NPBでは、2021年のNPBレギュラーシーズンが2020東京オリンピックの開催に伴って7月中旬から1ヶ月ほど中断することを前提に、日本シリーズを11月13日から開催することをレギュラーシーズンの開幕前に計画。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行拡大の影響で前年(2020年)に中止していたセントラル・リーグのクライマックスシリーズを再開することや、前年は1ステージ制で開催していたパシフィック・リーグのクライマックスシリーズを2ステージ制に戻すことも決めていた。
しかし、レギュラーシーズンが開幕してから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染が一部の球団内で拡大。当該球団における公式戦の延期に加えて、雨天による公式戦の中止も相次いだことから、レギュラーシーズンの日程の消化が当初の予定より遅れていた。上記の事態を受けて、NPBでは中断期間内の7月21日にオーナー会議を開催。その結果、日本シリーズとクライマックスシリーズの開催期間を、当初の計画から1週間延期することが決まった[10]。
実際には東京ヤクルトスワローズとオリックス・バファローズが日本シリーズへ進出したが、両球団の本拠地である球場が他のイベントとの兼ね合いで第3戦以降の試合に使用できないため、当該試合では以下のように対応することが進出前から決まっていた。
ヤクルトの本拠地である明治神宮野球場[注 10]では、日本シリーズ第1戦 - 第5戦の期間中(11月20日 - 25日)に第52回明治神宮野球大会が開催されるため、セ・リーグ側のホームゲーム(第3戦 - 第5戦)では東京ドームを使用する[11]。ヤクルトが日本シリーズで本拠地以外の球場を使用する事例は、1978年に東京六大学野球秋季リーグ戦との兼ね合いでセ・リーグ側のホームゲーム(第1戦・第2戦・第6戦・第7戦)を後楽園球場(読売ジャイアンツにおける東京ドーム以前の本拠地。スワローズ自体も、「国鉄スワローズ」時代の1952-63年の間登記上の本拠地として使用)で開催して以来43年ぶりである[注 11]。なお、神宮大会が終了した後の第6戦(及び実施されていた場合第7戦)には、神宮球場にてヤクルトのファンクラブ「Swallows CREW」会員5,000人を入れてのパブリックビューイングが実施された[12]。
オリックスの本拠地である京セラドーム大阪については、パ・リーグ側のホームゲームのうち、第1戦・第2戦で使用することが確定している。ただし、第6戦・第7戦の開催予定日である11月27日・28日がAAAドームツアー大阪公演(26日 - 28日)の日程と重なっているため、当該試合が発生した場合にはほっともっとフィールド神戸(オリックスブルーウェーブ時代の本拠地で「グリーンスタジアム神戸」時代の1995年・1996年のシリーズでも使用)で開催する[11][13]。ただし、雨天中止による順延で結果的に11月29日以後に第6・7戦が順延した場合でも神戸を使用するが、第7戦までで既定の勝利数に満たず第8戦以後が必要であれば京セラドームを使用することが規定されていた。
京セラドームにおける日本シリーズの開催は、名義上の球場名が「大阪ドーム」時代の2001年(当時本拠地として使用していた大阪近鉄バファローズが出場したシリーズ)と、2020年に次いで3回目。2020年の日本シリーズではセ・リーグから読売ジャイアンツ(巨人)が出場したが、本拠地の東京ドームが第91回都市対抗野球大会開催との兼ね合いで使用できないことに伴う特例措置として、セ・リーグ側のホームゲーム(実際には第1戦・第2戦)を京セラドーム大阪で開催していた。
当シリーズの決着が第6戦以降にまで持ち越されることになったため、6球場で開催された1950年の松竹対毎日(神宮、後楽園、甲子園、西宮、中日、大阪)や、1953年の巨人対南海(大阪、後楽園、甲子園)、1962年の東映対阪神(甲子園、神宮、後楽園)に続き、59年ぶり史上4度目の3球場以上を使用する、かつ68年ぶり史上3度目の開催地が3都府県以上に分散する日本シリーズとなった。なお、本来の専用球場からの変更は前年(2020年)の巨人(東京ドーム→京セラドーム大阪)に次ぐ措置だが、双方の専用球場からの変更は初めてになる。
なお、巨人が前年に続き日本シリーズへ進出した場合にはセ・リーグ側のホームゲームを東京ドームで開催することを予定していた。前年と違い、都市対抗野球大会(第92回大会)が第5戦の終了後(11月28日以降)に組まれたことによるものだが、巨人はクライマックスシリーズのファイナルステージで敗退となった。
パ・リーグ側のホームゲームについては、埼玉西武ライオンズが日本シリーズへ進出した場合にも、第6・7戦の球場として福岡PayPayドームを代替利用する可能性があった[14][注 12]。