2,5-ジメチルフラン
IUPAC名2,5-ジメチルフラン
分子式C6H8O
分子量96.13
CAS登録番号625-86-5
密度と相0.9 g/cm3, 液体
融点?62 °C
沸点92?94 °C
SMILESCc1ccc(C)o1
出典 ⇒NIST
2,5-ジメチルフランは分子式C6H8Oで表される有機化合物である。フランの誘導体でありDMFと略記されるが、同じくDMFと略記される有機化合物のN,N-ジメチルホルムアミドとは全く無関係な化合物である。近年バイオ燃料としての研究が進められている[1]。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[2]。 フルクトースやグルコースから酸触媒によりヒドロキシメチルフルフラールを製造後、これを還元して2,5-ジヒドロキシメチルフランへと変換し、水素化分解により合成する方法が効率が良いと考えられている[3][4]。 酸触媒を用いる方法は、2006年にウィスコンシン大学マディソン校の科学者によって報告された[3][5]。 一方、酸触媒を使わない方法を、2007年にパシフィック・ノースウエスト国立研究所 2,5-ジメチルフランはバイオ燃料としての利点と可能性を持っている。エネルギー密度がエタノールより約40%高く、ガソリンと同程度である。化学的に安定であり水とも混ざらないため、空気中の水分を吸収することもない。沸点がエタノールよりも14°C高いにもかかわらず、製造後に2,5-ジメチルフランを単離する際に必要なエネルギーは、エタノールの単離に必要なエネルギーの1/3で済む[3][8]。 2,5-ジメチルフランは果物や根菜類に含まれるフルクトースや、でんぷんやセルロースから製造されるグルコースといった、自然界に幅広く存在する化合物から効率的に製造可能であることが利点である。しかしながら2007年現在では、バイオ燃料といえばバイオエタノールやバイオディーゼルを指すことが一般的である。 2,5-ジメチルフランは一重項酸素の捕捉剤としても知られており、水中の一重項酸素の検出にも利用されてきた。近年、フルフリルアルコールが同様に利用可能であることが報告された[9]。 また2,5-ジメチルフランは核磁気共鳴分光法の内部標準としても用いられる。2,5-ジメチルフランはδ 2.2 と 5.8; に特徴的な1本線のスペクトルが測定されるため、この領域にシグナルを持たない多くの化合物にとっては有用な標準物質となる。沸点も92°Cと比較的高温であるが、容易に除去可能である[10]。 2,5-ジメチルフランは、2,5-ヘキサンジオンや4,5-ジヒドロキシ-2-ヘキサノン 2,5-ジメチルフランはタバコの煙にも含まれている[12]。血中の濃度により喫煙の有無を判断可能である[13]。 糖の熱分解により生成したり、キャラメル化した糖に微量に含まれることが知られている[14]。
製造
バイオ燃料としての可能性
他の利用
毒性
食品化学
参考文献[脚注の使い方]^ 総説:『バイオマスからの意外な燃料合成』 現代化学 Vol.410 2007年9月号
^ 法規情報
^ a b c Yuriy Roman-Leshkov, Christopher J. Barrett, Zhen Y. Liu & James A. Dumesic (2007). "Production of dimethylfuran for liquid fuels from biomass-derived carbohydrates". Nature 447 (7147): 982. DOI:10.1038/nature05923
^ Matt McGrath (2007年6月21日). ⇒“Fruit could make 'powerful fuel'”. BBC News. ⇒http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/6224846.stm 2007年6月22日閲覧。
^ James Beal (2006年6月29日). “ ⇒New process makes diesel fuel, industrial chemicals from simple sugar” (press release). University of Wisconsin-Madison. 2007年6月22日閲覧。
^ Haibo Zhao, Johnathan E. Holladay, Heather Brown, Z. Conrad Zhang (June 15). "Metal Chlorides in Ionic Liquid Solvents Convert Sugars to 5-Hydroxymethylfurfural". Science 316 (5831): 1597 - 1600. DOI:10.1126/science.1141199
^ “Plastic that grows on trees”