300ページのiPhone請求書(英語: 300-page iPhone bill)とは、2007年8月にアメリカのビデオブロガーのジャスティン・エザリックへAT&Tモビリティから郵送された箱入りの300ページに及ぶiPhone使用料金の請求書[1]のことで、エザリック本人によりこの請求書に関するバイラルビデオが製作・公開され、その不経済性などを理由に、たちまちインターネットミームとして広がった[2][3][4]。この275ドルを求める請求書には、課金期間のEメールやテキストメッセージのバックグラウンドトラフィックを含む全てのデータ通信の記録が収められていた。
この予想外の請求書に関する話はAppleがiPhoneの大々的な宣伝攻勢をかけてリリースした後、ブログや技術系報道メディアを駆け巡り始め[5][6]、その時ビデオクリップの話題がマスコミを惹きつけるようになった。公開から10日後には動画サイト上のビデオ視聴数は300万に達し[7][8]、世界中のニュースで報じられるようになると、AT&TはiPhoneユーザーに対して請求方法を変更する旨のテキストメッセージを送信した[9]。発端から約2ヶ月後には、情報技術雑誌Computerworld
(英語版)がこの出来事を「Technology's 10 Most Mortifying Moments(→技術におけるもっとも悔しい10の瞬間)」の1つに選定した[10][11]。2007年にAppleがアメリカ合衆国で初代iPhoneを発売した時、SIMロックがかかっていたのでユーザーはAT&Tモビリティのネットワークでしか使用できなかった[12]。ユーザーは購入後、AppleのiTunesソフトを使ってAT&TのiPhoneサービス契約のアクティベーションを実行しなければならないが、このプロセスを行うときユーザーは請求書に記載する項目を選択できる[13]。しかし特別に選択しなかった場合、使用内容を詳細に記載するAT&Tのデフォルト設定が選択される[14]。デフォルトの請求書には、電源の入り切りも含めたウェブブラウジング、Eメール、テキストメッセージ[8]のバックグラウンドトラフィックなどの全データ転送の明細が載ることになっており[15]、結果的に膨大な情報量の請求書が作成されることになる[5]。
iPhone販売から1ヶ月後[16]、一足早くiPhoneを購入した者に初月の請求書が郵送され始め、異常なほど厚いまたは高いiPhoneの請求書という話が駆け巡り始めた。300ページは例外的だが、ヘビーユーザーは50から100ページの分厚い請求書を受け取るケースが多く起きていた[17]。最初にこのような請求書を問題にした人物の一人が技術情報サイトArs Technicaのゲーム記事編集者であるベン・クチェラ(英語版)で、彼自身には34ページの両面印刷の請求書が、彼の同僚には104ページの請求書が送られた[5][6]。彼は「多くの人々はしばらく前からスマートフォンを使ってきたが、こんな請求書を送られたのは初めてだ。」と述べている[18]。その後、エザリックが話題のビデオを公開して、iPhoneの請求書問題がメディアに大きく取り上げられるようになった[19]。 当時23歳[19]、ピッツバーグ在住のグラフィックデザイナー、スケッチコメディアン、ブロガーであるエザリックに、2007年8月11日土曜日に、この300ページに及んだ請求書が郵送された[20]。その後彼女は請求書を題材として、あるコーヒーショップで自作ビデオを撮影した[21]。翌週の月曜日、彼女は編集された1分間のビデオクリップをいくつかの大手動画共有サイトに投稿した[21]。
ビデオ
公開と反響