2014年の西アフリカエボラ出血熱流行
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2014年の西アフリカエボラ出血熱流行CDCによる2015年1月2日時点の流行状況[1]
日付2013年12月 - 2016年1月
場所リベリアシエラレオネギニアナイジェリアセネガルマリアメリカ合衆国スペインイギリス
死傷者
報告された 感染者数 / 死者数
(2015年10月18日現在)
合計: 28512 / 11313 (39.7%)[2]
シエラレオネ ? 14001 / 3955
リベリア ? 10672 / 4808
ギニア ? 3803 / 2535
ナイジェリア ? 20 / 8
セネガル ? 1 / 0
マリ ? 8 / 6
アメリカ合衆国 ? 4 / 1
スペイン ? 1 / 0
イギリス - 1 / 0
イタリア - 2 / 0

2014年の西アフリカエボラ出血熱流行(2014ねんのにしアフリカエボラしゅっけつねつりゅうこう)は、ギニアをはじめとする西アフリカにて2013年12月ごろから、バイオセーフティーレベル4に属する最強の感染性と毒性を持つエボラウイルスによって引き起こされるエボラ出血熱流行し始めた事象で、2014年6月ごろより感染が急拡大して深刻な事態となった。

2015年10月18日までにおける世界保健機関(WHO)の発表によると、感染疑い例も含め28,512名が感染し、11,313名が死亡(死亡率40%[2])した[3]

この対策にはWHOのほかに、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、欧州委員会(EU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、国境なき医師団(MSF)、平和部隊赤十字社(IFRC)などが乗り出し、各種基金や人的支援を行っている。流行は森林隣接地帯が中心であり、この地域の葬儀で死者に触れる習慣が流行を加速させていると国連代理人[4]は述べている[5][注 1]。また、コウモリサルなどの野生動物を食べる習慣がリスクを高めているとの推測もある[6]

患者は急増し、アメリカ人の感染・死亡と同国医療従事者の感染があり[7]、アメリカ途上国支援団体の平和部隊はボランティアの撤退を決め[8]、CDCが渡航自粛勧告を行った[9]

2014年8月8日、WHOは西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」であると宣言した[10]。2016年3月29日解除[11]

エボラ出血熱の感染者数・死亡者数ともに過去最多に達し、2015年10月時点でも指数関数的に増加中であった。また、西アフリカにおける初めての流行[注 2]、および史上初めての首都[注 3]での流行となった。

2015年5月9日、WHOが終息の目安としている42日間で新たな感染者が確認されなかったことから、リベリア政府はエボラ出血熱の終息を宣言をした[12]

2016年1月14日、WHOは西アフリカで確認された感染の終息を宣言した。しかし引き続き警戒を行い、もしもの時に対応できる態勢を整えておくことが重要だともコメントした[13]宣言翌日の1月15日、シエラレオネで2015年9月以来となる感染者が発見された[14][15]
経緯
流行の始まり

流行は、2013年12月にギニアで始まった[10]。最初の感染者はゲケドゥに在住していた2歳の男児(12月6日に死亡)だとみられている。すぐに母親、姉(3歳)と祖母が死亡したが、誰もエボラだとは考えなかった[16]。感染源としてはウイルスに汚染された果物を食べたこと、汚染された針で注射されたこと、野生のコウモリとの接触の可能性などが疑われるが明確な原因は不明である[16][17]。またこの男児を含め、最初期の感染者の疑いがあるとされている人の居住県として、コナクリ(4名)、ゲケドゥ(4名)、マセンタ(1名)、ダボラ(英語版)(1名)が挙げられている。

感染が始まった場所はより正確にはメリアンドゥ村で、最初の犠牲者である2歳男児がよく遊んでいた村にある大木のには、エボラの自然宿主であるコウモリが生息していた。このため、この木がグラウンド・ゼロ(発生源)と疑われている。後述のように、公衆衛生の遅れや現地の習慣のほか、呪術治療への信仰と外部から訪れる医療関係者への不信などが感染を広げた[18]

ギニア保健省は翌2014年3月20日に、2月9日に初の発症例が確認された正体不明の病気が36人で確認され、うち少なくとも23人が死亡したと発表した[19]。その症状には発熱、下痢、嘔吐が含まれ、一部の患者には出血もみられると報告されており、ラッサ熱黄熱・エボラ出血熱の症状に似ていた[19]。3月22日にギニア政府は、フランスリヨンにある研究所から病気がエボラ出血熱であるとの報告を受け、その時点での感染被疑者は80人、死亡者は59人だと発表した[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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