一般的な組織成長を誘導する細胞経路において主要なシグナル伝達タンパク質となっている。Akt1を完全に欠損させたマウスモデルでは成長の遅滞がみられ、精巣や胸腺といった組織では自発的なアポトーシスの増加がみられる[3]。アポトーシスを防ぐことで細胞の生存が促進されることから、Akt1は多くのタイプのがんにおいて主要な因子として関係している。Akt(現在ではAkt1と呼ばれている)はもともと形質転換能を持つレトロウイルスAKT8の中のがん遺伝子として同定された[4]。
Akt2(英語版)は、インスリンシグナル経路において重要なシグナル伝達分子であり、グルコース輸送の誘導に必要とされる。Akt1を欠損しているがAkt2は正常なマウスでは、グルコースの恒常性は影響を受けない一方、マウスの体は小さくなり、これはAkt1の成長における役割と一致している。反対に、Akt2を持たず正常なAkt1を持つマウスでは、軽度の発育不全と糖尿病の表現型(インスリン抵抗性)が生じ、Akt2はインスリンシグナル経路に対してより特異的に機能するという考えと一致している[5]。
Aktのアイソフォームはヒトのさまざまな腫瘍で過剰発現しており、ゲノムレベルにおいても胃腺がん(Akt1)、卵巣がん(Akt2)、膵がん(Akt2)、乳がん(Akt2)で増幅が確認されている[6][7]。
Akt3(英語版)は主に脳で発現しているようであるが、その機能ははっきりしない。Akt3を失ったマウスは脳が小さくなることが報告されている[8]。
調節Akt1はPI3K/AKT/mTOR経路
(英語版)などに関与している。
リン脂質への結合Aktは、PHドメイン
(英語版)(pleckstrin homology domain)として知られるタンパク質ドメインを持っている。このドメインは、ホスホイノシチドに高い親和性で結合する。AktのPHドメインの場合は、PIP3(ホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸)とPI(3,4)P2(ホスファチジルイノシトール-3,4-ビスリン酸)のどちらかに結合する[9]。PI(4,5)P2(ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸)はPI3キナーゼ(PI3K)ファミリーの酵素のみによってリン酸化される。リン酸化は成長過程の開始を細胞へ伝達する化学的メッセージを受け取ったときのみ起こり、細胞シグナリングの制御には好都合である。PI3KはGタンパク質共役受容体や、インスリン受容体のような受容体型チロシンキナーゼなどによって活性化される。活性化が起こると、PI3KはPI(4,5)P2をリン酸化してPIP3を形成する。
リン酸化PIP3を介して正しく膜に配置されたAktは、PDPK1
(英語版)(phosphoinositide dependent kinase 1)によってスレオニン308番残基が、mTORC2(英語版)(mammalian target of rapamycin complex 2)によってセリン473番残基がリン酸化されて活性化されるが[10][11]、最初に起こるのはmTORC2によるリン酸化であり、これによってその後のPDPK1によるリン酸化が促進される。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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