2014年のSUPER_GT
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2014年のSUPER GT
前年:2013翌年:2015

2014年のSUPER GTは、2014年4月5日・6日に岡山国際サーキットで開幕し、11月15日・16日にツインリンクもてぎで閉幕した全8戦のシリーズである。このシーズンよりGT500の車両規定がドイツツーリングカー選手権(DTM)と統一される。
前年からの主な変更点
レース日程

2013年7月28日に行われた記者会見の中でシリーズ戦を全9戦、エキシビション戦を1戦行う予定であることが明らかとなり[1]、同年8月12日に予定カレンダーが発表された[2]

シリーズ戦は国内のほか、タイブリーラムに新設されるチャーン・インターナショナルサーキットで10月に、2013年に開催予定だった韓国(開催地は未定)で6月に行われ、これまで長年開催されてきたマレーシアセパンでの開催が無くなることになる。しかし、2013年12月16日に発表されたプレスリリースで、韓国戦を主催するウ・ミョン・ホールディングスと協議した結果、諸般の事情から開催を中止する事が発表された[3]

国内開催もオートポリスの開催が秋から5月末に、富士スピードウェイの秋開催がスポーツランドSUGO鈴鹿サーキットの両開催に挟まる形で8月中に移動する。この富士戦は当初はアジアン・ル・マン・シリーズ(AsLMS)との併催で行われる予定だったが[4]、ピット数の問題など様々な問題があったため、最終的にAsLMSの開催が8月末に変更され、併催されない事となった[5]。特別戦は前年までのJAFグランプリに代わる物を開催するとして発表するも時期・場所共に未定となっていたが、その後ツインリンクもてぎでの最終戦以降に開催される各種モータースポーツイベントの予定を勘案した結果、開催は困難であるという結論に至り、特別戦の開催は中止と決まった。この為上述の韓国戦中止と合わせて、2014年は公式戦のみ全8戦での開催となった[6]
レギュレーション
GT500クラス

ドイツツーリングカー選手権(DTM)と車両規定が統一され、大幅なレギュレーションの改定(共通モノコックの採用、全車左ハンドル化 など)が行われているが[7]、搭載されるエンジンはDTMが自然吸気 4.0L V8であるのに対し、従来通りスーパーフォーミュラ(旧フォーミュラ・ニッポン)と基本設計が共通の2.0L 直4 直噴 ターボエンジンとなる。加えてそのエンジンの搭載位置も、DTMがフロントのみであるのに対し、ミッドシップも認められてホンダはNSX CONCEPT-GTを投入する[8]

エンジン以外に、前述のモノコックの他プロペラシャフトなどが共通部品化されており、プロペラシャフトは三菱レイヨン製のカーボンシャフトが採用されている[9]

なお従来、SUPER GTではエアリストリクターによる出力制限が行われていたが、本年からGT500クラスはスーパーフォーミュラ同様の燃料リストリクターによる出力制限に移行、ウエイトハンデが50kgを超えた場合には50kg相当分を燃料リストリクター径で調整を行う[10]。トヨタによれば、従来エンジンの仕様は実際にはスーパーフォーミュラと異なっていたが、本年からは全く同一のものになるという[11]
GT300クラスマザーシャシーを用いたトヨタ・86のGT300車両

前年までの日本自動車連盟(JAF)の「JAF-GT」規定、国際自動車連盟(FIA)の「FIA-GT3」規定に加え、新たに国産の技術を使った汎用シャシー(マザーシャシー)として童夢前社長の林みのるが進める『ISAKU PROJECT』用に開発されたCFRPモノコックをGTアソシエイション(GTA)が販売、車両規定も従来のJAF-GTから分離する形で新たに「JAF-GT300 MC(仮称)」を追加し、GTAの内規として運用する事となったが[12]、実際にマザーシャシーが使用できるようになるのは2015年からと1年先になった[13]。その後、第6戦にてトヨタ・86をベース車両にしたマザーシャシーマシンのプロトタイプが公開され[14]、このプロトタイプを元にした車両がタイでの第7戦にスポット参戦という形でデビューすることになった[15][16]

JAF-GT規定については、新たにアンチロックブレーキシステム(ABS)が搭載できるようになったほか、車両後部のレインライトの装着が義務化された。

FIA-GT3規定については、性能調整(BoP)の基準を2012年から使われているFIA GT選手権のものだけでなく、ブランパン耐久シリーズで使用されているBoPの採用も検討するとされていた[17]。その後GTAからエントラントに対して告知された内容では、2013年もしくは2014年のFIAおよびブランパン耐久シリーズのBoPが設定されている車両が参加でき、BoPについてはブランパン耐久シリーズのものを元にGTAが設定している[18][19]
その他

ドライバー識別灯が第1ドライバーが点灯、第2ドライバー以降が点滅だったのを色による表示に変更、第1ドライバーが赤、第2ドライバーが青、第3ドライバー(長距離戦用)が緑、第4ドライバー(鈴鹿戦用)が白の4色となる
[20]

今季からGT500クラスの車両にカーボンブレーキが搭載され、DTMと異なりウォーマーでの加温が禁止されている事からタイヤとブレーキ双方の加温が必要となった。決勝のスタートはフォーメーションラップを1周行ってからローリングスタートで開始しているが、レースオーガナイザーが必要と判断した場合、フォーメーションラップの前にタイヤ・ブレーキ加温のためのウォームアップラップが行われることになった[21]。また第5戦・鈴鹿でウォームアップラップの代わりに「パレードラップ」と銘打ち三重県警交通機動隊がマシンを先導するという交通安全啓発活動[22]が行われ、以降は毎戦で地元警察の車両がマシンの隊列を先導するのが恒例となっている。

ピット作業においては、GT500クラスはDTMと同様のモノコックを用いるため、乗降性に難がある事から、確実にシートベルト装着を含めた交代ができるようにするため、給油ホースの流量リストリクターの口径を縮小し、給油時間・ピット作業時間を延長する施策がとられる。また、交代作業ではメカニック2名で補助が可能となるほか、メカニックのヘルメット着用を強く推奨することとなった[10]

マシン
GT500クラスENEOS SUSTINA RC Fウィダー モデューロ NSX CONCEPT-GTMOTUL AUTECH GT-R

前述のとおり大幅にレギュレーションが変更されるのに合わせ、ワークス3メーカーが投入するマシンも大幅に変更される。2013年8月16日に鈴鹿サーキットで記者発表会が行われ、その概要が明らかにされた[23]

なお、参戦体制及び台数については、3社ともに維持を目標にしていたが、結果として2013年シーズンと同じレクサス6台・ホンダ5台・日産4台がエントリーすることとなった。なお、3社ともDTMへの参戦予定は無い。
トヨタ

従来のレクサス・SC430に代わり、2014年に市販予定のレクサス・RC Fをベースとした車両[24]で参戦。
ホンダ

従来のHSV-010に代わり、2015年に市販予定のNSXのショーモデルをベースとした「NSX CONCEPT-GT」で参戦。駆動形式はHSV-010がFRだったのに対し、NSX CONCEPT-GTは旧NSX同様のミッドシップを採用している点が特徴である。

なお、ハイブリッドシステムも搭載されており、GTAが他2車種との性能差を出ないようにするため、ハイブリッドシステム使用に関する参加条件とし最低重量を車両重量1020kgにハイブリッドシステム重量70kgを足した1090kgと設定。(第4戦より1077kgへと変更[25]
日産

ワークス3メーカーのうち唯一車種を変更せず、引き続きGT-Rをベースに新レギュレーションに合わせた車両で参戦。
GT300クラス

日産・GT-R GT3は前年使用したNDDP、TEAM MACH、apr、DIJON、RUNUPに加え、ポルシェ・911 GT3から変更するTeam TAISANが使用し、計6台が走る。これに伴いポルシェ・911 GT3はKTRとPACIFIC DIRECTION RACINGの2チーム計2台となる。

BMW Z4 GT3は後述のように2チームに分かれたStudieとグッドスマイルレーシングのほか、LM Corsaを加えて計3台が走る事になる。

JLOCランボルギーニ・ガヤルド GT3で参戦するが、年間エントリーは2台と前年から1台減る。

エントラント
GT500クラス

トヨタ陣営(LEXUS Racing)は大幅な変更はなく、
セルモトムスチームルマンは体制を維持、サードオリバー・ジャービス石浦宏明とコンビを組む[26]。サードを離脱した脇阪寿一RACING PROJECT BANDOHに移り、前年は日産陣営のモーラに所属していた関口雄飛とコンビを組む[27]。なお、トムスは中嶋一貴の日程が重なるFIA 世界耐久選手権第2・3戦出場に伴う代理ドライバーとして、平川亮を起用している。

ホンダ陣営については、REAL RACINGのみ前年のままで、ARTAに元F1ドライバーのヴィタントニオ・リウッツィ童夢にジャン・カール・ベルネイ、NAKAJIMA RACINGベルトラン・バゲットとそれぞれGT新規参戦の外国人ドライバーが加入、チーム国光には前年GT300クラスでチャンピオンになった武藤英紀が加入する[28]

日産陣営は大幅に入れ替わり、松田次生インパルからニスモに移籍、柳田真孝はニスモから古巣のモーラに戻る。安田裕信KONDO Racingからインパルに移り、KONDO RacingにはGT300クラスから佐々木大樹が昇格する[29]

GT300クラス

これまで
グッドスマイルレーシングと共同でBMW Z4 GT3で参戦していたスタディがプロジェクトから離脱、独自のチームとして立ち上げることを表明した。これに伴いグッドスマイルレーシングがエントラントとなって参戦する事を発表した。両チーム共に2014年仕様のBMW Z4 GT3を使用し、グッドスマイルレーシングへの車両調達をスタディが担当、メンテナンスも両チーム共に前年同様RSファインが担当し、両チーム間でデータの共有を行うとしている[30]

グッドスマイルレーシングはエントラント名称を「GOODSMILE RACING & TeamUKYO」とし、スーパーバイザーの安藝貴範がエントラント代表に、スポーティングディレクターの片山右京がチーム監督に、監督だった大橋逸夫がゼネラルマネージャーにそれぞれ就任、ドライバーは前年から引き続き谷口信輝片岡龍也が担当する[31][32][33][34]

スタディはBMWのカスタマーチーム表彰制度「BMWスポーツトロフィー」を冠した「BMW Sports Trophy Team Studie」をチーム名称にし、スタディ代表の鈴木康昭がチーム代表兼監督を務め、前年第5戦でサードドライバーを務めたヨルグ・ミューラーと前年GT500クラスを走った荒聖治の2人がドライバーを務める[35][36]


KTRはハンコックタイヤとの提携関係を解消すると発表した。KTR自体は2014年シーズンには参戦する意向を示し[37]、2012年の第2戦でクラッシュし負傷したティム・ベルグマイスターが復帰し、一ツ山レーシングから移った都筑晶裕とコンビを組む[38]

アルナージュ・レーシングは前年同様の体制で参戦するが、サードドライバーはタイ出身のナニン・インドラ・パユーングが担当し、地元のタイラウンドを含む3戦で出走する予定となっている[39]

スバルSTI) ・R&D SPORTは2014年仕様のSUBARU BRZ GT300で参戦、ドライバーは前年限りでSUPER GTから引退した山野哲也に代わり、前年第5戦サードドライバーの井口卓人を起用、前年から引き続き起用する佐々木孝太とのコンビとなる[40]

LEON RACINGは、2014年仕様のメルセデス・ベンツ・SLS AMG GT3で参戦。


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