AKB48
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それに呼応するように、擬似恋愛的な歌詞はあまり必要とされなくなり、青春観を疑似体験したり掛け声を通じてステージ上のアイドルと感情を共有できるような楽曲[注釈 18]が増えている[67]

宇野常寛は、「私」を一人称とした女性目線の歌詞から「僕」を一人称とした男性目線の歌詞への変遷について、アイドルがファンに対して「ここではない、どこか」への憧れを一方的に提示する超越的アイドルではなく、アイドルとファンが協力して「いま、ここ」を肯定して実り豊かなものに彩っていくことを志向する内在的アイドルのコンセプトがはっきりと歌詞が反映されはじめたと説明している[注釈 19][69][70]。さらに、男性目線の歌詞の楽曲と同様に後期になって増え始めた「自己言及的な歌詞」の楽曲については、AKB48が一種の社会現象といえるほどヒットしていったことに伴ってAKB48自身を歌うことがそのまま社会を歌うことにつながり、そしてそのことに対して作詞者である秋元康が自覚的であるがゆえだろうと述べている[71][72]

斎藤環は、秋元康によるAKB48の楽曲の歌詞を「絶望荒野と化したJ-POP業界においてひときわ輝いている」と評価し[73]、「ヤンキー性」の要素が歌詞に織り込まれていることに注目している。AKB48のメンバーに注目してもオタク受けする渡辺麻友とヤンキー受けする板野友美の両者が存在するようにバランスがとられているが、秋元自身がオタク性とヤンキー性の両方を持った特異なタイプの人間であり、「マジスカロックンロール」「Beginner」など歌詞にはヤンキーに特有の刹那主義や反知性主義的な価値観を掲げながらも、同時に自覚的にそういった振る舞いをしている意識がみられるバランスが絶妙なのである[74]。このような意識は「サヴァィヴ系/バトルロワイヤル系」の傾向ともつながるものである[注釈 20]

脚本家・作詞家の佐藤大は、同じく秋元康が手がけたおニャン子クラブの楽曲の歌詞は言葉遊びや内輪受けを狙ったものが多かったのに対し、AKB48の楽曲の歌詞は主観的で直球であると対比し、「自分がどうあるべきか」を鼓舞するシステムが内包された歌詞がAKB48のメンバー個人への教育になっていると評している[75]
衣装


「言い訳Maybe」の衣装「ギンガムチェック」MV撮影時の衣装

衣装は、株式会社オサレカンパニー[注釈 21]所属の茅野しのぶ[注釈 22]を中心とする専門の衣装スタッフが一手に担当している[79]。衣装デザインには各楽曲が持つコンセプトに基づいた統一性があるが、一着一着が各メンバーのキャラクターやイメージ、体形に合わせて調整が加えられているため、その総数は5万着を超える[81]。シングル曲のミュージック・ビデオ (MV) 衣装は、完成した新曲の音源が秋元康のオーダーとともに茅野の元に届けられ、秋元の意向をつかめるまでデザイン画を描き、提出する工程となっている[82]

メンバーが着用する衣装のデザインは、結成当初のTシャツデニムから始まり、初期はシンプルなチェック柄の女子高生制服をモチーフとした形が多かった[83]。2009年の『第1回AKB48選抜総選挙』のころから、世間にもメンバーのキャラクターが浸透し始めて衣装も変化していく[83]。13thシングル表題曲「言い訳Maybe」の衣装の赤チェック柄がAKB48のイメージを形成するものとなったこともあり[84]、14thシングル表題曲「RIVERは、メンバーの個性が世間に伝わるようにメンバー別に衣装をデザインを仕上げ、今日に続く制作工程が形成された[83]

秋元康が副学長を務めた京都造形芸術大学秋元ゼミの学生のデザインが、「桜の花びらたち」や「スカート、ひらり」などの衣装に採用されたこともある[85]。2017年3月25日には、シングルや劇場公演の衣装ほか、コンサートや歌番組で着用した特別衣装など1,102着の衣装を掲載した『AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット?あの頃、彼女がいたら?』が宝島社より発売された[86]。2023年7月27日から8月8日まで、初期から最新までの衣装ほか、メンバーが卒業コンサートで着用したドレスなど約250点の衣装を展示した『AKB48 大衣装展?オサレカンパニーの世界?』が大丸東京店にて開催された[87]
兼任・移籍制度

AKB48には日本国内に5つ、日本国外に8つの姉妹グループがあり、AKB48グループの各グループ間には「兼任・移籍制度」がある。兼任とは、所属元グループに在籍して活動しながら、兼任先グループのメンバーとしても活動することである。移籍とは、所属元グループの籍を離れ、移籍先グループに所属して活動することであり、AKB48グループ内での異動となる。組閣などにより、兼任の解除や兼任先の変更のほか、兼任先グループにそのまま移籍となったメンバーもいる[注釈 23]。特殊な形態ではあるが、2014年には、AKB48グループと乃木坂46相互間の「交換留学」と称した兼任も松井玲奈(当時SKE48)と生駒里奈(当時乃木坂46)の2人を対象に行われた[88][注釈 24]。歴代の兼任・移籍経験者については「AKB48グループ#移籍と兼任」を参照
握手会と購入特典

AKB48ではCD購入者を対象にした握手会を実施しており、ファンがメンバーと直接握手や会話ができる機会として「会いにいけるアイドル」のコンセプトを果たす役割を担っている[90]。2005年12月16日、機材故障により中止された劇場公演の代替として行われた握手イベントがきっかけとなって実施され[91]、その後はCDのリリースに合わせて定期的に行われるようになった。AKB48の握手会には、「全国握手会」と「大握手会」の2種類がある[90]

「全国握手会」は、シングルCDのリリースに合わせて日本全国のエリア(北海道・東北・関東・中部・関西・中国・九州)単位で開催されている握手会である[92][注釈 25]


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