SPY-1AN/SPY-1Dのアンテナ部(アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦搭載機)
種別3次元レーダー
目的多機能 (捜索・捕捉・追尾)
開発・運用史
開発国 アメリカ合衆国
就役年1973年(陸上試験)
1983年(艦隊配備)
送信機
形式交差電力増幅管(CFA
AN/SPY-1は、アメリカ合衆国がイージスシステム用に開発したフェーズドアレイレーダー。八角形のパッシブ・フェーズドアレイ・アンテナを4面、固定式に設置して、多数の目標を捜索・捕捉・追尾するとともに、艦対空ミサイルの誘導にも関与する多機能レーダーである[1]。製造はロッキード・マーティン社(当初はRCA社)[2]。
概要「あしがら」の艦橋正面上部、クリーム色の八角形がSPY-1D(V)のアンテナ、両舷に各1基が確認できる
SPY-1レーダーは、イージス武器システム(AWS)の核心となるサブシステムであり、多数目標の同時捜索探知、追尾、評定、および発射されたミサイルの追尾・指令誘導の役目を一手に担う、多機能レーダーである[1]。
パッシブ・フェーズド・アレイ(PESA)方式の固定式平板アンテナを4枚持ち、これを四方に向けて上部構造物に固定装備することで、全周半球空間の捜索が可能になっている。その特徴的な外見は、イージス艦の特徴ともなっている。極めて優れた探知能力を備えており、アメリカ海軍は「SPYレーダー表示画面に目標を視認すれば、そこには目標が存在する。表示画面に目標を視認しなければ、そこには絶対に目標は存在しない」と豪語するほどである[1]。
最初に開発されたA型、発展型のB型は巡洋艦向けで、前後の上部構造物に分けて装備された。その後、レーダー機器を艦橋構造物に集中配置して効率化をはかり、システムをコンパクト化したD型、その改良型のD(V)型が駆逐艦向けとして開発された。またD型をベースとしてシステムを簡略化したフリゲート向けのF型、より小型の艦艇向けのK型も開発されている[3]。 ジェット機の登場による経空脅威の増大に対処するため、1957年より、アメリカ海軍は次世代の防空システムとしてタイフォン・システムの開発に着手した[4]。その中核となる多機能レーダーとして開発されたのがAN/SPG-59
来歴
SPG-59の挫折
1962年には同システムの開発は実質的に打ち切られており[4]、これを受けて1963年、アメリカ海軍は先進水上ミサイル・システム(ASMS)計画を開始した[5]。この計画にあたり、海軍は民間企業に研究と提案書の提出を求めるとともに、独自に選抜した人材による評価グループを設立した[5]。このグループはウィシントン少将をリーダーとし[注 1]、1965年1月から約1年間という短期集中で作業にあたった。その主要な任務は、ASMSのシステムコンセプトとともに、特にその中核となる多機能レーダーの設計指針を策定することにあった[5]。これによって開発されたのが本レーダーである[5]。