DECはARMv4アーキテクチャの設計のライセンスを得てStrongARMを製造した。233MHzでStrongARMはほんの1Wの電力しか消費しない(最近のバージョンはさらに少ない)。この業績は後に訴訟の解決の一環としてインテルに移管され、インテルはこの機会を利用して古くなりつつあったi960をStrongARMで補強することにし、それ以降XScaleという名で知られる高性能の実装を開発した。
以後も、StrongARMの技術のフィードバックを受けたARM9やARM10を経て、NECとの提携などによって携帯電話向けプロセッサとしての地位を確固たるものにしたARM11をリリースする。
2005年には製品ラインナップを一新し、高機能携帯電話などのアプリケーションプロセッサ向けであるCortex-A、リアルタイム制御向けであるCortex-R、組み込みシステム向けであるCortex-Mと、ターゲットごとにシリーズを分類した。なお、Cortexの末尾に付く文字は、社名であるARMの一文字ずつをそれぞれ割り当てたものである[12]。また、2012年11月にはARM初となる64ビットアーキテクチャによるプロセッサコアであるCortex-A50シリーズを発表した[13]。
ARMからIPコアのライセンス供与を受けている主な企業には、モトローラ、IBM、テキサス・インスツルメンツ、任天堂、フィリップス、Atmel、シャープ、サムスン電子、STマイクロエレクトロニクス、アナログ・デバイセズ、MediaTek、パナソニック、クアルコム、マーベル・テクノロジー・グループなどがある。
ARMチップは世界で最もよく使われているCPUデザインの一つとなっており、ハードディスク、携帯電話、ルータ、電卓から玩具に至るまであらゆる製品の中に見ることができる。32ビット組み込みCPUで圧倒的なシェアを占め、2004年の世界シェアは61%であった[14]。
主な採用製品
ARM6
ARM60 3DOインタラクティブ マルチプレーヤー
ARM60 CPU (VY86C06020FC-2)
ARM60 CPU (P60ARM)
ARM610 Apple ニュートン・メッセージパッド、メッセージパッド100、メッセージパッド110、メッセージパッド120
ARM7/7E
携帯情報端末
eMate 300
携帯電話
一般的なGSM携帯電話
cdmaOne携帯電話
初期の3G携帯電話(例:au CDMA 1X A1400番台の一部を除くA1000番台・A3000番台・A5500番台を除くA5000番台。一部例外除く)
携帯ゲーム機
ゲームボーイアドバンス
ニンテンドー
DS/DS Lite(サブCPU、GBAソフトの動作にも使われる)
DSi(サブCPU)
携帯音楽プレーヤー
iPodシリーズ(デュアルコア実装)
電卓
HP 20b / HP 30b
その他
レゴマインドストーム NXT(知能ブロックの一部)
ルンバ(一部の機種)
ARM9/9E
携帯ゲーム機
ニンテンドーDS/DS Lite/DSi(メインCPU、ARM7とのダブル実装)
Tapwave Zodiac
携帯電話
Sun SPOT
Qualcomm
MSM6550(CDMA2000 1xEV-DO Rel.0対応携帯電話用チップセット)
MSM6800(CDMA2000 1xEV-DO Rev.A対応携帯電話用チップセット)
3Gおよび3.5G携帯電話(例:NTTドコモ FOMA 900i・901iシリーズ、au(KDDI、沖縄セルラー電話)のCDMA 1XシリーズおよびCDMA 1X WINシリーズ、ソフトバンクモバイルのSoftBank 3Gシリーズ等。一部例外除く)
H11T(イー・モバイルの音声通話用3.5G端末)
WS009KE "9 (nine)"(WILLCOM(ウィルコム)のPHS端末)
Nokia N-Gage
携帯情報端末
Handheld Engine CXD2230GA (SONY CLIEに搭載)[15]
その他
Sharp Brain
レゴマインドストーム EV3
ARM11/11E
2007年頃から採用されるようになる。発表は2002年4月29日[16]。
7月17日、東芝がARM1176JZF-S搭載の携帯電話用プロセッサ、TC35711XBGを発表。2008年第2四半期より量産開始予定。
NVIDIA Tegra
Zune HD
携帯音楽プレーヤー
iPod touch
Zune
携帯電話
T-Mobile G1
Qualcomm
MSM7500(EV-DO Rev.A対応携帯電話用チップセット。ARM9Eとのダブル実装)
KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)の
「KCP+」対応CDMA 1X WINシリーズの携帯電話(例・W56T、W54SA、W61S、W62T等。ARM9Eとのダブル実装)および
CDMA 1X WINシリーズのスマートフォン(例・E30HT等)
MSM7600(EV-DO Rev.A対応携帯電話用チップセット。ARM9Eとのダブル実装)
KYOCERA Zio M6000
HTC Hero
NTTドコモのFOMA902iシリーズ以降の携帯電話。905i以降のSymbian採用機はSH-4Aとダブル実装。
WS018KE (WILLCOM 9)(WILLCOM(ウィルコム)のPHS端末)
Samsung S3C6400(ARM 1176JZ(F)-S v1.0)
iPhone 3G(412 MHzで駆動)
タブレット・PDA
ノキア Internet Tablet N800
mylo COM-2
ゲーム機
Zeebo (新興国向けDL専用3Dゲーム機)
シングルボードコンピュータ
Raspberry Pi model 1A
Cortex-M3
2004年に発表されたマイクロコントローラ。
同じARMv7-M/v7E-MシリーズのCortex-M3,M4,M7共にハーバード・アーキテクチャであることが最大の特徴である。
自動車・工場・家電などの機器制御などに使われている。自動車では、モーター制御、パワーステアリング、横滑り防止装置などいろいろな場所で使われている。
ワンボードマイコン
mbed - NXPのLPC1768の評価ボード。ホビー用途としても広く流通している。
Cortex-A8
2009年頃から採用されるようになる。2010年発売のAndroidスマートフォンは大多数が採用。
NetWalker
Samsung S5PC100
iPhone 3GS(600 MHzで駆動)
iPod touch (第3世代)
Apple A4(Cortex-A8をもとにAppleとサムスンが携帯機器向けに開発)
iPhone 4(800MHz)
iPad(1GHz)
iPod touch(第4世代)