31平均律
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31平均律(: 31 equal temperament)は、31-tET, 31-EDO, 31-ET, とも略称され、オクターブを31段の等間隔なステップ(等しい周波数比)に分割することにより得られる音律である。各ステップは周波数比 2 1 31 {\displaystyle 2^{\frac {1}{31}}} ( 2 31 {\displaystyle {\sqrt[{31}]{2}}} )、または 1200/31 ? 38.70967742 セントである。
歴史

オクターブの31段への分割は、レッサー・ディエシス(オクターブと3重の長3度の比、128:125 あるいは 約41.059セント) は、ほぼ全音の1/5、あるいは半音の1/3である、というルネッサンス音楽理論から自然に起こった。

1666年にLemme Rossiが最初にこの平均律を提案し、その後まもなく、独自にそれを発見した有名な科学者クリスティアーン・ホイヘンスがこれに関し記述した。

この時代の標準的な調律のシステムが、5度が51/4の周波数比に調整される1/4コンマ中全音律であったが、31平均律はそれよりもわずかに約0.196セント広いだけの約696.774セントの音程を持つ。

ホイヘンスは、31平均律が7限界和声の素晴らしい近似を提供することに注目した。このことは当時先進的な洞察であった。

20世紀に至り、物理学者であり音楽理論家・作曲家でもあるAdriaan Fokkerは、ホイヘンスの著述を読み、この調律システムに対する関心の復活を導いた。
スケール図

これはスケールにおける31音程のうちの21である:

間隔 セント773977393939773977773977393939773977773977
音名AA#B♭BC♭B#CC#D♭DD#E♭EF♭E#FF#G♭GG#A♭A
音程 セント  0   77 1161942322713103874265035816196977357748138909291006108411231200

残りの十の音を加えることができる。例えば、5つの「重変」音および5つの「重嬰」音、あるいは四分音システムと同様に半嬰音や半変音を加える。
音程

音程名サイズ(段)サイズ(cent)純正比純正(cent)誤差(cent)
自然七度25967.7427:4968.8261.084
完全五度18696.7743:2701.9555.181
広い七限界三全音16619.35510:7617.488-1.867
狭い七限界の三全音15580.6457:5582.5121.867
狭い十一限界の三全音14541.93511:8551.3189.382
完全四度13503.2264:3498.045-5.181
十三限界の半減四度12464.51613:10454.214-10.302
七限界の長三度11425.8069:7435.0849.278
十一限界の長三度11425.80614:11417.508-8.298
長三度,純正10387.0975:4386.314-0.783
十一限界の中立三度9348.38711:9347.408-0.979
短三度,純正8309.6776:5315.6415.964
七限界の短三度7270.9687:6266.871-4.097
七限界の全音6232.2588:7231.174-1.084
全音,大全音5193.5489:8203.9110.362
全音,小全音5193.54810:9182.404-11.145
大きな十一限界の中立二度4154.83911:10165.00410.166
小さな十一限界の中立二度4154.83912:11150.637-4.202
七限界の全音階的半音3116.12915:14119.4433.314
全音階的半音,純正3116.12916:15111.731-4.398
半音階的半音,純正277.41925:2470.672-6.747
十一限界のディエシス138.7145:4438.9060.196
七限界のディエシス138.7149:4835.697-3.013

12平均律の中におおよその適合がなく、しかも19平均律では適合不良しかない7:6、8:7、および7:5の比率に、31平均律は非常に近い適合を示す。

特に、調和級数の7番目と11番目の部分音に対する良い一致のために、作曲家Joel Mandelbaum(1932年生まれ)は、この調律系を使用した。[1]

この調律は中全音律であると考えることができる。そこには、4重の5度の重なりが長3度と同じであるという必要な特性がある。また、10:9(小全音)と9:8(大全音)のサイズの中間にある"中全音"を含む。
脚注^Six American Composers on Nonstandard Tunnings: Douglas Keislar; Easley Blackwood; John Eaton; Lou Harrison; Ben Johnston; Joel Mandelbaum; William Schottstaedt Perspectives of New Music, Vol. 29, No. 1. (Winter, 1991), pp. 176-211.

関連項目

19平均律 - 1/3コンマ中全音律への近似

43平均律 - 1/5コンマ中全音律への近似

音律

平均律

純正律

ピタゴラス音律

中全音律


外部リンク

de Beer, Anton, The Development of 31-tone Music
(2009年4月3日時点のアーカイブ

Fokker, Adriaan Daniel, Equal Temperament and the Thirty-one-keyed organ(2009年2月19日時点のアーカイブ

Rapoport, Paul, About 31-tone Equal Temperament(2009年2月19日時点のアーカイブ

Terpstra, Siemen, Toward a Theory of Meantone (and 31-et) Harmony(2009年2月19日時点のアーカイブ

Barbieri, Patrizio. ⇒Enharmonic instruments and music, 1470-1900. (2008) Latina, Il Levante Libreria Editrice


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