4320p
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4320pは、ディスプレイ動画解像度などで用いられる用語で、画面アスペクト比16:9で、有効垂直解像度4320本かつ、順次走査の動画を指す略称である[注釈 1]正方形ピクセルにおいて7680×4320、33メガピクセル(3317万7600画素)の動画となる。つまり、2012年で最も使われる1080iの縦横それぞれ4倍、画素数は16倍である。UHDTV(超高精細テレビ)における「8K」であり、8K UHDTV、8K UHD、スーパーハイビジョン8Kと呼ばれている。フルスペックで撮影できる機材は2010年[1]に、フルスペックで表示できる機材は2011年[2]に開発されている。
人間の視覚能力の限界に到達

NHK技研の研究により、映像サイズが水平視野角100°を上回ると、人間が映像から得られる臨場感は飽和することが分かっている。この水平視野角100°は、画面の高さの0.75倍の距離から視聴した場合に達成できるが、人間が画面の粗さを全く感じないように実現するためには、水平画素数を約8000万画素にする必要が有る。つまり、4320p(8K)で解像度の面では臨場感の限界に到達する計算になる[3]

人間の視覚系において体験の向上が感じられるフレームレートは240fpsが上限[4]とされ、フレームレートでは依然として臨場感向上の余地が残されている。8K240Hzは2021年現在未だ実用化されていないため、4320pディスプレイの普及開始以後はディスプレイのフレームレートの向上に技術開発のトレンドが移ると予測されている。
名称

はじめに、映像がITUによりITU-R BT-1769(2006)、SMPTEによりSMPTE 2036-1(2007)が規定された。これらには2160pが含まれる[5]

国際電気通信連合(ITU)においてはUHDTV(Ultra HD television)、超高精細テレビに含まれる。2012年5月24日、4320pをUHDTVのうち8Kと呼ぶことが勧告された。そのため「8K UHDTV」「8K UHD」と呼ばれている[6][7]

またはUHDTV(Ultra high definition television)を直訳して「超高精細映像 8K」。総務省の発表資料でしばしば使用されている[8]

総務省においては現行の1080iを2Kとして、4Kと8Kを併せて愛称をスーパーハイビジョンとしている。そのため4320pは、「スーパーハイビジョン 8K」と呼ばれている[9]

他には8K Ultra HDまたはUHDTV Level2(超高精細テレビ レベル2)、UHDTV-2と呼ばれる[10][11]

8K4Kや単に8Kとも呼ばれるが、デジタルシネマ向け4K、4096×2160(1.90:1)の4倍の画素数の、8192×4320を指すこともある。

画面解像度においてはUHDと呼ばれている。ちなみに4KはQFHDとも呼ばれている(2K(Full HD)に比べて面積が4倍(Quadruple)になることから)。

スーパーハイビジョンには、「4K」と「 8K」があるが、NHKが単に「スーパーハイビジョン」と呼ぶときは4320pのみを指すことが多く、120p、4:4:4/12bit画質の「フルスペック」かつ22.2chサラウンドを目指して開発している。略してSHVとも呼ばれる。
種類

ARIB STD-B56では解像度の他に複数のパラメーターが定められている。

フレームレート60, 120
色差信号4:4:4, 4:2:2, 4:2
階調10bit, 12bit

実際の撮影では、デュアルグリーン方式を加えた種類がある[12]

フレームレートカラー非圧縮デジタルレート名称
60p4k×4(R・B・G1・G2)24Gbps(12bit),19.9Gbps(10bit)デュアルグリーン
120p48Gbps(12bit)
60p8k×3(R・G・B)72Gbps(4:4:4/12bit),39.8Gbps(4:2:2/10bit)
120p144.3Gbps(4:4:4/12bit)フルスペック

撮影

カメラ性能は大きく分けて、4つに分類できる

フルスペックの三板方式(8K×3枚 R/G/B)

デュアルグリーンの四板方式(4K×4枚 R/B/G1/G2)

ベイヤー配列の8K単板方式(8K×1枚)

ベイヤー配列の16K単板方式(16K×1枚)

カメラの性能は世代ごとに向上している。

1世代(2002年) - 80kg
CCD 2.5インチ光学

2世代(2004年) - 40kg CMOS ズーム付き

3世代(2010年) - 20kg CMOS
これら3つは3840×2160の撮影素子を緑のみ2枚にしたデュアルグリーンの四板方式。緑の2枚目を3色から水平垂直方向に1/2画素分ずらしてある。緑はフルスペックの半分、赤と青は1/4の解像度しかないが補間演算よって4320Pを撮影する[13][14][15]

4世代(2010年) - 65kgは初のフルスペック(7680×4320)のCMOS×3板式カメラである[16]

5世代のカメラはベイヤー配列8K単板方式の小型カメラである。
2012年5月、NHK放送技術研究所と日立国際電気で共同開発した、単板式CMOSによる4キログラムの小型ビデオカメラを公開した。7680×4320のCMOSをベイヤー配列のカラーフィルターで補間演算し擬似的に4320Pカラー映像を撮影できる。ロンドンオリンピックにおける撮影で使用された[17]

2012年には、NHKと静岡大学と開発した、120Hz(120p)に対応したCMOS撮影素子を発表した。撮像領域は21.5mm×12.2mmと小型である。この撮影素子を使用したカメラは、2012年に3版式カメラが、2013年5月には単板式カメラが発表されている。単板式カメラはNHKとアストロデザインの共同開発で、2キログラムと軽量であるが60pまでとなっている[18][19]

2014年には、ベイヤー配列(デュアルグリーン)の16K CMOSを開発した。単板でも16Kになると三原色とも8K以上の解像度があるため、単板でありながら8K 3板以上の画質となる[20]。また、既に販売されている4Kカメラ、CineAlta F65を改造した8Kカメラが発表された。元々F65はハニカム配列に似た8k2K程度の解像度、1900万画素CMOSを搭載しており、8Kデュアルグリーン相当の画質を出力できる。

2020年に、シャープから発売された5Gスマホ "AQUOS R5G"のカメラでは、8K映像が撮影できる。それにより、スマートフォンでも8k映像が撮影できるようになった。

ディスプレイ

開発初期は、3840×2160の素子を緑のみ2枚使用し、緑の2枚目を3色から水平垂直方向に1/2画素分ずらしてある。4板式プロジェクター。緑はフルスペックの半分、赤と青は1/4の解像度しかないが擬似的に4320pを表示する。赤青のプロジェクターと緑緑のプロジェクター2台を並らべて投影する[13]

2009年、技研公開において、NHKがビクターと共同開発したフルスペックを満たす(8192×4320)の3板式プロジェクターを公開した[21]


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