A-train_(日立製作所)
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

A列車で行こう」、「Ac@train」、あるいは「S-TRAIN」とは異なります。

A-train(エートレイン)は、日立製作所が開発した鉄道車両の製造技術(次世代アルミニウム合金車両システム)。“A-train”に用いられた「A」は、Advanced・Amenity・Ability・Aluminum を統合的に表したものとしている[1]
概要

日立製作所が「環境負荷の低減」「ライフサイクルコストの低減」「今後の熟練者就業人口の減少への対応」をコンセプトに鉄道車両の生産方式を抜本的に見直したもので[1]アルミニウム合金のオールダブルスキン構体および自立型モジュール艤装を核とした車体トータルシステムとして構築したものである。従来の鉄道車両にはないシンプルで簡素な構造となったため、数万点あった部品点数が百数点まで削減された。

具体的には、以下のような特色を持つ。
アルミ押し出し型材を用いたダブルスキン構造[2]
初期のアルミ構体では、アルミ押し出し型材(以下、型材)製の骨組にアルミ薄板製の外板を溶接した骨組み構造を採用していた。これは鋼製の構体と同様な構造でもあった。その後外板の裏側に一体化した補強部材を持つ型材を用いたシングルスキン構造が開発され、溶接コストが削減されるとともに、車体の軽量化にも貢献した。さらにアルミ押し出し型材を中空箱型断面にしたものがダブルスキン構造である。車体の側構体・屋根構体・台枠が長手方向で接合することで、車体断面が閉じた形状を重ねた二重構造となるため、車内の騒音を軽減する効果があるとともに、中空箱型内部に設けられたトラス構造(斜め方向の強度部材)により車体強度や軽量化に優れる。また、車体全長サイズの型材を使うため部材の点数が減り、接合に伴うコストを削減する効果も期待できるほか、製造ラインの自動化がしやすい利点がある。
FSW溶接工法の採用[3]
型材の接合に摩擦攪拌溶接(FSW)工法を採用。このため従来の溶接工法に比較して接合部の軽減や強度改善、構体の見栄えの向上が図られるだけでなく、型材の接合の自動化も図られる。
自立型内装構造の採用[4]
従来の鉄道車両の内装は、構体の完成後内側からアルミ化粧板材やFRP製の内装板をネジ止めなどで取り付けていく工法を採用しており、部品点数が多く作業時間も多く要した。また、内装工程は構体完成後でないと開始できないため、車両組み立ての総工期を短縮するには限界があった。A-trainでは、内装自身が自立できるモジュールとして独立に作られ[* 1]、完成後に構体の端部から差し込むようにして取付けられる。構体には内装モジュールを支持するガイドレールが型材で形成されており、これで内装を前後方向にスライドさせると同時に上下左右方向に保持することができる。このためモジュールを固定する締結部品は必要最小限で済み、組み立てコストが削減できた。また、内装は構体の製作と並行して別な作業場で製作できるため、車両組み立ての工期も短縮可能となった。さらに車両の先頭部分、運転台部分、客室扉用のドアエンジン、中・長距離列車に必要なトイレなども、別工程で組立てたモジュールを取り付けるようになっている。
統合型制御伝送装置「ATI」の採用
「ATI (Autonomous Train Integration system)」を採用し、従来機能ごとに回路を設けていた構造をデジタル化しシリアル伝送とした。これにより、従来の回路に使用されていた100V信号線に比べて軽量化・省資材化が可能となった。また、乗務員室には編成のコンディションを各車ごと・各動力車ユニットごとに表示するモニタが配置され、乗務員の負担軽減を図っている。これに合わせて、電車の制御方式は通常VVVFインバータ制御となる。他、減速から停止まで一切物理ブレーキ(空気ブレーキ)を使用しない全電気ブレーキの採用などを可能にしている。また、自動放送など乗務員補助の機能も付加されている。このATIは、日立製作所独自のアーキテクチャを採用しているが、規格化し複数の鉄道会社に仕様の細部のみを変更して納入するA-Train自体のコンセプトにより、幅広く普及させることでコストを軽減させている。ただし、納入先の仕様により他の制御伝送装置を採用することも可能となっている。
A-trainの採用例(日本)

JRグループ

北海道旅客鉄道(JR北海道)

735系以降の在来線アルミ製電車


JR東日本グループ

東日本旅客鉄道(JR東日本)

E257系[* 2][5]

EV-E801系[* 3]


東京モノレール

10000形



西日本旅客鉄道(JR西日本)

683系[* 4][1]


九州旅客鉄道(JR九州)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:82 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef