4-アミノサリチル酸
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
4-amino-2-hydroxy-benzoic acid
臨床データ
胎児危険度分類
C
法的規制
UK: 処方箋のみ (POM)
投与経路Oral
薬物動態データ
血漿タンパク結合50?60%
代謝肝臓
排泄腎臓
識別
CAS番号
65-49-6
4-アミノサリチル酸(4-アミノサリチルさん)は、結核の治療に使われた抗生物質である。潰瘍性大腸炎やクローン病に強い効果があることが認められ、1940年代から炎症性腸疾患の治療に用いられている。核内因子κB (NF-κB) を抑制することと、フリーラジカルを除去することにより薬効が現れると考えられている。類縁体の5-アミノサリチル酸は一般名メサラジンとして販売される医薬品である。パラアミノサリチル酸 (paraaminosalicylic acid) とも呼ばれ、PAS(パス)と略称される。
医薬品としてはカルシウム塩が用いられる。 4-アミノサリチル酸は1948年から臨床の場で使われるようになった(日本では1950年から市販され、翌1951年から保険適用[1])。結核に効果のある治療薬としては、ストレプトマイシンに次いで2番目に発見されたものである。リファンピシンやピラジナミドが開発されるまでは、結核の治療に用いられる標準的な薬の一つであった[2]。 結核治療薬としての効果は現在一線級の薬(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミド、ストレプトマイシン)よりは落ちるが、多剤耐性結核には依然として有効である。常に他の抗結核薬と併用される。 容量は150ミリグラム/キログラム/日で、これを2回から4回に分けて投与される。平均的な大人への投与量は1日4回、約2から4グラムとなる。アメリカ合衆国では「パーサー (Paser)」の商標名で、4グラム入りの徐放剤が販売されている。この薬剤は酸性の食べ物や飲み物(オレンジ、リンゴ、トマトジュースなど)とともに服用する必要がある[3]。かつて、4-アミノサリチル酸とイソニアジドの合剤が、パシナー (Pasinah)[4] やピカミサン33 (Pycamisan 33)[5] の名称で製造されていた。 4-アミノサリチル酸は潰瘍性大腸炎の治療にも使われているが[6]、スルファサラジンやメサラジンに取って代わられている。 マンガンのキレート療法 消化器への副作用(吐き気、嘔吐、下痢)が一般的にみられる。これらを抑えるため、徐放剤の剤形が採用されている。薬剤性の肝炎をひき起こす場合もある。グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症の患者は溶血を起こす可能性があるので、4-アミノサリチル酸の投与は避けなければならない。また、4-アミノサリチル酸は甲状腺ホルモンの合成を阻害するため、甲状腺腫も生じうる副作用の一つである。薬物相互作用にはワルファリン、フェニトインの血中濃度上昇が挙げられる。リファンピシンと併用した場合、その血中濃度はおよそ半分まで下がる[8]。 カルシウム塩として投与するため、高カルシウム血症患者には使用できない。 アメリカ食品医薬品局は胎児危険度分類においてカテゴリーCに入れ、胎児に害を及ぼすかどうか不明としている。 3-アミノフェノールのカルボキシル化により製造される。加熱すると脱炭酸を起こし3-アミノフェノールに変化する[9]。
薬効
副作用
歴史(スウェーデン語版
合成と性質
出典^ ⇒パラアミノサリチル酸 - 新・結核用語辞典
^ Mitchison, D. A. (2000). “Role of individual drugs in the chemotherapy of tuberculosis Role of individual drugs in the chemotherapy of tuberculosis”. The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease 4 (9): 796?806. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}PMID 10985648
^ “Paser”. RxList. 2008年10月25日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2008年10月10日閲覧。
^ Smith, N. P.; Ryan, T. J.; Sanderson, K. V.; Sarkany, I. (1976). “Lichen scrofulosorum: A report of four cases”. British Journal of Dermatology 94 (3): 319?325. doi:10.1111/j.1365-2133.1976.tb04391.x. PMID 1252363.