27クラブ
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27クラブ(: The 27 Club、トゥエンティセブンクラブ、にじゅうななクラブ)は、27歳で死亡したポピュラー音楽ミュージシャンアーティスト俳優の一覧である[1]薬物乱用アルコール依存症殺人自殺交通事故など暴力的な手段によって死亡していることが多い[2]
概要

1969年から1971年の短期間に複数の人気ミュージシャンが集中してこの年齢で死亡したことにより、はこの年齢でよく起こるとする信念に繋がった。統計学研究では、25歳や32歳と比較しても、この年齢での死亡者の異常なパターンを発見することは出来ていない。2011年BMJの調査では、ヤングアダルトミュージシャンの死亡率は他のヤングアダルトのそれより高い結果が出たが、「名声はミュージシャンの死亡リスクを高めるかも知れないが、このリスクは27歳に限定されない」と結論付けている[3][4][5]キース・ムーンジョン・ボーナムは共に32歳で死亡している。ジーン・シモンズは早世した才能を称賛する風潮を厳しく批判している。

「27クラブ」は音楽雑誌新聞、デイリープレスで繰り返し引用されている。いくつかの展示は小説映画舞台芸術などのアイディアに捧げられている[6][7][8][9][10]。このような早期死亡の原因とその可能性のある関係に関する多くの異なる理論と推測がなされてきた。カート・コバーンジミ・ヘンドリックスの伝記を手掛けた作家のチャールズ・R・クロスは、BMJの研究が発表される4年前に次のように書いている。「27歳で死亡したミュージシャンの数はどの標準でも著しく目立っている。(もっとも)人間はどの年齢でも定期的に死亡するが、27歳で死亡するミュージシャンの為の統計的な波形がある」[11]
歴史ロックバンドドアーズのリードボーカル、ジム・モリソン。

1969年から1971年の間、ブライアン・ジョーンズを嚆矢とし、その後ジミ・ヘンドリックスジャニス・ジョプリンと続いた後にジム・モリソンが全員27歳で死亡した。当時、この偶然の一致によって不吉な噂が生まれ[12][13]、四半世紀後、カート・コバーンが同じく27歳で死亡すると「27クラブ」の概念が公衆の認識のなかで定着した[11]

ヘンドリックスとコバーンの伝記記者チャールズ・R・クロスによると、インターネットテレビ番組雑誌などのメディアの重要性の高まりと、コバーンの母親のインタビューへの反応が、理論の原因となった。コバーンの母親ウェンディ・フレイデンバーグ・コバーン・オコナーはワシントン州アバディーンの新聞「デイリー・ワールド(英語版)」に次のように語った。「今、彼は去ってしまって、あの愚かなクラブに加わってしまった。私はあの愚かなクラブに参加しないように彼に言っていたのに」。クロスは彼女が言う「クラブ」とは、同じ年齢で死亡したヘンドリックス、ジョプリン、モリソンを指していると指摘している[14] 。他の著者も彼の見解を共有している[15]。一方、ジョシュ・ハンターとエリック・シーガルスタッドは著書「The 27s: The Greatest Myth of Rock & Roll」の中で、コバーンの母親は2人の叔父と大叔父(全員自殺している)の死に言及していたのではないかと指摘している[16]。クロスは「カート・コバーンが27クラブに加わるために意図的に死ぬタイミングを計ったという陰謀論者たちの不条理な考え」を否定した[11]

コバーンが死亡してから17年後の2011年エイミー・ワインハウスが27歳で亡くなった。これはクラブに再び大衆メディアの注目が集まるきっかけとなった[17]。死の3年前、彼女は、その年齢で死ぬことの恐れを表明していた[18]

27クラブのメンバーとしての資格を得るには、必ずしもミュージシャンである必要はない。「ローリング・ストーン」には、2003年に自殺したテレビ俳優ジョナサン・ブランディスが、27クラブの「メンバー」のリストに含まれていた[19]パンクロックバンドで演奏していたが、主に映画俳優として知られていたアントン・イェルチンは、2016年に死亡したときにクラブのメンバーとも言われていた[20]。同様に、グラフィティ・アートの分野で著名なジャン=ミシェル・バスキアも27クラブのリストに含まれている[21][22]
科学的研究

2011年12月にブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された調査によると、27歳の時点でミュージシャンの死亡リスクは増加していないと結論に達した。調査のために選ばれた無作為のミュージシャンは、20代と30代で死亡リスクが増加していたが、それは27歳に限定されていなかった[3]インデペンデント2015年の記事でも、ポピュラー音楽のミュージシャンは27歳で死亡する可能性は低い統計的な証拠が示されている[23]
ジーン・シモンズ

キッスジーン・シモンズが『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』(原題『27: The Legend and Mythology of the 27 Club』)を上梓。この中で、早世する才能を称賛する風潮を批判している[24][25]

例えば、冒頭でシモンズはこう指摘している。「私たちは愛するものを萎れる前に捨てたがる。それがアメリカのポップ・カルチャーの心理学だ。まだ二十歳を越えたばかりのブランド・ニュー・スターのレコードや映画を手に入れ、次の金でタブロイド紙を買い、彼らの中毒症状や離婚や肥満や鬱状態や自殺の記事を読みあさる。おだてあげろ、そして、叩き落とせ。」

シモンズはその見た目に反し、アルコールやドラッグを一切やらないことを公言していることで知られる。
映画

2018年にイギリスで『27クラブ(原題:27: Gone Too Soon)』が公開。監督はサイモン・ネピア=ベル。日本では未公開だが、Netflixで配信されている[26]
創作物での引用
音楽

ジョン・クレーギー(英語版)のアルバム「Montana Tale」の収録曲「28」は、クラブのことを指している。歌詞では、ジム・モリソン、ジャニス・ジョプリン、カート・コバーンの死に言及されている。


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