密集は、人がたくさん集まったり、少人数でも近い距離で集まることを指す[3]。対策としては、他の人と互いに手を伸ばしても届かない十分な距離(2メートル以上、最低でも1メートル)を保つことが効果的である[3]。 密接は、互いに手が届く距離で会話や発声、運動などをすることを言う[3]。密接はどんな場面でも起こり得る[3]。世界保健機関 (WHO) によれば、5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛沫が飛ぶ(約3000個)ことが報告されている[1]。対策としては、会話・発声・運動などの際に、十分な距離を保ち、マスクを着用することが求められる[3]。 2020年当時の内閣総理大臣・安倍晋三は、4月17日の衆議院厚生労働委員会で妻・安倍昭恵の大分旅行に関連して「密」が3つ重なることが問題であると発言した[7]。対して22日の記者会見で菅義偉官房長官(当時)は「3つの条件が重ならなければ感染のリスクがないと言っているのではない」と強調した[7]。これらの整合性について毎日新聞は懐疑的に報じている[7]。 また、2021年に日本国内でもいわゆる変異株の拡大が始まってからは「1密」や「2密」でも感染拡大のリスクが高まったことが報告されている[8]。4月には河原での飲み会(密集、密接)における感染例が、3月には2メートル以上の間隔を空けての劇場での稽古(密閉)における感染例が報告されている[9]。西村康稔経済再生担当大臣(当時)は5月2日の会見で「最近のクラスターにはこれまでに見られなかった事例が出てきている」としたうえで「1つの密だけでも感染が広がっているケースもある」と注意喚起した[8]。厚生労働省に対策を助言する専門家組織も「3密の場面だけではなく、2つあるいは1つの要素だけでも感染のリスクがある」と言及した[8]。 首相官邸・厚生労働省は「ゼロ密を目指そう!」と呼びかけるポスターを制作している[10]。 また、国立感染症研究所も、ゼロ密を「1つの密でも避ける」と定義し、基本的感染防止策として呼びかけている[11]。 厚生労働省クラスター対策班が設置され、クラスターの共通項を見つけて類型化すれば、より有効な行動変容を呼びかけることができるはずとの議論がなされた[12]。 厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大の予防策として、「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために[13]」を公表した。スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどでは1人の感染者から複数に感染が広まった事例が報告されていることを念頭に、集団感染(クラスター発生)の共通点として、 を挙げ、注意喚起をした[14]。 国内での感染者が増加傾向に入った3月9日、厚生労働省の専門家会議は、これまで集団感染が確認された場所は三つの条件を満たす場所や場面だとし、それらを避けるように要請した[15][16]。この時点では の三つが挙げられ、さらに「クラスターの発生のリスクを下げるための3つの原則」として、 を挙げた[16]。これらに加えてこまめな手指衛生と咳エチケットの徹底、共用品を使わないことや使う場合の充分な消毒を感染予防の観点から強く推奨した[16]。ただ、この時点では「密」に着目した言及はなかった[15]。専門家会議の発表を聞いた官邸スタッフの一人が、集団感染が確認された場所や場面の3つの条件のうちを3つ目の「近距離での会話や発声」を「密接」とすることを提案し、「3つの密」が誕生した[15]。 3月18日、首相官邸公式Twitterは、 を避けて外出するように呼びかけ[17]、3月19日には新型コロナウイルスの集団発生防止に関するチラシ「密を避けて外出しましょう!」を公式サイトに掲載した[18]。
密接
回避の解釈
経緯2020年、3密を避けるように呼びかけるチラシが布マスク(いわゆるアベノマスク)と共に国民に配布された。
2020年
2月25日
3月1日
換気が悪く
人が密に集まって過ごすような空間
不特定多数の人が接触するおそれが高い場所
3月9日
換気の悪い密閉空間
多くの人が密集
近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声
換気を励行する
人の密度を下げる
近距離での会話や発声、高唱を避ける
3月18日
換気の悪い密閉空間
多数が集まる密集場所
間近で会話や発声をする密接場面
Size:88 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef