フェノールフタレイン
低pH (0?8.2) での構造
IUPAC名
3,3-bis(4-hydroxyphenyl)isobenzofuran-1(3H)-one
識別情報
CAS登録番号77-09-8
258 - 263 °C, 534-536 K ([1])
水への溶解度不溶
ほかの溶媒への溶解度ベンゼンに不溶、エタノールとエーテルに非常に溶ける、DMSOにわずかに溶ける LambdaMax = 552 nm (1st)
374 nm (2nd)[1]
危険性
GHSシグナルワード危険(DANGER)
HフレーズH341, H350, H361[1]
PフレーズP201, P281, P308+313[1]
EU分類 T Xn
NFPA 704320
RフレーズR22, R40, R45, R62, R68,
SフレーズS53, S45
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
フェノールフタレイン (phenolphthalein) は化学式 C20H14O4 の有機化合物である。分析化学において 酸塩基指示薬として用いられる。白色または淡黄色の固体であり、水には非常に溶けにくい。PP、HIn、もしくはphph と略されることがある。滴定に広く利用される。
粉末のほか、エタノール-水の溶液が試薬として市販されている。フェノールフタレインをエタノールに溶かし、水で希釈したものは酸塩基指示薬としてアルカリ性の検出に用いられ、赤紫色(濃い桃色)を呈する。濃度が濃ければ、紫色にもなることがある。強塩基の場合は、非常にゆっくりと色が消えていき、無色となる。色の変化は、構造が変わることで起こり、pH < 8.3 の酸性側で無色、pH > 10.0 の塩基性側で赤紫色を示す。なお、pH > 13.4では、さらに構造が変化し、無色となる。以下の4つは各pHにおけるフェノールフタレインの構造式である。
各pHにおけるフェノールフタレインの構造式化学種In+H2InIn2?In(OH)3? フェノールフタレインは無水フタル酸と2つのフェノールの3つの分子を酸性条件で縮合させることにより合成される。この反応は1871年、アドルフ・フォン・バイヤーによって発見された[3][4][5]。フェノールフタレインの合成 フェノールフタレイン フェノールフタレインは一世紀以上にわたって下剤に利用されてきたが、げっ歯類の実験結果より、発癌性の疑いが認められたため、現在では一般用医薬品から除外されている[7][8][9]。 フェノールフタレインはカスル・マイヤー試験
構造式
モデル
pH<-1 H2SO4中[2]0?8.38.3?13.4>13.4
酸性度強酸性酸性または中性塩基性強塩基性
色オレンジ無色ピンクからフクシャ無色
画像
合成
用途フェノールフタレインのアルカリ水溶液
pHによる色の変化
7.8以下[6]?10.0?13.4?13.4以上
またおもちゃにも使用されており、つや消しのインクや、バービーの髪を染める際に使用される。バービーの髪には空気中で二酸化炭素と反応(潮解)する水酸化ナトリウムが加えられている。この反応では水素イオンが発生し、呈色が始まるpHの数値が下がる。 OH − ( aq ) + CO 2 ( g ) ⟶ CO 3 2 − ( aq ) + H + ( aq ) {\displaystyle {\ce {OH^-(aq)\ + CO2(g) -> CO3^{2-}(aq)\ + H^+ (aq)}}}