AK74
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イジェフスク造兵廠のミハイル・カラシニコフを中心とした設計チームは、AKMをベースに、口径5.6 mmの13MZhV鋼芯弾および15AMZhV曳光弾を使用する試作モデル6P1-13Vの開発に着手した[10][21]

1967年1月21日付「ソビエト連邦共産党中央委員会およびソビエト連邦閣僚会議布告第79-30号」並びに1967年2月19日付「ソビエト連邦国防大臣命令第82ss号」に基づき、1967年より新型自動小銃のトライアルが計画され、イジェフスク、トゥーラ、コヴロフ、ポドリスクの各造兵廠が設計・競作を行うこととなった[10]

1968年、ミハイル・カラシニコフらは試作自動小銃A3(ロシア語: 5,45 мм автомат А3、「5.45mm自動小銃A3」の意)[注 2]を完成させ、試作トライアルに参加。10機種の試作ライフルの中から、現用ライフルのAKMを新型弾薬に対応させたA3自動小銃が運用も生産も効率的とされた。

1974年、A3自動小銃とその派生型が、1974年1月18日付「ソビエト連邦共産党中央委員会およびソビエト連邦閣僚会議布告第54-29号」並びに1974年3月18日付「ソビエト連邦国防大臣命令第049号」によりソビエト連邦陸海軍の制式兵器に制定され、それぞれAK74(ロシア語: 5,45-мм автомат Калашникова АК74、「5.45mmカラシニコフ自動小銃 AK74」の意)、AK74N、AKS74、AKS74Nの制式名が与えられた[22][10]。 また、1974年12月にロケット・砲兵総局(GRAU)とソビエト連邦国防省の決定により、インデックス6P20 (AK74)、6P20N (AK74N)、6P21 (AKS74)、6P21N (AKS74N)等の設計文書が承認された[10][21]
構造

AKMからの大きな変更点は小口径化の他、銃口に装着されるマズルブレーキが大型化されたことである。AK74のマズルブレーキは他国のアサルトライフルと比較し複雑な内部構造を持ち、反動の軽減、発射炎(マズルフラッシュ)の抑制の他、発射音を前方に拡散させる働きをもつ。またAK・AKMに比べて、ガスピストンへの発射ガス導入部と銃身との角度が垂直に近くなっている。

AK74は、旧来のAK、AKMと外見が似通っているが使用弾薬は大きく異なるため、弾倉の互換性を持たない。そのため、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}夜間や視界の悪い状況であっても手触りで適合弾薬がすぐ判るように[要出典]、AK74ではストックの両側面に溝が入っているという俗説がある。しかしながら、主任設計者のミハイル・カラシニコフは多くの公開インタビューで、AK74をできる限り軽量化するという必要条件があり、ストックの両側面に溝を掘ることが設計チームの目標達成に寄与したと述べている[23]
運用

ソ連製小火器の例にもれず、同盟国にも供与やライセンス生産が認められたが、アフリカ中東アジア地域にはAK74の配備によって余剰化したAKやAKMを供与したこと、旧式のAKやAKMとは弾薬の互換性がないため従来の弾薬の在庫の廃棄や弾薬製造ラインの大幅な改修が必要であったことなどから、AK74を使用しているのは旧ソ連構成国や旧ワルシャワ条約機構諸国以外ではキューバアンゴラシリアモンゴル[要出典]など比較的少数に留まっており、従来のAK系列(AK、AKM)と比べると普及度が低い。旧共産国では改良型を含めて多数のAK74が現役である。
バリエーション
AK74

AK74(ロシア語: 5,45-мм автомат Калашникова АК74、「5.45mmカラシニコフ自動小銃 AK74」の意)(GRAU:6P20)[10]は基本型で1974年に採用・製造が始まり、1991年に後継のAK74Mの製造が始まったため、1993年に軍用としての製造は終了した[注 3]

初期に生産されたものは、AKMと同様に合板ストックとハンドガードで、赤茶色のベークライト製[要出典]グリップと、AG-4S[24]と呼ばれるオレンジ色のガラス繊維強化フェノール樹脂弾倉(GRAU:6L20)を採用していた[25][26][注 4]1980年代中頃から生産された後期型は、ストックやハンドガード、グリップ、弾倉(GRAU:6L23)が、新素材である焦茶色(プラム・カラー)に染色されたPA6-211-DS[27][28]と呼ばれるガラス繊維強化ポリアミド樹脂へと順次切り替わっていった[29]

銃剣は当初AKMと兼用する6Kh4銃剣であったが、AK74後期型が製造開始されるのとほぼ同時期に、グリップや鞘を焦茶色のガラス繊維強化ポリアミド樹脂製とし、ブレード形状等を変更した6Kh5銃剣に生産が切り替わった[30]
AK74N

AK74N(ロシア語: 5,45-мм автомат Калашникова с ночным прицелом НСПУ АК74Н、「5.45mmカラシニコフ自動小銃夜間照準器NSPU付き AK74N」の意)(GRAU:6P20N)[10]は、AK74のレシーバー左側面に夜間照準器装着用のレール(ドブテイルマウント)を備え、NSPUを取り付けた仕様[31][32]。夜間照準器装着用のレールのみを備えた状態はAK74N1(GRAU:6P20N1)[31][32]、NSPUMを取り付けた状態はAK74N2(GRAU:6P20N2)[31][32]、NSPU-3を取り付けた状態はAK74N3(GRAU:6P20N3)[31][32]と呼ばれる。なお、1991年発行のNSPU-3のマニュアルでは、NSPU-3を取り付けたモデルをAK74Nと記載していた[33]が、2001年発行の5.45mmカラシニコフ銃のマニュアルでは既に前記の様に変更されている[31]

AK74前期型(上)とAKS74後期型(下)
弾倉は2挺とも6L23で、6Kh5銃剣を装着している

AK74前期型を手にするソ連海軍歩兵

AK74後期型を装備するロシアの警察官

AKS74

AKS74(ロシア語: 5,45-мм автомат Калашникова со складывающимся прикладом АКС74、「5.45mmカラシニコフ自動小銃折り畳み式銃床付き AKS74」の意)(GRAU:6P21)[10]は、銃床を折り畳めるようにし、携行を容易にしたもの。それまでのAKSあるいはAKMSの銃床はナチス・ドイツMP38/MP40と同様に下方へ折り畳む方式だったが、AKS74では射手から見て左に折り畳む方式に変更されている。 そのため、従来のAKS・AKMSでは構造上操作がしにくかった銃床を折り畳んだ状態で銃側面のセレクターレバーを操作することが容易になった。折り畳まれた銃床は、銃の左側面前方にあるフック状の金具で固定される。

銃床部のスリングスイベルが射手から見て右側に位置し、銃床を折り畳む際は左側に位置するようになり、携行時の利便性が向上している。

ソ連製のものはAK74に準じて、生産時期によりハンドガードの素材やプラスチック部品の成型色などが異なっている。

また、アフガニスタン派遣兵などの中には、スケルトンストックであることを利用し、空洞部に応急キットを入れ、止血帯を巻きつけて固定するという現地改造をしている写真もいくつか見られる。戦場での出血は生命に関わることが多いが故のカスタマイズであると考えられるが、ゴムの止血帯を何重にも巻くことで頬当ての代わりにもなる副次効果も得られる。

2001年12月22日に発生した九州南西海域工作船事件で、北朝鮮工作船の乗組員が海上保安庁巡視船への射撃に用いたは88式自動歩銃2型(北朝鮮製AKS74)である。
AKS74N

AKS74N(ロシア語: 5,45-мм автомат Калашникова со складывающимся прикладом и ночным прицелом НСПУ АКС74Н、「5.45mmカラシニコフ自動小銃折り畳み式銃床および夜間照準器NSPU付き AKS74N」の意)(GRAU:6P21N)[10]は、AKS74のレシーバー左側面に夜間照準器装着用のレール(ドブテイルマウント)を備え、NSPUを取り付けた仕様[31][32]


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