A面/B面
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2曲目にもタイアップが付くと、2曲目のタイアップが格下の場合を除き、両A面となる[注 7]。B面曲が後に新たにシングルカットされ1曲目になるケースもある。

洋楽の場合、日本独自のシングルカットや他国盤と日本盤ではA面とB面が入れ替えられたり[注 8]、他国盤では同一シングルのA面・B面に収録されている曲が日本盤では別々のシングルに収録されて発売される[注 9]ことがある。これらはレコード契約の緩かった1960年代に多い。

B面曲は、マーケティング的な制約が少ないため、音楽家の嗜好が強く出た曲、実験的な曲、ライブ用の曲(しばしばライブの定番曲となる)、簡易的に作られた曲などがB面曲となることも多い。

A面曲が次のオリジナル・アルバムに収録されることが多いのに対し、B面曲が収録されるとは限らない。B面曲をオリジナル・アルバムに収録しないことが慣例となっているアーティストも多い。そのような場合、アルバム未収録曲がある程度たまったら、B面曲のみを集めたアルバムが制作されることもある。そのようなアルバムは「B面集」「裏ベスト」などと呼ばれる[注 10]。そのようなアルバムについてはB面集のカテゴリを参照のこと。A面曲をオリジナル・アルバムに収録せず、B面曲のみを収録する場合もある[注 11]。B面集を通常のA面集と同時リリースあるいはセット(複数枚組)で発売するケースもある[注 12]。中にはA面曲とB面曲の両方を1アルバムに収録したものも存在する[注 13]

ベスト・アルバムもB面曲が収録されることはあまりないが、さらに稀有な例としてA面曲を収録せずB面曲のみ収録されることがある[注 14]

物品税の時代はレコード・CDは童謡と判定されれば非課税であったが、A面曲とB面曲のうち一方が童謡と判定されても、もう一方が歌謡曲と判定され課税されるというケースもあった[注 15]
ジャマイカ

ジャマイカのレゲエ盤ではB面にはA面の曲からボーカルやホーンのトラックを削除したカラオケ音源(ヴァージョンという)を収録することが多かった[1]。しかし、レコーディング・エンジニアキング・タビーがB面のヴァージョンとして収録されていた楽曲に強いエフェクターをかけた楽曲を収録したのをきっかけに、1970年代にはダブと呼ばれる手法が世界中に広まった[1]
両A面シングル・両B面シングル

両A面シングル(りょうエーめんシングル、double A-side single)は、2曲収録のシングル盤の両方の曲をA面曲と称するものである。この場合は2曲目はカップリング曲と呼ばない(ただし、収録曲が3曲以上ある場合、3曲目以降をB面もしくはカップリング曲と呼ぶことがある)。

シングル・レコードでは、通常両面に1曲ずつが収録され、両A面でない通常のシングルではそれぞれA面・B面と呼ばれる。A面曲の曲名は盤名となり、プロモーションにおいても優先される。両A面とすることでその区別がなくされ、盤名も2つの曲名の連名表記となることが多い。

両A面シングル方式を最初に導入した作品は、1965年にリリースされたザ・ビートルズの「デイ・トリッパー/恋を抱きしめよう」である。それを追いかけるようにザ・ローリング・ストーンズ1967年に「夜をぶっとばせ/ルビー・チューズデイ」を両A面でリリースした。

通例は両A面(もしくはダブルAサイド、ダブルA面)シングルと呼ばれる。近年では、収録曲3曲をA面とした「トリプルA面シングル」[注 16]や、さらには収録曲4曲全てをA面とした「クアトロ(クワトロ)A面シングル」[注 17]「マルチA面シングル」で発表されるケースも見られる。まれに両方の曲をB面曲とした両B面シングルとして売り出す場合もある[注 18]

両A面シングルは、アーティスト側およびレコードレーベルレコード会社が2曲両方ともプロモーションしたい場合に使われることが多く、両方の曲あるいは2曲目のみにタイアップがついていて、制作上の意向によってはミュージック・ビデオが制作されることもある[注 19]。しかし、2曲目を両A面曲としながらもプロモーションが行われない、名目上だけの両A面シングルも多く存在する[注 20]。逆に両A面の2曲目やトリプルA面、およびクアトロA面の2曲目以降の曲が1曲目に比較してテレビやラジオ等の放送メディアで披露される頻度が非常に高く、極端に有名になったものもある[注 21]。制作者の手を完全に離れる作品が生まれることも稀にある[注 22]アニメソングでは1曲目をオープニング曲、2曲目をエンディング曲とした両A面シングルも数多く存在する[注 23]。また、両A面曲の曲順を入れ替えたものや、本来B面(カップリング)曲だった曲がA面曲に昇格(変更)したものが発売されたこともある[注 24]

2010年代に入ると「音楽配信限定シングル」と称して発表された楽曲が直後のシングルの両A面の2曲目として収録されたり[注 25]、カップリングとして収録されること[注 26]が増えている。

日本のオリコンチャートでは、シングル曲は原則としてA面のみタイトルが載るが、「両A面」ではすべての収録曲のタイトルが「○○/○○」といった具合に載る。2曲目以降の曲はB面(カップリング)扱いされることも少なくなく、さらに音楽番組で1曲目以外が披露されないことも少なくない。
アルバムのA面/B面

アナログ・レコードのアルバムとして発売されるLP盤では、いったん裏返すというレコードの特性を生かし、A面・B面で違ったイメージを演出するなどの手法もとられた[注 27]。A面・B面を「ホワイトサイド」、「ブラックサイド」と分けた上で作風と作曲者を完全に区別した作品[注 28]も存在する。

欧米のアルバムLPでは(2枚組の場合)1枚目がA面とC面(またはD面)。2枚目がB面とD面(またはC面)になっていることもある。これは複数のレコードを片面のみ連続で再生するレコードチェンジャーと呼ばれる機器による再生を前提としたもの。
音楽媒体以外での構成
両面1層方式Blu-ray/DVDのA面/B面

両面1層方式DVDが用いられるのは、もっぱら片面では入りきらない長時間の映画などに限られるため、その時間的順序に応じてA面/B面が決められるのが普通である。裏返す手間のいらない片面2層方式DVDやブルーレイディスク (Blu-ray)の普及に伴い、使い勝手の面で不利なブランクメディアのDVD-R、およびDVD-RWを含む両面1層方式のDVDは市場から消滅している。
ゲームにおけるA面/B面

ファミリーコンピュータ ディスクシステムは、ゲームソフトメディアとしては珍しく両面方式であった。ソフトによってはA面にだけデータが書き込まれB面は空きとなっているものがあり、専用のディスクライターで書き込むことで1枚のディスクに2種類のゲームが収録できる場合もあった。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ナポレオン14世(Napoleon XIV)の「・・・・・・ハハ、ヒヒ、ンオレポナたっ狂 (!aaaH-aH ,yawA eM ekaT ot gnimoC er'yehT)」(『狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ・・・・・・ (They're Coming to Take Me Away, Ha-Haaa!)』のB面)
^ KinKi Kids『愛のかたまり』(『Hey! みんな元気かい?』B面)、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』(『カッコマン・ブギ』B面)、ザ・ドリフターズ『いい湯だな(ビバノン・ロック)』(『ズッコケちゃん』B面)、SMAP『オレンジ』(『らいおんハート』B面)、AKB48365日の紙飛行機』(『唇にBe My Baby』B面)、GARO学生街の喫茶店』(『美しすぎて』B面)、B'zTIME』(『BLOWIN'』2nd beat)といったものが代表。ポルノグラフィティ『ジレンマ』(『ヒトリノ夜』B面)に至っては、メンバーが「ワシらのLIVEのラスト1曲といえばジレンマ。」と公言している。
^ いしだあゆみ夢でいいから/太陽は泣いている」、MEN'S 5ソウルお父さん/“ヘーコキ”ましたね」などがこれに該当する。


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