2010年メキシコ湾原油流出事故
NASAの人工衛星テラが2010年5月24日に撮影した油膜
現場メキシコ湾のミシシッピ川三角州
2010年メキシコ湾原油流出事故(2010ねんメキシコわんげんゆりゅうしゅつじこ)は、2010年4月20日にメキシコ湾沖合80 km、水深1,522 mの海上で海底油田掘削作業中だった、BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、技術的不手際から掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、海底へ伸びる5500 mの掘削パイプが折れて大量の原油がメキシコ湾へ流出した事故。
BPによると7月16日までの原油流出量は約78万キロリットル(490万バレル)である[5][6][7]。1991年の湾岸戦争(推計600万バレルとも)に次ぐ規模で、1989年に4万キロリットルが流出したアラスカ州の(エクソンバルディーズ号原油流出事故)をはるかに超えた。被害規模は数百億USドルとされる。
事故の経過 炎上するディープウォーター・ホライズン。沿岸警備隊の艦艇やヘリコプターが消火や乗組員救出のために集まっている。この写真は2010年4月21日に撮影されたものだが、翌日ディープウォーター・ホライズンは沈没した 火災の消火活動。沿岸警備隊ヘリより撮影(2010年4月21日)
2010年4月20日夜、世界最大の沖合掘削請負会社トランスオーシャンが管理する、ルイジアナ州ベニス沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライズンで、大規模な爆発があり、11人が行方不明となり、17人が負傷した[8][9]。当時は126人の作業員が働いていた[8]。掘削施設は4月22日に水没した[10]。
アメリカ合衆国沿岸警備隊によると、石油掘削基地から延びる原油の帯は4月30日に200 km、幅120 kmに達した[11][12]、ルイジアナ州の住民からは29日に沿岸に漂着しているという報告がある[13]。そのため、ルイジアナ州、アラバマ州、フロリダ州、ミシシッピ州の4州で、4月30日に非常事態宣言が出された。