Radeon
開発者ATI Technologies / AMD
販売開始2000年4月1日
(24年前) (2000-04-01)
種類Graphics Processing Unit
Radeon(レイディオン[1])は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (AMD) が設計および開発している Graphics Processing Unit (GPU) のブランド名である。2000年にATI Technologiesより発表され、2006年にATIがAMDに買収された後も「ATI Radeon」ブランドとして存続していたが、2010年にAMDブランドへ統合され「AMD Radeon」となった。
呼称について、英語での発音に近い「レイディオン」のほか、日本では一般的に発表当初から用いられた「ラディオン」[2][3]、俗称でローマ字読みをして「ラデオン」とも発音される[1][4]。
歴史・概要ATI RADEON 9700 ProATI Rage128 GL
RadeonはATI Technologiesのビデオチップ「Rage」シリーズの後継製品で、当時性能面で先んじていたNVIDIA社のGeForceシリーズの対抗製品として登場。しばらくは苦戦が続いたが、Radeon 8500で並び、そしてRadeon 9700 Proで一歩抜きん出た。一時は奪われたシェアを取り戻した以降も、より高速な PCI Express バスの採用やマルチGPU環境を実現するCrossFireなど技術向上に余念がなく、同じく性能向上のめざましいNVIDIAのGeForceシリーズとは互いに抜きつ抜かれつの競争を繰り広げている。
対応する主なリアルタイム3DグラフィックスAPIはMicrosoft DirectX (Direct3D) とOpenGLだが、Graphics Core Next (GCN) 世代のRadeonではMantleと呼ばれるAMD独自のローレベルAPIにも対応している[5]。なお、主にDirectXに最適化されているRadeonに対して、OpenGLに最適化された業務用途・HPC向けのAMD FirePro / AMD Radeon Pro / AMD Radeon Instinctシリーズ製品も存在する。
PlayStation 4やXbox Oneに搭載されているAMD APUには、GCNアーキテクチャのRadeonベースGPUが搭載されている[6][7]。
一方で、主に3Dグラフィックスのためのものだったシェーダー機能を動画再生の支援に転用する技術の開発にも注力している。マイクロソフトの DirectX Video Acceleration (DXVA) にも対応し、メディアプレーヤーソフトとの連携により高画質・高品質な DVD (MPEG-2) やDivX、Windows Media Video などの動画を再生する際の CPU の負担を大幅に軽減させた。UVD や AVIVO はこうした技術をさらに発展させたものである。Catalyst Omega (14.12) ドライバーからはVAAPI
(英語版)にも対応している[8]。またDirectX 11 (DirectCompute) や、OpenCLに対応している製品は、AMD Streamテクノロジーを基盤として汎用演算用途(GPGPU)に利用することもできる。
モバイル用途には省電力技術を搭載し消費電力を低減した「Mobility Radeon」がある。チップセットの開発も進められており、「Radeon IGP」や「RADEON XPRESS」にはRadeonのグラフィックス・コアが統合されている。これらチップセットシリーズはATIがAMDに買収されたことをきっかけに、Radeonの名は冠さなくなった。
Radeonを採用したビデオカードは多くのメーカーから販売されている。テレビチューナを搭載し、ビデオキャプチャ機能を備えた製品が「ALL-IN-WONDER」である。
伝統的に大手PCメーカーへの大量供給に強く、メーカー製PCにおいて幅広いシェアを築いている。主に、Apple、ASUS、DELL、MSI、NEC、SONY、エイサー (Gateway)、エプソンダイレクト、ヒューレット・パッカード、富士通、レノボ製のデスクトップパソコン、ノートパソコンにおいてRadeonを採用したビデオカードが搭載されている。
GPUの半導体製造はファウンドリ企業へ発注しており、台湾を拠点とするTSMC[9]やUMCが担っている。また、AMDの半導体製造部門が独立したGLOBALFOUNDRIESにも発注しているとされる[10]。
2006年にATIがAMDに買収された後も、しばらくの間はATIブランドが使用されており、Radeon製品もATI Radeonとして販売されていたが、2010年10月発売のRadeon HD 6800シリーズからATIブランドが廃止され、AMDに統一された[11]。
デバイスドライバおよびユーティリティ群は「AMD Catalyst」という名称で提供されている。2015年11月以降はCatalystの後継として「Radeon Software」 がリリースされた。2022年3月以降はRadeon Softwareの後継として「AMD Software」が提供されており[12]、2022年6月以降はゲーム向けに最適化された「Adrenalin Edition」の他にクリエイティブアプリケーション向けに最適化された「PRO Edition」が選択できる[13]。
Windows 10に搭載されるDirectX 12に関しては、すべてのGCNアーキテクチャにおいてAPIレベルでサポートする[14]が、機能レベル (Feature Level) 12_0を満たすのはGCN第2世代 (GCN 1.1) 以降となり、GCN第1世代 (GCN 1.0) では機能レベル (Feature Level) 11_1までのサポートとなる。詳しくはen:Direct3Dおよびen:Feature levels in Direct3Dを参照のこと。
Vulkanに関しては、GCN第1世代 (GCN 1.0) 以降はRadeon Software Adrenalin 20.1.2以降でVulkan 1.2に[15][16]、GCN第4世代 (GCN 1.3) 以降はRadeon Software Adrenalin 22.1.2以降でVulkan 1.3に対応する[17]。