1986_FIFAワールドカップ準々決勝_アルゼンチン対イングランド
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試合の後半には、この試合を有名にし、さらに悪名高くもしたふたつのプレーが生まれた[1][6]
神の手ゴール「神の手 (サッカー)」も参照神の手ゴールを導いた動きの解説図

後半6分、マラドーナは左サイドから内側に切れ込み、斜め前のペナルティエリア角にいたホルヘ・バルダーノに転がるパスを出し、自身はバルダーノからのワンツーパスを期待して走り続けた。しかし、マラドーナのパスはわずかにバルダーノからずれ、守備に戻っていたイングランドのスティーヴ・ホッジに届いた。ホッジはボールをクリアしようとしたが蹴りそこない、ボールはペナルティエリアに進入していたマラドーナに向かって放物線を描いた。キーパーのシルトンは空中のボールをパンチングしてクリアしようと試み、20cm近くも身長でマラドーナに勝るシルトン(シルトンは183cm、マラドーナは166cmだった)が有利かと思われたが、マラドーナの方が先にボールに到達し、左手の握りこぶし外側でボールをはじいた。このボールはゴールに吸い込まれ、マラドーナの反則を見ていなかったチュニジア人主審のアリ・ビン・ナセル(英語版)はアルゼンチンのゴールを認めた。マラドーナは後に、「チームメイトが私を抱きしめに来るのを待っていたが、誰も来なかった。私は彼らに『ハグしに来いよ、そうしなければ主審はゴールを認めないぞ』と言ったんだ」と語った[7]

試合後の記者会見でマラドーナは「ゴールはマラドーナの頭が少しと神の手が少しのおかげだ」(un poco con la cabeza de Maradona y otro poco con la mano de Dios)と主張し[8]、「神の手」(西 : La Mano de Dios,  : Hand of God)というフレーズが作りだされた。彼が手でボールを叩いていたことがビデオや写真によって証明され、世界中のテレビや新聞でそのことが示された。イングランドのボビー・ロブソン監督は(マラドーナを非難する代わりに)「いたずら小僧の手だ」と述べた[9]。この得点は両者のライバル意識の増大に火を注ぎ、イングランド人はFIFAワールドカップ優勝の可能性が騙し取られたと感じた[10]。一方、アルゼンチン人はこの先制点の経緯に満足し[3]セサル・ルイス・メノッティ監督は「(アルゼンチンの)人々はこう言っている。『大いに素晴らしい! この得点はとても不誠実で、とても非情だ。イングランド人を酷く傷つけたのだから』」と語った。
世紀のゴール

しばしば史上最高の個人ゴールと主張される「世紀のゴール」と呼ばれるゴールは、「神の手」ゴールのたった4分後に生まれた[2][5]エクトル・エンリケがマラドーナにパスを出し、ハーフウェーラインから自陣側に10 m内側にいたマラドーナはドリブルを開始した。10秒間のダッシュでボールを持ったまま60 mを駆け上がり、ベアズリー、ピーター・リードテリー・ブッチャー(2度)、テリー・フェンウィックの5人をかわした。さらにキーパーのシルトンもドリブルでかわし、ボールをゴールに押し込んで2-0となる得点を挙げた。

このゴールについてマラドーナは「バルダーノにパスしようと思っていたが、相手選手が囲んできたのでスペースがなかった。そのために、自ら持ち上がってシュートしなければならなかった」と語った[11]。彼は後にフェアプレーに徹したイングランドに賛辞を述べ、「他のチームに対して私があのプレー(5人抜き)をできたとは思わない。寄って集って潰しに来るからだ。彼ら(イングランドの選手たち)はおそらく世界で最も気高い」と語った[12]。2002年、このゴールは2002 FIFAワールドカップ期間中にFIFAのウェブサイト上で行われた投票によってゴール・オブ・ザ・センチュリー(Goal of the Century)に選ばれた[13]。2位には1998 FIFAワールドカップでイングランドのマイケル・オーウェンがアルゼンチン戦で決めたゴールが入り、4位にはマラドーナが1986 FIFAワールドカップ準決勝のベルギー戦で決めたゴールが入った。
ゴール・オブ・ザ・センチュリー投票結果

順位選手相手大会得票数
1. ディエゴ・マラドーナ イングランド1986 FIFAワールドカップ18,031票
2. マイケル・オーウェン アルゼンチン1998 FIFAワールドカップ10,631票


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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