3月のライオン
[Wikipedia|▼Menu]

.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、羽海野チカによる漫画作品、また同作を原作とする2016年 - 2017年放送のテレビアニメおよび2017年公開の映画について説明しています。矢崎仁司監督による1992年公開の映画については「三月のライオン」をご覧ください。

3月のライオン
ジャンル青春将棋青年漫画
漫画
作者羽海野チカ
出版社白泉社
掲載誌ヤングアニマル
レーベルヤングアニマルコミックス
(旧ジェッツコミックス[注 1]
発表号2007年14号 -
発表期間2007年7月13日 -
巻数既刊17巻(2023年8月現在)
その他監修:先崎学
取材協力:日本将棋連盟、壽堂
漫画:3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代
原作・原案など羽海野チカ(原案・監修)
作画西川秀明
出版社白泉社
掲載誌ヤングアニマル
レーベルヤングアニマルコミックス
(旧ジェッツコミックス)[注 2]
発表号2015年9号 - 2020年7号
巻数全10巻
話数全86話
アニメ
原作羽海野チカ
監督新房昭之
シリーズディレクター岡田堅二朗
シリーズ構成新房昭之、東冨耶子
脚本木澤行人
キャラクターデザイン杉山延寛
音楽橋本由香利
アニメーション制作シャフト
製作「3月のライオン」アニメ製作委員会
放送局NHK総合
放送期間第1シリーズ:2016年10月8日 - 2017年3月18日
第2シリーズ:2017年10月14日 - 2018年3月31日
話数第1シリーズ:全22話
第2シリーズ:全22話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『3月のライオン』(3がつのライオン)は、羽海野チカによる日本漫画作品。将棋を題材としており、棋士先崎学が監修を務める。『ヤングアニマル』(白泉社)にて2007年14号から連載されている。2022年1月時点で累計発行部数は1000万部を突破している[1]

2015年9月にテレビアニメ化と実写映画化が発表され[2]、テレビアニメは2016年10月から放送(#テレビアニメ参照)、実写映画は2017年に公開された(#実写映画参照)。

また、羽海野チカ原案・監修、西川秀明執筆による『3月のライオン』のスピンオフ『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』(3がつのライオンしょうわいぶん しゃくねつのとき)が、同誌にて2015年9号から2020年7号まで連載された[3]
制作背景

連載当初から休載しがちであり、長らく不定期連載の状態にある。特に単行本コミックス新刊発売前は2 - 3号程度連続で休載し、新刊発売時に連載再開する際、発売された単行本の続きから本誌で読めるようになっている。

羽海野の作品では初めての青年誌連載で、男性中心の雑誌なので女性は夢のある姿に、川本家あかりたち3姉妹を描いた。桐山零は、時代劇の『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズを資料として渡され、男はつらく厳しい闘いでも、終われば優しく迎え入れてくれる人がいるとまた頑張れる姿を参考に、そういう男の子として描いた[4]

棋戦について、作中では全部で7つのタイトル戦が存在し、名人戦以外は異なる架空の名称となっている。なお、獅子王戦については本作とのコラボレーションで「第零期 獅子王戦」と銘打った非公式戦がキャストの神木隆之介、染谷将太、尾上寛之が参加する形で2017年3月に開催された(詳細は将棋電王戦参照)[5]

コミックス14巻では羽海野の前作である『ハチミツとクローバー』の「藤原デザイン事務所」の面々が登場し、『ハチミツとクローバー』のその後に触れられると共に、零が部長を務める駒橋高校将棋部(部員は校長、教頭ら教師陣)と職団戦(職域団体対抗将棋大会)で対局する。

コミックス表紙などには英題「March comes in like a lion」が書かれている。映画『三月のライオン』(1992年、監督:矢崎仁司)を羽海野は観ていなかったが「おかっぱの女の子が食べかけのアイスをくわえている」映画ポスターと映画タイトルの印象が残っていた。この句はイギリスの天気の諺「3月はライオンのようにやってきて、子羊のように去る (March comes in like a lion and goes out like a lamb)」(en:Weather lore#Lion and Lamb参照)からであり、羽海野は「物語がつくれそうな言葉」と感じていた[6]。また、監修の先崎は、順位戦は6月に始まり、昇級・降級を賭けた最終局が3月に行われるため、棋士が3月にライオンとなる旨をコメントしている[7]
受賞・評価

以下の各賞を受賞している。

2010年 第1回
ブクログ大賞マンガ部門大賞

2011年 第4回マンガ大賞2011

2011年 第35回講談社漫画賞一般部門

2014年 第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞[8]

2015年 ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2015」コミック部門 第1位[9]

2016年 ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2016」コミック部門 第1位[9]

2017年 第29回将棋ペンクラブ大賞特別賞

2017年 ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2017」コミック部門 第1位[10]

2021年 第24回文化庁メディア芸術祭賞 マンガ部門 大賞[11]

同誌連載の『ベルセルク』作者・三浦建太郎からは「アニマル一男らしいマンガ」と評価されている[12]
あらすじ
第1巻 - 第5巻(アニメ 第1期)

桐山零は、幼いころに交通事故で家族を失い、の友人である棋士、幸田内弟子として引き取られ、15歳でプロ棋士になった。幸田の実子の香子たちとの軋轢もあり、六月町にて1人暮らしを始めた零は1年遅れで高校に編入するが、周囲に溶け込めず校内で孤立し、将棋の対局においても不調が続いていた。

自らの境遇を停滞していると感じていた零は、ある日先輩棋士に無理やり付き合わされたあげくに酔いつぶされ、倒れこんでいたところを川本あかりに介抱されたことがきっかけで、橋向かいの三月町に住む川本家と出会い、3姉妹と夕食を共にするなど交流を持つようになる。

そんな折、獅子王戦トーナメントにて、義姉の香子を巡る因縁を持つ棋士・後藤との対決に零は気炎を上げるが、それを意識するあまりに己の分を見失い、格上であるA級棋士の島田を侮っていたことを島田本人に見透かされて、大いに恥じる。その後、島田と後藤の対局を見た零は、ひとつ自分の殻を破り、島田の研究会に参加する。

学校生活でも、担任の教師・林田の提案で将棋部を設立することになり、紆余曲折を経て放課後理科クラブと合体した放課後将棋科学部(将科部)に所属し、部活動を体験する。こうした様々な人々に関わることで、少しずつ零の心境に変化が生じていった。
第5巻 - 第9巻(アニメ 第2期)

進級後しばらくして、は川本家の次女・ひなたがいじめ問題に巻き込まれたことを知る。いじめられていた同級生をかばったことで、今度は自身がいじめの標的になり、それでも自分がしたことは間違っていないと叫ぶひなたを見て、幼いころ抱えた心の傷から救われた零は、何があっても彼女を守ると誓う。

同じころ、新人王トーナメントの対局中に二海堂が倒れ、重い病気(慢性の腎臓病)を隠しながら将棋を指し続けていたことを知った零は、自身の力を尽くさず、千日手に持ち込んで二海堂を棄権に追いやった行為に怒りを燃やし、山崎を決勝で破り新人王になる。

その後、ひなたのいじめ問題も一応の解決を見、新人王を獲得して将科部の面々から祝福を受けた零は、名人位のタイトルホルダーである宗谷との記念対局に臨んだ。夏休みに入り、零が通う高校への進学を決意したひなたのため、零は家庭教師としてひなたの受験勉強を支援する。ひなたは無事合格し、高校生活のスタートを切った。
第9巻 - 第11巻

入学後すぐに友人もでき、明るく楽しげなひなたの様子に、は遠くから見守りつつ安堵する。

しかし、川本家の祖父・相米二不整脈で入院した直後に、家を出て行ったはずの3姉妹の実父・誠二郎が突然姿を現し、一緒に暮らそうと提案する。誠二郎の魂胆は、3姉妹を家から追い出し、そこに新たな妻子を移り住まわせることにあると、3姉妹の伯母・美咲から聞いた桐山は、教師の林田や先輩の野口の助けを借りて情報を集め、あまりに無責任な誠二郎の実態を知る。

誠二郎の目論みを阻止するため、零はそれを川本家に暴露したうえ、自分は「ひなたの婚約者」であると宣言する。誠二郎を一旦引き下がらせることには成功したものの、ひなたには零自身の想いが伝わっておらず、その後も足踏み状態が続くこととなる。

それでもあきらめない誠二郎は、零が大阪で藤本雷堂との対局の間に川本姉妹を言いくるめようとする。対局を急戦で勝った零は、三月町に戻り誠二郎と会う。誠二郎は川本姉妹の異母妹を連れてくるという強硬手段に出るものの、あかりとひなたからの絶縁宣言を受け入れざるをえず、異母妹とともに帰っていった。
第12巻 - 第17巻

相米二からあかりが抱える心の問題を聞かされたは、解決策としてあかりの伴侶を探すことを思い立つ。川本家の夏祭りの手伝いの中、その場に居合わせた島田林田に、あかりの伴侶としての可能性を見いだした。並行して、二海堂とともに東洋新聞社オープントーナメントの本戦に挑むが、絶好調の辻井に手も足も出ず早々に敗退してしまう。それに対して、二海堂が宗谷名人相手に善戦したのを目の当たりにし、嫉妬を覚えるとともに名人の視界に留まるための修練を改めて誓った。

トーナメント戦の終了後、零は川本家との魚釣りに島田・林田を誘うなど、あかりとの接点を持たせようと立ち回る。ひなたと仲良く振る舞う零であったが、当のひなたは零とあかりが付き合うべきと島田たちに漏らしてしまう。

林田らの職団戦と学校生活最後の文化祭が重なったことを残念に思う自分に気付いた零は、自分の世界がいつの間にか広がっていたことを自覚する。ひなたは再度「おねいちゃんと零ちゃんはお似合い」と口にするが、それはのときのように、零の心をあっけなく失うのではないかという恐れが言わせるものであった。

島田や横溝の計らいで文化祭後半に間に合った零は、後夜祭の中、ひなたに改めて自身の想いを告白。結婚宣言以来の互いの認識のズレを解き、告白を受け入れた彼女と、恋人同士としての交際を進めていく。

時を同じくして、獅子王戦の予選を勝ち進む零は、準決勝で野火止あづさ、決勝で彼の師匠の田中太一郎と対局する。辛くも両名を退けて本戦出場を決めるが、対局中「真っ暗な部屋」に放り込まれる感覚が、以前よりも早まっていることに恐怖を覚える。零自身は、原因として「強い棋士と当たる機会が増えた」「他の棋士が、自分への研究を深めてきた」「『居場所を求めるが故の、将棋の神様との偽りの契約』に対する報い」「ひなたとの交際による心のバランスの変化」である、と考えた[注 3]。零は一人で解決しようとしていたが、ひなたに諫められ、二人で一緒に問題に向き合うことを約束する。その後、「真っ暗な部屋」に放り込まれる感覚から解放された零は、島田研究会のメンバーがひしめき合う獅子王戦の決勝トーナメントで、二海堂との久々の公式戦に臨み、熱戦の末勝利を収める。対局後は、二海堂に対して真に心を開くようになる。

零が獅子王戦の決勝トーナメントを勝ち進むのと時を同じくして、あかりは三日月堂の3代目として新たな業務形態を模索する中、建設業者の2代目青年との繋がりを得る。
登場人物

声はテレビアニメ、演は実写映画のもの。
主人公
桐山零(きりやま れい)
- 河西健吾内山夕実(幼少期) / 演 - 神木隆之介[13]大西利空(少年時代)本作の主人公。作中では史上5人目となる中学生でプロ入りした若手棋士。物語開始時点で順位戦C級1組、五段。単行本9巻以降はB級2組、六段。年齢は物語開始時点で17歳。身長はテレビアニメ第1期時点で170センチメートル[14]。幼いころに交通事故で両親と妹を失い、父の友人である棋士の幸田柾近に内弟子として引き取られる。幸田の実子との軋轢により家庭内で居場所がないため将棋に没頭し、15歳でプロ棋士となる。幸田の娘・香子が家を出ようとするのを引き止めるため、自分が家を出ることを決意し、中学卒業後、東京都内にある架空の町、六月町で1人暮らしを始める。当初は精神的に投げやりで荒んだ生活を送っていたが、川本家や放課後将棋科学部(将科部)などとの関わりを経て少しずつ心境に変化が生じ、将棋界でも島田への憧憬の念に突き動かされ、研究会に入ったり将棋部を作ろうとしたりするなど自分の閉じた世界を開いてゆく[注 4]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:360 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef