ABO式血液型
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これらの違いとドイツ系民族やジプシーはヒルシュフェルドのドイツ人やインド人との報告とほぼ同じ比率になったことなどから、離れた国に長期間住んでいても他との通婚が少ない場合血液型の比率が先祖とほぼ変わらないこと、逆に同じ国にいても先祖が違う集団は違ったままであることが判明した[60]

こうした結果より、民族の移動などを血液型から推測する研究がされるようになり、まず最初のヒルシュフェルド夫妻は『ヒルシュフェルドらの分類』の表のデータのうち、イギリス人からギリシャ人までを「ヨーロッパ型」、マダガスカル人からインド人までを「アフリカ・アジア型」としてその間の4民族を中間型とし、O型の比率はどこも極端に違わないのにA型とB型の人種差が極端に激しいので、「かつてA型を基本とするA人種(ヨーロッパの中?北部起源)とB型を基本とするB人種(インド北方起源)がいて、これが混血していき様々なABO式血液型の比率を生み出した。」という説を提唱した[61]

その後、世界各地の人種の血液型比率を調べていた際にスナイダーが混血が少ないアメリカ先住民族(原文は「アメリカ・インディアン」)にO型が極めて多い(453人を調べてOが91.3%だった)ことを報告し、これにより自分が提唱した後述の原則から「大昔はアメリカ先住民は100%O型だったのではないか」という説を提唱し[62]、これ以外にドイツのベルンシュタインなども自分の三因子仮説などから原始人類の血液型はO型のみでそこからA・B型が突然変異したのではないかという説を上げていた[63]が、カナダのアルバータ州でマトソンとシュラーデルが調査したところ、ほとんど混血のない先住民(前述のブラッド族・ブラックフィート族など)にA・O型が多くB・AB型が皆無という地域が見つかった他、オーストラリアでも白人との混血が少ないにもかかわらずA型の多い集団が発見され、原始人類はO型のみではないかという仮説は訂正された[64]

スナイダーは血液型を人類学に応用する際、以下の必要な四原則を定めている。
一民族の血液型分布率は、これと血液的に緊密な関係にある他民族の血液型の分布率と近似することが予期される。

一民族の血液型分布率が、これと血液的に緊密な関係にある他民族の血液型の分布率と大いに異なる場合、この民族はさらに他の民族との間に混血があることが予期される。

一民族の血液型分布率が、これと緊密な関係にない他民族の血液型の分布率と等しい場合、その祖先の時代において前者が後者あるいはその近い民族との間に混血があったことが想像される。

一民族がAまたはBのいずれか、あるいは両方を欠くか、その遺伝子頻度が非常に小さい場合、この民族は人類にAまたはBの突然変異が起こる前、またはAやBの広がる前からほかの民族と孤立して生存していたと考えられる。

この四原則は当てはまる場合も多いが、一致しない場合もあり他の証拠から近縁でさらに別の民族との交流が薄い民族同士でも分布率が大きく違い、逆に無関係のはずの2つの民族の血液型分布がほぼ一緒という場合もあるので、なるべく一定数以上の人数で広い範囲を確かな診断で調べる必要がある[65]
ABO式血液型の亜型分類

ABO型の各型の凝集力の違いなどを元にさらに下の亜型がある。検査については亜型検査を参照。

血液型の亜型はA2が最初の発見になり、通常のA型はフジマメ科の植物ドリコス・ビフローラスからとれるレクチンで凝集が起きる(B型・O型は凝集しない)が、A型であるにもかかわらずこれに反応しないものがあったことで発見された。このA2は酵素反応してないH物質が多く、このためドリコスレクチンに反応しなかった。原因はA2の遺伝子はABO血液型物質を作る354番目のアミノ酸の塩基配列が1つ抜けたため、次が終止コドンにならずにA1(通常のA)より長くなり、376個分のアミノ酸のデータで酵素を作るためこのような違いが起こっていた。なお後に判明した他の亜型の場合もA3は291番目のアミノ酸(塩基では871番目)、AXは216番目のアミノ酸(塩基では646番目)、B3は352番目のアミノ酸(塩基では1054番目)にこうした違いが起きていた[66]

基本的に型が同じなら抗原は同じもの(量が異なるのみ)なので亜型が違っても通常はその型の赤血球製剤で問題ない[67]し、反応する場合も低温でのみ反応する寒冷凝集素の場合は実害がないためそのまま輸血可能だが、まれに37℃反応性のその型の抗体(A型なら抗A1抗体、B型なら抗B抗体)を持っている場合は「O型」の赤血球製剤(A抗原・B抗原を持たない)を使用する。いずれの場合も血漿・血小板剤はその型のもので問題ない[68]
A型の亜型
A1
普通のA型。A型の人のうち約80%を占める。(赤血球1個当たりの抗原数8.1×105?11.7×105)
[67]
Aint
A1よりも弱くA2よりも強い。
A2
弱いA型。(赤血球1個当たりの抗原数2.4×105?2.9×105)このあたりからO型に間違えられやすくなる[67]。検査は抗Hレクチン、抗A1レクチン、被凝集価測定、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定、そのほかA1に対する抗体を持つものものが時々いる[69]ため、A型血球との間接抗グロブリン試験などでも調べる。
A3
かなり弱いA型。(赤血球1個当たりの抗原数7000)オモテ試験で部分凝集となるのが特徴。検査は抗Hレクチン、抗A1レクチン、被凝集価測定、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。その他A型とO型の血液キメラモザイクとの鑑別のため、混合赤血球の分離も。これ以外にほとんどがA1に対する抗体を持つという性質を持つ[69]
Ax
A3よりさらに弱いA型。(赤血球1個当たりの抗原数1400?10300)AでありながらAに対する抗体を持ち、あるはずの転移酵素や型物質がない。検査は抗Hレクチン、抗A1レクチン、吸着解離試験、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。
Am
Axよりさらに弱いA型。(赤血球1個当たりの抗原数1200)Aでありながらオモテ試験で凝集せずOと判定される。しかし転移酵素や型物質は存在する。検査は抗Hレクチン、抗A1レクチン、吸着解離試験、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。
Ael
ものすごく弱いA型。(赤血球1個当たりの抗原数700)「el」はelution(溶離・溶出)の略。吸着解離試験の検査以外ではA型と判断できない。
Aend
ものすごく弱いA型。特定の抗原が存在しないか、ごくわずかしか存在しない。

亜型抗A血清との反応抗B血清との反応血清中の抗A血清中の抗B型物質A型転移酵素適切な追加検査
A1+00+A、Hありなし
A2+0+/0+A、HありHレクチンとの反応、A1レクチンとの反応、被凝集価測定、唾液・血清中の型物質測定、転移酵素活性測定、A血球との間接抗グロブリン試験
A3mf(部分凝集)00+A、HありHレクチンとの反応、A1レクチンとの反応、被凝集価測定、唾液・血清中の型物質測定、転移酵素活性測定、混合赤血球分離
Ax+/00++HなしHレクチンとの反応、A1レクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定、A血球との間接抗グロブリン試験、家系調査
Am000+A、HありHレクチンとの反応、A1レクチンとの反応、吸着解離試験、唾液・血清中の型物質測定、転移酵素活性測定、家系調査
Ael00++HなしHレクチンとの反応、A1レクチンとの反応、吸着解離試験、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定、家系調査

基本的に血清中に抗Aがあると、血清を使った型物質測定はできない。
B型の亜型

B型はあまり研究が進んでいないが、A型同様のバリエーションがあると思われる。
B1
普通のB型。
Bint
B1よりも弱くB2よりも強い。
B2
弱いB型。
B3
かなり弱いB型。オモテ試験で部分凝集
となるのが特徴。検査は抗Hレクチン、被凝集価測定、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。そのほかキメラモザイクとの鑑別のため、混合赤血球の分離も。
Bx
B3よりさらに弱いB型。BでありながらBに対する抗体を持ち、あるはずの転移酵素や型物質がない。検査は抗Hレクチン、吸着解離試験、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。
Bm
Bxよりさらに弱いB型。Bでありながらオモテ試験で凝集せずOと判定される。しかし転移酵素や型物質は存在する。検査は抗Hレクチン、吸着解離試験、転移酵素活性測定、唾液・血清中の型物質測定。
Bel
ものすごく弱いB型。特定の抗原が存在しないか、ごくわずかしか存在しない。「el」は吸着解離試験を意味する。この検査以外ではB型と判断できない。
Bend
ものすごく弱いB型。特定の抗原が存在しないか、ごくわずかしか存在しない。

亜型抗A血清との反応抗B血清との反応血清中の抗A血清中の抗B型物質B型転移酵素適切な追加検査
B0++0B、Hありなし
B30mf(部分凝集)+0B、HありHレクチンとの反応、被凝集価測定、血清・唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定、混合赤血球分離
Bx0+/0++HなしHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
Bm00+0B、HありHレクチンとの反応、吸着解離試験、血清・唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
Bel00++HなしHレクチンとの反応、吸着解離試験、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定

基本的に血清中に抗Bがあると、血清を使った型物質測定はできない。
AB型の亜型
前述のA型亜型とB型亜型の組み合わせ
例えばA1B2の場合、Bの凝集力が弱いのでA型と誤認されやすくなる。両方凝集が弱い型だとO型との誤認もありうる
[67]普通、AB型(遺伝子型はA/B)とO型(遺伝子型はO/O)の両親からはA型とB型のこどもが生まれるが、遺伝子型がcis-AB/OとO/Oの親からはAB型(シスAB)とO型のこどもしか生まれない。
シスAB型 (cisAB)
普通、A型遺伝子とB型遺伝子が重なった際にAB型になる(例・A×B=AB)。しかしごく稀に、一本の染色体にA型とB型両方の遺伝子が乗っていることがある。このような染色体を持つ人は必ずAB型となり、このケースをシスAB型と呼ぶ。この場合、配偶者がO型でもAB型が生まれる事がある(例えばcisAB×Oの場合は全ての型が生まれる可能性がある)。ちなみに、普通のAB型はトランスAB型と呼ばれる。シスAB型はAB型の約10000分の1程度でかなりの低確率である。シスAB型の場合、普通のAB型に比べて抗原を作る量が少ないことが多く、A2B3(A・B双方の抗原が少ない)、A2B(B抗原は多いがA抗原は少ない)、A1B3(A抗原が多いがB抗原が少ない)の3種類が報告されており
[67]、一番典型的なA2B3型の場合、A抗原・B抗原は弱いがH抗原は通常より高く、A1レクチンに反応しない。血清に弱い抗B抗体があり、時には抗A1抗体もあるが体温では反応しないなどの特徴を持つ[70]。遺伝子を見るとA・B双方の抗原が少ないA2B3型の場合、A型遺伝子を基本に2か所(156番目と268番目)のアミノ酸が異なり、後者がB遺伝子の物と同じ配列になるのでAとBの酵素をつぎはぎにしたような酵素ができ、量は少ないがAとB双方の抗原が作られているのに対し、B抗原は多いがA抗原は少ない型の場合はB型遺伝子を基本にしているが235番目のアミノ酸がA型と同じ配置なのでB抗原が主に作られ、わずかだがA抗原も作られているといったような違いがある[71]

遺伝子型表現型抗A血清との反応抗B血清との反応血清中の抗A血清中の抗B型物質転移酵素適切な追加検査
AB/OA2B3+mf(部分凝集)+/0+A、(B)、HなしHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定、混合赤血球分離
AB/AA1B3+mf(部分凝集)0+A、(B)、HAHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定、混合赤血球分離
AB/BA2B+++/00A、B、HBHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定

O型の亜型(便宜上ボンベイ型・パラボンベイ型も解説)
(本来の)O型の亜型
元々O型が「ABO遺伝子のうちH物質に糖をつける遺伝子が働かないもの」すべてを指すので遺伝子の配列がかなり違うものが見つかっており、通常の87番目のアミノ酸製造の塩基が1つ抜けているもののほかに、さらに後半部で置換がある亜型と、87番目のアミノ酸はA型やB型と同じだが後半のアミノ酸で塩基の置換が生じてアミノ酸が4つ(176・235・266・268番目)異なっている(厳密には176番目がB型、235・256番目がA型、268番目がどちらとも違う。)亜型も見つかっている
[72]。いずれでも遺伝子を調べて分かる程度の違いでH物質が赤血球にそのままついているのには変わりがなく、輸血上の問題もない。
ボンベイ型(Oh)
インドのボンベイ(現在のムンバイ)で発見[73]されたことから、この名前がついている。H物質を組み立てる際にフコースをつける工程があるが、ボンベイ型はこの酵素が作られない遺伝子のためH物質自体が完成せず、ここから先のA抗原とB抗原も作られないためA型やB型の遺伝子を持っていても表試験ではO型と判定されてしまう。H物質を持たないため抗H抗体を自然抗体として持ち、うら試験で通常A・B型血球と対照用に使うO型血球[74]を凝集させる。この抗H抗体は体温で反応する[注釈 12]ので、ボンベイ型にO型を含むH抗原のある型の血液を輸血できず、同型(ボンベイ型)の赤血球製剤を輸血する[68]。表記は「Oh」だが、O型血液を輸血できないことなどから厳密にはO型と全く別の血液型である[75]
パラボンベイ型(記号は下記参照)
ボンベイ型と同様にH物質を組み立てる遺伝子の変異でH物質が完成しないが、こちらは赤血球にA抗原もしくはB抗原を弱くだが持つ型。(理由は#機構を参照)Ah型、Bh型(Row-IIとRow-IIIに分類[注釈 13])、AHm型[注釈 14]、BHm型、OHm型(Row-IIIに分類)が確認されている。Ah型、Bh型:通常のボンベイ型(Oh型)と同じ性質を持つが、AまたはB抗原が不完全で弱いながらも存在。AHm型、BHm型:血液上の抗原はAh型、Bh型と同様だが唾液は分泌性、OHm型はOh型(通常のボンベイ型)と同様だが唾液は分泌型。輸血の問題はボンベイ型と基本的に同じだが、Row-IIIのパラボンベイ型で抗体が低温性のもの(抗HI)のみAhの場合はA型、Bhの場合はB型を使用してよい。血漿・血小板剤はその型(亜型の種類によってA・B・Oの選択肢がある)のもので問題ない[68]

HSe表記抗A血清との反応抗B血清との反応抗H血清との反応唾液中のA型物質唾液中のB型物質唾液中のH型物質血清中抗体適切な追加検査
不活性非分泌型Oh000000抗HHレクチンとの反応、吸着解離試験、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
活性低下非分泌型Ah+/00+/0000抗HHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
活性低下非分泌型Bh0+/0+/0000抗HHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
活性低下分泌型Om00+/000+抗HIHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
活性低下分泌型Am+/00+/0+0+抗HIHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定
活性低下分泌型Bm0+/0+/00++抗HIHレクチンとの反応、被凝集価測定、唾液中の型物質測定、転移酵素活性測定

判定方法

試薬の抗A血清と抗B血清とを用いて、採取した赤血球と反応させて凝集の有無により判定する方法(おもて検査)で仮に判定される(抗H血清も使用することがある。抗H血清を使用するとボンベイ型の判定も出せる)。どちらかの血清で凝集が見られた場合はその血液型、どちらとも凝集が見られた場合はAB型、凝集が見られない場合はO型と判定される。これに加え、血液の血清を用いてA・B・O各自型の血球の凝集(O型血球は対照として用い、これが凝集する場合は判定を保留する。)を判定する方法(うら検査)で判定して結果が一致した場合に、血液型が確定される。

誕生時には、うら検査で判定するのに必要な血液型決定因子が不足しているので判定できず、おもて検査では、凝集が起きにくいタイプの場合や凝集の有無を間違って、誤って仮判定されるケースがある。そのため、成長してから正しい血液型が確定された場合に、ABO型の血液型が変わったかのように見える場合がある。なお、おもて検査とうら検査の判定が一致しなかった場合は再検査する。それでも一致しなかった場合は以下の可能性も考慮する。おもて検査とうら検査には優劣がないため、どちらかの判定を優先して血液型を決定するということはしない。

おもてとうら不一致時に考えられる可能性[76]
血球側に問題がある場合の例
亜型(#ABO式血液型の亜型分類参照)疾患による後天性の抗原異常(白血病ホジキン病などで抗原が弱まり、弱い亜型やO型と間違えやすくなる。)獲得性B(A型が癌や細菌による感染症で発生したB抗原が赤血球につき、AB型に見える場合がある。)血液キメラ・モザイク(複数の遺伝子や同じ遺伝子でも表現型が異なる血球が存在する。当然別型の血球ごとに反応が変わる。)汎血球凝集反応(血球の表面が細菌やウイルスによって劣化し、T抗原系統の露出ですべての抗原血清で凝集する。#汎血球凝集の各レクチンに対する反応参照)自己免疫性疾患による血球の抗体感作(自分の血液に反応する抗体が元からある)異型輸血後(別人の血が入っているのでキメラ・モザイク同様に別型の血球で反応が異なる。)
血清側に問題がある場合の例
連銭形成(凝集とは別の赤血球が数珠上に重なった状態を凝集と誤認。)低または無γグロブリン血症で抗体不足不規則抗体の存在(ABO式と無関係の血液型で凝集)血清中の血液型物質の増加(癌などで見られる場合がある)高力価の寒冷凝集素新生児や老人における抗A抗B抗体の欠損または低下(上記参照)新生児の胎盤通過性母親由来抗体(母親の抗体が新生児血清に混ざっている)亜型血清中の抗体(亜型の一部には同型抗原に抗体を持つ場合がある)

血液ではなく、遺伝子から判定するという手法もあり、血清による判定に比べ、誤判定が生じにくいことが特徴である。

反応強度スコア特徴と外観背景の色調
4+12一個の大きな凝集塊透明
3+10数個の大きな凝集塊透明
2+8中程度の凝集塊透明
1+5小さな凝集塊赤く濁る
w+2ごくわずかな微小凝集赤く濁る
00凝集も溶血もみられない赤く濁る
mf部分凝集赤く濁る
H(PH)完全溶血(部分溶血)赤く透明(濁る)

また、亜型検査は、輸血検査の中でも血液型を確定するのに非常に重要である。
抗原側検査
抗Hレクチン
H抗原のない、O型の亜型であるボンベイ型やパラボンベイ型には凝集せず、逆にその他の亜型には激しい凝集を起こさせる。またCad(+)血球にも凝集。対象は全亜型。特にボンベイ型、パラボンベイ型通常はO>A2B>B>A1>A1Bの順に凝集は強くなる。
抗A1レクチン(ドリコスレクチン[77]
A1抗原のない、A型の亜型であるA2型などには凝集しない。汎血球凝集などでも例外的に凝集する。対象はAの亜型。
ピーナッツレクチン
感染症などで細菌の酵素により血球の内在性抗原(T、Tk、Tnなど)が露出し、ピーナッツレクチンをはじめ全抗血清に凝集する。対象は汎血球凝集を疑う場合。詳細は下記
吸着解離試験
血球に抗原が存在することを証明するために、既知の抗体をいったん患者血球に吸着させ、熱解離などによって再び解離する。そして既知の同型血球とまた反応するかを調べる。対象は亜型のうちAm、Ax、Ael、Bm、Bx、Bel型。
再アセチル化
消化器系の感染症では細菌の酵素でN-アセチルガラクトサミンが脱アセチル化され、ガラクトースとなり抗B血清と反応するようになる。無水酢酸で再アセチル化すれば通常の状態に戻る。対象は後天性B。
被凝集価測定
抗原の強さを調べる。抗血清の希釈系列と患者血球を反応させ、どこまで凝集するかを調べる。対照と比較して被凝集価が2管差以上、スコアが10以上あれば亜型。対象はA2、A3、B3、パラボンベイ型
吸収試験
抗原の強さを調べる。被凝集価とは逆に患者血球の希釈系列と抗血清を反応させ、どこまで凝集するかを調べる。吸収価が1:8未満ではA3、B3以外の亜型。


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