2010年_(映画)
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HALには秘密のはずだったが、2001年1月30日付ホワイトハウスNSCの秘密メモ342号でモノリスのことを知らされており、チームが冬眠中に矛盾する二つのことで板挟みになり、“メビウスの帯”になっていた。役人たちがHALに嘘を言わせるようにしたのが原因で、ダグラス・ホフスタッターループによるフリップフロップ状態に陥っていた(詳細は自己言及のパラドックスを参照のこと)。その直後に、緊張状態にあったアメリカとソ連が遂に実質的な戦争状態に突入。この事態を受けて、アメリカ側の乗組員はディスカバリー号に乗り移る事を余儀なくされる。困惑するフロイド博士の前にボーマンが実体となって現れ、「2日以内に木星から立ち去れ」と警告する。フロイド博士は理由を問うがボーマンは「素晴らしいことが起こる」とだけ告げて消える。フロイド博士は再びレオーノフ号に移り、他の乗組員を説得するのに苦心するが、その中途で浮遊していたモノリスが突然姿を消し、代わりに木星に巨大な黒点が出現。着々と巨大化し続ける黒点を分析すると、その正体は無数のモノリスであった。異常に気づいた乗組員達はディスカバリー号をブースターとして使用し、予定より早く木星圏を脱出する計画を立てる。しかし、それはディスカバリー号…つまり、HAL 9000にとって「自身を遺棄せよ」という事であった。この命令で、HAL 9000が再びストレスにより故障するのではないかと乗組員達は恐れるが、チャンドラ博士の全てを打ち明けた説得でHAL 9000は命令に従う。HAL 9000は事態の真実を語ってくれたチャンドラ博士に感謝の意を示す。

計画が成功し、レオーノフ号が木星から遠ざかる中、取り残されたHAL 9000はボーマンと再会。ボーマンはHAL 9000に地球へメッセージを送るように促す。

これらの世界は全てあなた方のもの
ただしエウロパは除く
エウロパへの着陸を試みてはならない
全ての世界を皆で利用するのだ
平和のうちに利用するのだ

やがて、指数関数的に分裂・増殖したモノリスの侵食により質量が増大した木星は恒星ルシファー」として輝き始める。そのエネルギーによってディスカバリー号は破壊されてしまうが、HAL 9000はモノリスによって導かれ、ボーマンと共にその一部となった。新たな恒星「ルシファー」の奇跡的な出現とメッセージによって、米ソは第三次世界大戦を回避して平和的な解決へ導かれる。夜の無くなった地球に平穏の時が訪れた。

ルシファーの光と熱を受けるようになったエウロパには生命が栄え始め、数千年後には湿地帯が出現し、ジャングルが生い茂っていた。その中に一体のモノリスが、やがて現れるであろう知的生命体との接触を待つために佇んでいるのであった。
製作

1982年に原作者のクラークが前作『2001年宇宙の旅』の監督スタンリー・キューブリックに電話で「『2010年宇宙の旅』をあなたの仕事で映画化することを私は止めないし気にしない」と冗談めかして語った。その直後にMGMが『2010年』の映画化権を獲得したが、キューブリックはプロジェクトに関心を持たなかった。しかし、興味を示したピーター・ハイアムズはクラークとキューブリックの両方に連絡をとった。キューブリックはハイアムズに「恐れてはいけない。自分の映画を撮れ」と語った。1983年にハイアムズはクラークと連絡を取りながら脚本を完成させた。
キャスト

役名俳優日本語吹替
テレビ朝日TBS
ヘイウッド・フロイド博士ロイ・シャイダー羽佐間道夫家弓家正
ウォルター・カーナウ博士ジョン・リスゴー千田光男秋元羊介
ターニャ・カーバック船長ヘレン・ミレン弥永和子駒塚由衣
R. チャンドラ博士ボブ・バラバン富山敬
デビッド・ボーマン船長キア・デュリア堀勝之祐納谷六朗
HAL9000声ダグラス・レイン金内吉男野田圭一
ワシリー・オルロフ博士オレグ・ラドニック谷口節野島昭生
マキシム・ブライロフスキーエリヤ・バスキン玄田哲章仲木隆司
ヴィクター・ミルソンジェームズ・マクイーチン坂口芳貞藤本譲
キャロライン・フロイドマドリン・スミス=オズボーン高島雅羅さとうあい
役不明又はその他藤城裕士
大滝進矢


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