89式5.56mm小銃
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89式5.56mm小銃
89式5.56mm小銃
種類小銃
製造国 日本
設計・製造豊和工業
仕様
口径5.56mm[1]
銃身長420mm[1]
ライフリング

6条右転(178mm/1回転)[2]
使用弾薬89式5.56mm普通弾[2]
装弾数20発/30発(箱型弾倉[2]
作動方式ガス圧利用(ロングストロークガスピストン式)ロータリーボルト式[2]
全長916mm(固定銃床式)[2]
916mm/670mm(折曲銃床式)[3]
重量3,500g(弾倉を除く)[1]
発射速度650-850発/分[2]
銃口初速920m/秒[2]
有効射程500m
歴史 
製造期間1989年-2020年
配備期間1989年-
配備先陸上自衛隊
海上自衛隊
海上保安庁
警察庁
都道府県警察
など
製造数約120,000丁
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89式5.56mm小銃(はちきゅうしき5.56ミリしょうじゅう、: Howa Type 89 Assault Rifle)は、自衛隊が制式化した自動小銃である。1990年代以降、陸上自衛隊の主力小銃となっている。

部隊内では「ハチキュウ」と称される。
概要64式7.62mm小銃(上)と89式5.56mm小銃(下)

89式5.56mm小銃は、64式7.62mm小銃の後継として開発され、1989年自衛隊で制式化された。国産の自動小銃に相当し、自衛隊と海上保安庁警察特殊部隊(SAT)において制式採用されている。開発製造は豊和工業が担当し、1丁あたりの納入単価は20万円台後半-40万円(調達数によって変動)。武器輸出三原則により納入先が自衛隊など日本政府機関のみに厳しく制限されてきたため生産数が伸びず、量産効果による価格の抑制効果が働かないため、世界各国の現役の主力小銃としては高価な部類に入る。

使用する弾薬および弾倉は、西側の共通規格である5.56x45mm NATO弾STANAG弾倉に準じている。そのため、必要があれば在日米軍などの同盟軍とそれらを共用できる。また、5.56mm機関銃MINIMIとも弾薬互換性を持つ[注 1]。さらには特別な器具なしで06式小銃てき弾を装着できるため、すべての89式で火力支援と限定的な対戦車戦闘が可能となっている。左方切換レバー・89式小銃用照準補助具を装着した89式5.56mm小銃(2010年

形状は、日本人の平均的な体格に適した設計がなされている。銃身長420mm(約16インチ)というカービン(短縮小銃)に近い長さでありながら、大型の消炎制退器銃口制退機能によって高い制動性と良好な集弾性能を有する。また、取り外し可能な二脚を有し、展開し接地することで安定した射撃ができる。銃床は固定式だけでなく、コンパクトに折りたためる折曲銃床式が空挺隊員車両搭乗隊員向けに配備されている。

材質・製造方法は、大量生産が容易なように選択されている。銃床、銃把、被筒には軽量かつ量産性に優れた強化プラスチックを採用し、金属部分はプレス加工を多用している。さらに、銃を構成する部品数が64式から10%減少し、生産性や整備性が向上している。

冷戦末期に設計された本銃であるが、海外派遣ゲリコマ対策など新たな課題に向けて、各部の改修・改良が実施されている。進捗は部隊によって異なるが、左側切換レバー設置や光学式照準器の装着などが進められている。さらには本銃を試作原型とした「先進軽量化小銃」が開発されていた。
開発
前史豊和工業がライセンス生産、および小口径弾の研究で用いたAR-18

1950年代NATOによる小火器弾薬の標準化が行われ、アメリカ軍M14M60が使用していた弾薬が7.62x51mm NATO弾として採用された。以降、ドイツ西ドイツH&K社のG3 シリーズ、ベルギーFN社のFALMAGなどで採用され、それらが多くの国で使用されることとなる。日本においても減装弾ではあったが、7.62mm弾を使用するアサルトライフルの開発が行われ、64式7.62mm小銃として1964年に制式化、自衛隊海上保安庁へ配備が行われた。

だが、7.62mm弾の開発元であったアメリカ軍は、ベトナム戦争の最中に小口径高速弾である5.56x45mm(M193)を使用するアーマライト社のAR-15M16として採用した[4]。小口径の5.56x45mm弾は、有効射程が短くなるものの、携行弾数を増加できるという利点があった。

一方の7.62mm弾は、日本人より体の大きいヨーロッパ兵士にとっても反動の大きさから連射時の命中精度が低下する、操作性が悪いといった問題を抱えていた[5]。そこで、1976年6月にNATO各国は、1980年代以降に使用する統一弾薬についてのテストを開始すると決定する[5]。このテストは、7.62x51mm NATO弾を残し、この7.62mm弾に加えてライフル用に新たに最良とされる弾薬を選出するためのもので、アメリカのみならずヨーロッパ各国で新たな弾薬(小口径高速弾)を模索する方向で動き出した[5]

日本においては64式の制式化の翌年である1965年豊和工業がM16を開発したアーマライト社と技術提供を結び、AR-18とAR-180(AR-18のセミオートマチック専用型)のライセンス生産を開始し[6]、豊和工業はAR-18を用いて小口径弾の研究を開始する[6]。AR-18は5.56mm口径弾を使用するが、M16とは異なりショートストロークピストン方式を採用、プレス加工成型を多用していた[6]
次期小銃研究

1974年より「将来戦を想定した小口径小銃」[7]として研究を開始していた防衛庁(当時)に協力して、社内で次期小銃研究を行っていた豊和工業は、1977年AR-18の研究では技術的発展性に問題が生じたため、独自の構想に基づく新型ライフルの設計を開始する[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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