1976年モントリオールオリンピック
[Wikipedia|▼Menu]
開会宣言はエリザベス2世カナダ女王として行なった。本大会の後、カナダでは2回オリンピックが開催されているが、女王が開会宣言を行なったのはこの大会のみで、以後の2回[注釈 1]はいずれも総督が開会宣言を行っている。

宣言は開催国の言語で行われるのが慣例であるが、今大会はフランス語→英語の順に宣言された。2カ国語で宣言されるのは唯一である[注釈 2]
メインスタジアム建設の経緯と大会の膨大な赤字

メインスタジアムの建設は当時世界初とうたわれた開閉式屋根の巨大競技場として計画され、当初予算3億2000万カナダドルでスタートしたが、第一次オイルショックが発端になった物価高騰で建設費は膨れ上がり、工事も遅れ、未完成のままオリンピックの開催に至った。開催までに見積もりの2倍の2億6400万カナダドルが投入され、その後の建設・改修・修復費用に金利を加えると最終的には16億1000万カナダドルに上った。そのため、大会は膨大な赤字を計上した。モントリオール市と同市が所在するケベック州政府は共同でこれらの負担を弁済し終わったのは、オリンピック開催から30年後の2006年11月であった。その財源は増税という形で住民から調達し、モントリオール市は不動産税などを、ケベック州はたばこ税などをそれぞれ増税することによって補填した[3]

以降、社会主義国であったソ連で行われた1980年開催のモスクワオリンピックを挟み、1984年開催のロサンゼルスオリンピックで商業化が著しくなってゆく端緒となった大会ともいえる。
メインスタジアムの現状

メインスタジアムは当初は開閉式屋根がかぶさる
ドーム方式になる予定であったが、前述の予算不足とそれに伴う工期の遅れからドーム方式での完成は断念され、結局屋根がくり抜かれた形でスタートせざるを得なくなった。

メインスタジアムはこの大会では陸上競技に使用されたが、その後メジャーリーグでカナダから参加しているモントリオール・エクスポズのフランチャイズ球場として使用するための改修が施された。かつてのトラック跡の一部に外野スタンドを取り付け、またフィールドにも野球用の人工芝を敷いた。一時期は陸上トラックがむき出しになっていたこともあった。また、1988年には開閉式の屋根を架設した。しかし、エクスポズが2004年をもって本拠地をワシントンD.C.に移転(チーム名もワシントン・ナショナルズに改名)したことで、現在は“空き家”状態になっている。

ただし、イベントが完全に行われなかったわけではなく、カナディアンフットボールアメリカンフットボールのカナダ版)のモントリオール・アルエッツ、並びにアメリカ合衆国メジャーリーグサッカーモントリオール・インパクトが、準本拠地として、特に集客が見込める年間数試合に限り使用しているほか、2007 FIFA U-20ワールドカップ(世界ユースサッカー選手権)の会場にも指定されていた。その後は2015 FIFA女子ワールドカップと、そのリハーサルとなる2014 FIFA U-20女子ワールドカップの会場にも指定されている。

競技の結果

女子体操に出場した
ルーマニアナディア・コマネチが、史上初の10点満点を連発し脚光を浴びた。

競泳では、アメリカ東ドイツが圧倒的な強さを発揮してメダルを独占した。

開催国カナダは金メダルなしに終わった。なお、開催国が金メダルを1個も獲得できなかったのは冬季では今大会以前に、シャモニーオリンピックサンモリッツオリンピックがあるが、夏季では今大会が初めてで、これ以降を含めてもサラエボオリンピックカルガリーオリンピックの3回のみであるが、下記2大会とも冬季のため夏季では2023年現在唯一である。

大会のメイン競技である陸上競技と競泳で、アメリカの不振が目立った。特にお家芸である陸上競技、競泳の女子個人種目で金メダルなしの惨敗であった。アメリカに代わり台頭したのが東ドイツであり、中でも女子競泳では個人種目において11種目中10種目で金メダルを獲得する大躍進だった。

東ドイツは、夏季オリンピック大会としては初めてアメリカを抜いて、ソ連に次いで2番目の金メダルを獲得した。その他、金メダル獲得数上位10ヵ国のうち共産圏の国が7ヵ国を占めた。近代オリンピックの第1回大会から参加しているアメリカが夏季大会の金メダル獲得数で3位に転落するのは初のことであった。

日本はメダル総合順位では5位だったものの、メイン競技である陸上競技と競泳でアントワープオリンピック以来の入賞者なしに終わった。また体操においても、大会直前にエースの笠松茂が病気で欠場したこともあって獲得した金メダル数でソ連に劣り、柔道においても軽量級や重量級で取りこぼした結果、ローマオリンピック以来の金メダル数ヒト桁台に落ち込んだ。

主な競技会場

モントリオール・オリンピック・スタジアム(開・閉会式、陸上競技)

オリンピック・プール(競泳、飛込)

オリンピック・ベロドローム(自転車競技トラックレース、柔道)

モントリオール植物園(競歩20km、近代五種ランニング)

モーリス・リチャード・アリーナ(ボクシング、レスリング)

ピエール・チャーボノー・センター(レスリング)

モントリオール・フォーラム(体操、バスケットボール、ハンドボール、バレーボール)

サントル・エティエンヌ・デマルトー(バスケットボール)

ポール・ソベー・アレーナ(バレーボール)

ノートル・ダム島

モン・ロワイヤル公園

ウィンター・スタジアム(モントリオール大学構内)

パーシバル・モルソン・メモリアル・スタジアム(マギル大学構内)

ポーツマス・オリンピック・ハーバー

シャーブルック・スタジアム

バーシティ・スタジアム

ランズダウン・パーク

実施競技と日程表

競技名 / 日付1718192021222324252627282930311
開会式 / 閉会式??
陸上競技????????
ボート????????
バスケットボール??????????
ボクシング?????????????
カヌー????
自転車競技???????
フェンシング??????????
サッカー??????????
体操??????
ウエイトリフティング?????????
ハンドボール???????
ホッケー???????????
柔道??????


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:68 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef