2010年の猛暑_(日本)
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2010年の猛暑(2010ねんのもうしょ)とは、2010年平成22年)のに日本の広範囲を襲った、当時としては観測史上1位の猛暑である。この夏は長期間にわたって記録的な高温が続いた。気象庁は同年9月1日、この猛暑を30年に1度の異常気象と認定した[1]
当初の予測

意外な事に春の時点では、気象庁もこの猛暑を予測していなかった。むしろ、以下のような理由から、冷夏になるのではないかとの声も少なくなかった。
太陽黒点が記録的に少なかったこと
2009年に入って、太陽黒点が記録的に少なくなり、1913年以来の極小になった[2]。2010年に入っても黒点が少なかった。気温には変化が後れて現れるので、地球全体の気温が下がる事によって、日本の夏の気温を押し下げられると考えられていた。
エルニーニョ現象が発生していたこと
エルニーニョ現象が起きている夏は冷夏になりやすいとされる[3]。前年の冷夏もこれが一つの要因と見られている。実際には、エルニーニョ現象は2010年春に終っていたが、海に囲まれた日本では、その影響が後まで残りやすいので、この事も冷夏になるという予測の根拠として取り上げられていた[4]
インド洋熱帯域の水温が高かったこと
インド洋の赤道付近の水温が高い年は、北日本で冷夏になりやすい事が知られている[5]。実際に2009年12月からインド洋の海水温が高い状態が続いていた[6]
アイスランド火山エイヤフィヤトラヨークトル山)が大噴火を起こしたこと
2010年4月から5月にかけてエイヤフィヤトラヨークトル山が大規模な噴火を起こし、多量の火山灰が放出され、その雲は大西洋北部から、西はシベリア中部まで及んだ(2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火)。それによって北半球全体の気温が押し下げられ、日本も涼しくなるのではないかと考えられていた。実際に1992年やその翌年の冷夏は、1991年6月にフィリピンのピナトゥボ山が噴火した事が一つの要因とされている。この事は冷夏になるという意見を大きく推していた[7]
3月下旬から5月にかけての低温と気温の変動
この年の3月下旬から5月にかけては、寒気の影響を受けたため低温になり、日照時間も短く、気温の変動も大きかった。この影響が夏まで続くのではないかとの声もあった[8]
概況
6月

2010年の梅雨は、奄美・沖縄を除いて平年より梅雨入りが3-14日遅かったものの、6月19日に沖縄が梅雨明けした後、7月15日に奄美が、7月17日に北陸関東甲信東海近畿中国四国九州北部が、7月18日に東北が、7月20日に九州南部が梅雨明けし、九州南部(平年より7日遅い)、奄美地方(平年より17日遅い)を除いて平年と同じか1-9日早い梅雨明けとなった[9]。この梅雨の間、寒気の南下やオホーツク海高気圧の発生は少なく、6月の全国の平均気温は+1.07℃(当時の平年値では+1.24℃)の歴代5位に、特に北日本では+1.9℃(同+2.1℃)の歴代2位となるなど、高温で推移した。梅雨のない北海道では6月26日に各地で季節外れの猛暑日(この年全国初)を記録するなど、最高気温が平年を15℃以上も上回る異常高温も観測された。その他の地域でも平年よりも温暖な6月になった。
7月

16日までは平年並みかやや高い程度で推移したが、梅雨明けの17日頃から太平洋高気圧の勢力が強まり、全国で猛暑に見舞われた。7月18日に全国11地点で猛暑日を観測して以降、猛暑日を記録した地点は、翌19日には42地点、20日には73地点、21日には106地点、22日には144地点と一気に増え、猛烈な暑さは全国へ広がった。結果、7月下旬の平均気温は東日本で平年比+2.0℃(当時の平年値では+2.1℃)となり、旬ごとの観測を始めた1961年以降で史上最高となった。7月全体でも平均気温は北日本で+2.0℃(同+2.0℃)、東日本で平年比+1.6℃(同+1.8℃)と、それぞれ観測史上4位、6位となった。全国でも平年比+1.29℃(同+1.42℃)と観測史上11位[10][11][12]
8月

7月の終わり頃には猛暑は一旦落ち着いたので、峠は越えたのではないかという見方もあった。しかし、この解消は一時的なもので、8月に入り再び猛烈な暑さに見舞われた。3日には88地点、4日には100地点、5日には全国177地点、6日には全国179地点で猛暑日を観測した[13]。中旬には台風第4号の影響で一時的に天気は崩れたが、高温傾向は変わらなかった。8月下旬になっても気温は高温のまま推移し、大阪市岡山市広島市などでは歴代連続猛暑日記録が更新された(参照)。結果として各地の8月の平均気温は154地点中77地点で史上最高を記録。北日本は+2.6℃(当時の平年値では+2.7℃)・東日本は+1.9℃(同+2.2℃)・西日本+1.7℃(同+2.0℃)で8月の平均気温が史上最高となった。また全国の8月の平均気温も平年比+2.00℃(同+2.25℃)となり、史上最高を記録した[14]。一方、南西諸島では気温はやや高めで推移したものの曇りの日が多く6月、7月、夏の日照時間が記録的短さとなった。
9月

9月に入っても、1日には242地点[15]、2日には62地点[16]、3日には90地点[17]、4日には144地点[18]で9月としての最高気温を観測するなど、厳しい残暑となった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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