この項目では、ジョージ・オーウェルの小説について説明しています。村上春樹の小説については「1Q84」をご覧ください。
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Nineteen Eighty-Four
著者ジョージ・オーウェル
訳者
新庄哲夫(1972年)
高橋和久(2009年)
田内志文(2021年)
発行日
1949年
1950年
発行元
Secker and Warburg
早川書房、角川文庫
ジャンルSF、ディストピア
国 イギリス
言語英語
前作動物農場(1945年)
コードISBN 978-4-15-120053-3
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『1984年』(1984ねん、原題: Nineteen Eighty-Four)または『1984』は、1949年に刊行したイギリスの作家ジョージ・オーウェルのディストピアSF小説。全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いている。欧米での評価が高く、思想・文学・音楽など様々な分野に今なお多大な影響を与えている近代文学傑作品の一つである。
出版当初から冷戦下の英米で爆発的に売れ、同じくオーウェルが著した『動物農場』やケストラーの『真昼の暗黒』などとともに反全体主義、反共産主義、反集産主義のバイブルとなった。また資本主義国における政府の監視、検閲、権威主義を批判する文脈でも本作がよく引用される。
1998年にランダム・ハウス、モダン・ライブラリーが発表した「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」や[1][2]、2002年にノルウェー・ブック・クラブが発表した「史上最高の文学100」に選出されている[3]。 オーウェルは1944年には本作のテーマ部分を固めており、結核に苦しみながら1947年から1948年にかけて転地療養先の父祖の地スコットランドのジュラ島でほとんどを執筆した[4]。病状の悪化により1947年暮れから9か月間治療に専念することになり、執筆は中断された。1948年12月4日、オーウェルはようやく『1984年』の最終稿をセッカー・アンド・ウォーバーグ社(Secker and Warburg)へ送り、同社から1949年6月8日に『1984年』が出版された[5][6]。 1989年の時点で、『1984年』は65以上の言語に翻訳される成功を収めた[7]。『1984年』という題名、作中の用語や「ニュースピーク」の数々、そして著者オーウェルの名前自体が、今日では政府によるプライバシーの喪失を語る際に非常に強く結びつくようになった。「オーウェリアン(Orwellian、オーウェル的)」という形容詞は、『1984年』などでオーウェルが描いた全体主義的・管理主義的な思想や傾向や社会を指すのに使われるようになった。 当初、本作は『ヨーロッパ最後の人間(The Last Man in Europe)』と題されていた。しかし1948年10月22日付の出版者フレデリック・ウォーバーグに対する書簡で、オーウェルは題名を『ヨーロッパ最後の人間』にするか、『1984年』にするかで悩んでいると書いているが[8]、ウォーバーグは『ヨーロッパ最後の人間』という題名をもっと商業的に受ける題名に変えるよう示唆している[9]。オーウェルの題名変更の背景には、1884年に設立されたフェビアン協会の100周年の年であることを意識したという説[10]、舞台を1984年に設定しているジャック・ロンドンのディストピア小説『鉄の踵(The Iron Heel、1908年刊行)』やG.K.チェスタトンの『新ナポレオン奇譚(The Napoleon of Notting Hill、1904年刊行)』を意識したという説[11]、最初の妻アイリーン・オショーネシーの詩、『世紀の終わり、1984年(End of the Century, 1984)』からの影響があったとする説などがある[12]。アンソニー・バージェスは著書『1985年(1978年刊行)』で、冷戦の進行する時代に幻滅したオーウェルが題名を執筆年の『1948年』にしようとしたという仮説を上げている。ペンギン・ブックス刊行のモダン・クラシック・エディションから出ている『1984年』の解説では、当初オーウェルが時代設定を1980年とし、その後執筆が長引くに連れて1982年に書きなおし、さらに執筆年の1948年をひっくり返した1984年へと書きなおしたとしている[13]。 オーウェルは1946年のエッセイ『なぜ書くか(Why I Write)』では、1936年以来書いてきた作品のすべてにおいて、全体主義に反対しつつ民主社会主義を擁護してきたと述べている[14]。オーウェルはまた、1949年6月16日に全米自動車労働組合のフランシス・ヘンソンにあてた手紙で、「ライフ」1949年7月25日号および「ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー」7月31日号に掲載される『1984年』からの抜粋について、次のように書いている。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}わたしの最新の小説は、社会主義やイギリス労働党(私はその支持者です)を攻撃することを意図したのでは決してありません。しかし共産主義やファシズムですでに部分的に実現した(…)倒錯を暴露することを意図したものです(…)。小説の舞台はイギリスに置かれていますが、これは英語を話す民族が生来的に他より優れているわけではないこと、全体主義はもし戦わなければどこにおいても勝利しうることを強調するためです[15]。
作品背景