9mm機関けん銃
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9mm機関けん銃宇都宮駐屯地で撮影(2012年4月8日
概要
種類短機関銃
製造国 日本
設計・製造ミネベアミツミ
性能
口径9 mm[1]
銃身長120 mm[1]
使用弾薬9x19mmパラベラム弾
装弾数25発(箱形弾倉[1]
作動方式単純吹き戻し式[1]
オープンボルト撃発
セミオート/フルオート切替式[2]
全長339 mm[1]
重量2.8 kg[1]
発射速度約1,185発/分[3]
有効射程100 m[2]
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9mm機関けん銃(9ミリきかんけんじゅう)[1]は、長野県の企業であるミネベア(現ミネベアミツミ)社が製造し、1999年自衛隊が採用した9 mm口径短機関銃[注釈 1]である。防衛省は略称をM9、広報向けの愛称を一般公募から選ばれた「エムナイン」としている。
開発の経緯9mm機関けん銃を装備した第1空挺団の幹部自衛官

当初9mm拳銃の更新用装備火器として主に指揮官などの自衛用に開発され、配備が開始された[2]

配備計画は予定を変更し、第1空挺団第12旅団西部方面普通科連隊の指揮官への配備完了をもって陸上自衛隊による調達は終了しているが、航空自衛隊と海上自衛隊による調達は継続している[4]

配備計画には存在したが74式戦車60式自走106mm無反動砲などの乗員用の自衛火器である11.4mm短機関銃M1M3)は、結局のところ9mm機関けん銃には更新されず、そのまま使用され続け[注釈 2]、更新用には折曲銃床式89式小銃が当てられることとなった[5]

9mm拳銃は前述のとおり9mm機関けん銃に全て更新されたわけではなく、9mm機関けん銃採用後も自衛用、近接戦闘用火器として使用されている。

一部書籍などで、PKO派遣に伴う部隊装備火器の問題を回避するために開発が始まったとする記述があるものの、実際には前述の通り9mm拳銃や11.4mm短機関銃(M1M3)を装備する指揮官・隊員の自衛火器の更新及び火力増強が主な目的であり、PKOに絡む問題は開発とは無関係である。
特徴9mm機関けん銃を携行する隊員

下部レシーバー(機関部)は前方へ張り出し、直立形状のフォアグリップ[注釈 3]が取り付けられ、内部に弾倉を収納するため太く握り難いグリップの保持を補助する。銃床は持たず[2]、射手は両手の力のみで銃を保持する必要がある。

機関部の全長を短縮するため、イスラエルミニ UZI(旧型)同様のL型ボルトを採用し、オープンボルト方式の撃発機構、セミオート/フルオート射撃機能を有する[6]。機関部は切削加工により製造されており、マズルブレーキは、ミニ UZIのように銃身を直接開口したものではなく[2]、銃身覆いと呼ばれる[7]延長部にスリットを開けた形状で、銃口の跳ね上がりの抑制よりもマズルフラッシュの軽減に重点を置いたものになっている。

発射速度を抑制する機構はなく、毎分1,185発と高速だが、上述の通り銃床を欠くため肩で反動を受け止めることができない[8]。そのため、この銃を扱うだけの十分な体力・体格や技量がない場合、全自動時の保持射撃は困難である。

セレクターの各ポジションには、64式7.62mm小銃と同様に安全/単射/連射の頭文字である「ア/タ/レ」と記され[2]、「当たれ」の意味が込められているとされる。

陸上自衛隊での調達数は平成11年度70丁、12年度100丁、13年度13丁、14年度56丁、15年度27丁となっており、平成16年度以降は調達されていない。調達価格は一丁につき付属品を含め40万円程度と、同水準の銃器であるミニ UZIやイングラムM10などと比べて高価となっている[9]

防衛省仕様書で要求されている性能は、「精度試験装置に固定し、単発射撃により射程50 mで40 cm×40 cmの標的に射撃した際に、10発中7発以上命中するものとする」となっている[10]。一方で、部隊内での装備実験で用途や命中精度など[注釈 4]に不具合があるとの意見も出された。

複数の書籍[11][12][13]において、小型の短機関銃のもつ特性の一面である「目標を正確に狙うというよりも至近距離弾をばらまいて敵を制圧するのに向いている」といった評論がなされている(マシンピストルを参照)。

同サイズの機関拳銃の比較9mm機関けん銃PP-2000CBJ-MSM10ミニ UZITMP
画像
使用弾薬9mmパラベラム弾9mmパラベラム弾
.45ACP弾9mmパラベラム弾9mmパラベラム弾
.45ACP弾
装弾数25発[注 1]20/44発[注 1]20・30発[注 1]・100発[注 2]32発(9mm)・30発・40発(.45)20発[注 1]15・30発[注 1]
銃身長120 mm182 mm200 mm146 mm197 mm130 mm
全長339 mm340 mm/555 mm[注 3]363 mm/565 mm[注 3]296 mm/548 mm[注 3]360 mm/600 mm[注 3]282 mm
重量2.8 kg1.5 kg2.8 kg2.85 kg2.7 kg1.3 kg
発射速度1,185発/分600-800発/分700発/分1,090発/分950発/分850 ? 900発/分


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