2006年 ←
最終事前投票: 2016年10月5日
→ 2021年
候補者アントニオ・グテーレスイリナ・ボコヴァヴク・イェレミッチ
出身国 ポルトガル ブルガリア セルビア
推奨票13 / 157 / 157 / 15
P5の落胆票0 / 52 / 53 / 5
候補者ミロスラヴ・ライチャークヘレン・クラーク
出身国 スロバキア ニュージーランド
推奨票7 / 156 / 15
P5の落胆票2 / 53 / 5
選挙前事務総長
潘基文
選出事務総長
2016年の国際連合事務総長の選出は、潘基文の後任となる第9代国連事務総長を選出するために実施された。
2016年7月21日から10月5日まで、安全保障理事会で6回の事前投票が行われた。全てのラウンドでリードしていたポルトガルのアントニオ・グテーレスが、最終ラウンドでは奨励票13、落胆票0、棄権2を獲得した[1]。2016年10月6日、安全保障理事会は全会一致でグテーレスを国連総会に推薦し[2]、総会は10月13日に満場一致でグテーレスを正式に事務総長に選出した[3]。
2016年の選考は、それまでの選考と比べると遥かに開かれたものとなった。一般からの推薦を募り、候補者はテレビ討論会に参加した。
これまでに女性が事務総長を務めたことがなく、また東ヨーロッパグループは国連の地域グループの中で唯一事務総長を出したことがなかったため、下馬評では女性と東欧出身者が有利とされていた[4]。しかし、女性を推すキャンペーンと、東欧出身者を推すキャンペーンとが相殺し合い、選出されたのは、候補者の中で唯一、女性にも東欧出身者にも該当しないグテーレスだった。
背景「国際連合事務総長の選出」も参照
事務総長の選出を規定する正式な規則はほぼ存在しない。唯一の指針となる文言である国際連合憲章第97条には、「事務総長は、安全保障理事会の勧告に基いて総会が任命する。」とだけ記されている。これは最低限の規定であり、プロセスの詳細は手続き規則や慣習によって補完されてきた[5]。事務総長候補の勧告は安全保障理事会しか行えないため、常任理事国5か国は事務総長の選出に際して拒否権を行使できる[6]。
潘基文事務総長(当時)は、2016年12月31日に2期目の任期を終えるが、事務総長の任期は2期までという非公式に存在するルールにより退任することとなった。地域グループのローテーションの原則により、アジアからの候補者は潘の後継になる資格がなかった。東ヨーロッパグループは、国連の地域グループの中で唯一、事務総長を出したことがないことから、2016年の選考では有利に進められた[7]。しかし、ウクライナ紛争をめぐるロシアと西欧3か国の常任理事国との間の緊張関係から、東欧系の候補者をめぐってデッドロックに陥る可能性が出てきた。その結果、2016年の選考は1981年以降で最もオープンな選考となった。東ヨーロッパグループ、西ヨーロッパ・その他グループ、ラテンアメリカ・カリブ海グループの3つの地域グループからの候補者が検討された。
また、国連発足以来、女性が事務総長に選ばれたことはなかった[5]。2015年12月、モーエンス・リュッケトフト
(英語版)総会議長とサマンサ・パワー安保理議長は、全加盟国に向けて共同書簡を書き、男性だけでなく女性の候補者も推薦するように促した[8]。