AIM-120_(ミサイル)
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AIM-120 AMRAAM
種類視程外射程空対空ミサイル
製造国 アメリカ合衆国
設計ヒューズ・ミサイル・システムズ(現 レイセオン)
製造レイセオン
就役1991年9月[1]
性能諸元
ミサイル直径17.8cm
ミサイル全長3.65m
ミサイル全幅A/B型 53.31cm
C型 48.46cm[1]
ミサイル重量153kg
弾頭7.31kg
射程A型 50?70km[2]
C型 105km
D型 180km[3]
推進方式固体燃料ロケット
誘導方式中途航程: INS+指令誘導
終末航程: ARH
飛翔速度マッハ4
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AIM-120 AMRAAM(Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile、アムラーム)は、アメリカ合衆国のヒューズ社が開発した中距離空対空ミサイルである。なお、ヒューズ・ミサイル・システムズ社はレイセオン社に吸収合併されたため、AMRAAMは現在レイセオン社によって生産と派生型の開発が行われている。
開発経緯Sta.2にAMRAAMの試作型を搭載したPMTC所属のF-4J1982年に実施された最初の発射実験

AMRAAMは1975年からAIM-7 スパローの後継として開発が開始された。1979年2月、アメリカ空軍は概念開発段階に提案していた5社のうちからヒューズ・エアクラフト社のヒューズ・ミサイル・システムズとレイセオン社を選定、概念実証段階に進んだ。概念実証段階では1981年12月までに両社は試作ミサイルを3発ずつ発射、その結果からヒューズ・エアクラフト社製のものが優れているとされ、1982年に全規模開発契約(FSD)を結んだ。

この契約により、ヒューズ・エアクラフト社は100発弱の試験用AMRAAMを製造。1987年には低率初期生産(LRIP)が認められ、1991年に空軍が初期作戦能力(IOC)を獲得。1992年にフル生産が開始、1993年にはアメリカ海軍も初期作戦能力を獲得した。

1994年には誘導装置に改良がなされたAIM-120Bが、1996年にはF-22などのウェポンベイに収まるようAIM-120Bの前方のフィンを小型化したAIM-120Cが開発された。AIM-120Cはフィンを小型化した以外はAIM-120Bと同様であり、本来ではF-15F-16などの非ステルス機にはAIM-120Bが使用され、F-22やF-35などのステルス機にはAIM-120Cが使用される予定であったが、ステルス機の配備・開発の遅れもあり、現在では非ステルス機でもAIM-120Cが使用されている。また現在は、目標情報のアップ・リンク対応や距離の延伸等の改良を施したAIM-120Dが開発され、実射試験を行っている。

AMRAAMの改良型については、かつて2基のラムジェットエンジンを取り付けたFMRAAM(Future Medium Range Air-to-Air Missile)の開発が計画されていたが、その後開発中止となった(下記参照)。FMRAAMはAMRAAMの倍近くとなる100km超の最大射程を性能目標としていたものの、ラムジェットエンジンを搭載する以外の変更点は無く、AMRAAMが搭載可能な機種であれば改修を行わなくても搭載が可能となる予定であった。

また、高・中高度防空ミサイルに転用したSL-AMRAAM(Surface Launched AMRAAM)も開発されており、こちらはノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社がレイセオン社と共同開発した地対空ミサイルシステムNASAMSに採用された。
特徴

本ミサイルの主な特徴は「撃ちっ放し能力」(fire and forget)と「同時多目標攻撃能力」である。
撃ちっぱなし能力・同時多目標攻撃能力F-14より発射されるAIM-120F-22のウェポンベイに搭載されたAIM-120

従来の中距離空対空ミサイルの主役であった旧型のスパロー・ミサイルは[4]セミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)誘導方式であった。この方式は、飛翔時の誘導にミサイル外部の助けが必要であり、発射母機のレーダーから目標に対してレーダー波を放射し続け、ミサイルは目標からの反射波をレーダー・シーカーで捉える事で追尾を行い誘導される。発射母機はミサイルの発射後も敵に向けてレーダー波を放射し続け、ミサイルが外れるか衝突するまでその状態を維持しておく必要があった。従って自機のミサイルが飛翔中は、基本的に発射母機は回避行動が行えず、発射母機が誘導を継続する限り敵からの攻撃に対して脆弱になり、またミサイル自体の誘導も1発ずつしかできなかった。

AMRAAMは、レーダーに放射器まで搭載する事で、アクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)方式、すなわちミサイル自身のレーダー放射による自律誘導を可能にした。これにより発射母機はミサイルを放った段階で回避行動が行える「撃ちっぱなし能力」が備わり、航空機の生存性が向上する。しかし、細いミサイルの弾頭部に内蔵されたレーダーはサイズの制約から性能が限られており、遠距離目標はレーダーの微弱な反射波が検出できないことで誘導不可能である。そのままでは実用上は短射程となるため、AMRAAMではアクティブ・レーダー・ホーミング方式に加え他の誘導方法も用いる事でその欠点を補った。すなわち、ミサイルを発射後、レーダー・シーカーが目標を捉える距離までは他の誘導方式で中間誘導を行い、目標接近後にアクティブ・レーダー・ホーミング方式で最後まで誘導する(終端誘導)というものである(LOBLとLOALも参照)

AMRAAMでは、目標接近までの中間誘導を慣性誘導と指令誘導(COLOS)で行う。


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