を挙げ、注意喚起をした[14]。
3月9日
国内での感染者が増加傾向に入った3月9日、厚生労働省の専門家会議は、これまで集団感染が確認された場所は三つの条件を満たす場所や場面だとし、それらを避けるように要請した[15][16]。この時点では
換気の悪い密閉空間
多くの人が密集
近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声
の三つが挙げられ、さらに「クラスターの発生のリスクを下げるための3つの原則」として、
換気を励行する
人の密度を下げる
近距離での会話や発声、高唱を避ける
を挙げた[16]。これらに加えてこまめな手指衛生と咳エチケットの徹底、共用品を使わないことや使う場合の充分な消毒を感染予防の観点から強く推奨した[16]。ただ、この時点では「密」に着目した言及はなかった[15]。専門家会議の発表を聞いた官邸スタッフの一人が、集団感染が確認された場所や場面の3つの条件のうちを3つ目の「近距離での会話や発声」を「密接」とすることを提案し、「3つの密」が誕生した[15]。
3月18日
3月18日、首相官邸公式Twitterは、
換気の悪い密閉空間
多数が集まる密集場所
間近で会話や発声をする密接場面
を避けて外出するように呼びかけ[17]、3月19日には新型コロナウイルスの集団発生防止に関するチラシ「密を避けて外出しましょう!」を公式サイトに掲載した[18]。これは後に、「3つの密を避けましょう!」に変更された[19]。この時点ではまだ国民に広く浸透はしていなかったが、3月25日に小池百合子東京都知事が記者会見で「NO!!3密 3つの密を避けて行動を」とボードに掲げ、この姿が広く報道されたことで知名度が上がった[15]。
3月28日
3月28日には、安倍晋三首相(当時)が記者会見で「3つの密」を避けるように呼びかけた[20]。
以来、「3つの密」は新型コロナウイルス拡大防止の標語として広く用いられているが、3月31日から4月1日にかけて厚生労働省とLINEが新型コロナウイルス対策のため全国の利用者を対象に行った調査の第1回では、「3つの密」を避ける取り組みが十分ではない現状が明らかになった[21]。
5月14日
安倍首相は会見で「3つのお願い」の3つ目として、引き続き3つの密を生活のあらゆる場面で避けていただきたい、と呼びかけた[22]。
6月18日
6月18日の記者会見で安倍首相は、クラスター対策を進める中で「3つの密を避けることによって、日々の仕事や暮らしを続けながら感染を予防できる」との知見が得られたとし、また「3つの密」は3つのC(Three Cs)として、世界中で認識されるに至っているとの認識を述べた[23]。詳細は「#日本国外への普及」を参照 新型コロナウイルス感染症が2023年5月に5類感染症に移行した後の感染対策について、厚生労働省の専門家会議で専門家の見解が取りまとめられる。3月8日の会見では、「3密の回避と換気」を含む感染対策が引き続き呼びかけられた[24][25]。 「3つの密」は2020年初頭・新型コロナウイルス感染拡大初期では日本国内でも十分に波及しなかったものの、先述の小池百合子東京都知事の会見での言及や後述の「密です」発言、安倍晋三首相の会見での言及などを経てマスメディアでも取り上げられるようになり、年内には新型コロナウイルスの感染拡大防止策として当たり前に使われるようになった[15]。 厚生労働省とLINEが協力して行った全国調査で寄せられた全国およそ2400万人の回答を分析したところ、「3つの密」を避けていると答えた人の割合は、第1回の調査(3月31日から4月1日)時点では全国で28.83パーセントだったが、4月7日に政府が緊急事態宣言を出したあとの第3回の調査(4月12日から13日)では50.88パーセントと大幅に増えた[26]。また、英訳の「Three Cs」も感染拡大防止策として国際的に普及した(#日本国外への普及)。 2020年11月5日に発表された同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」候補30語でも、他の「アベノマスク」 「ソーシャルディスタンス」 「PCR検査」 などの新型コロナウイルス関連の用語とともにノミネートされ[27]、12月1日、年間大賞として「3密」 が選ばれた[28]。前日の11月30日に発表された「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2020』」では、3位に「密」が選出されている[29]。キャッチコピーを研究する中央大学の飯田朝子教授は「密」を「今年を象徴する一文字」と評価している[30]。
2023年
3月8日
波及・派生2021年2月、緊急事態宣言下の渋谷駅前、ハチ公広場。「3密」の回避やソーシャルディスタンスの確保などを呼びかける掲示が確認できる。平時より人出が少なく、また通行人はマスクを着用している。