1974年通商法
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1974年通商法(1974ねんつうしょうほう、英語: Trade Act of 1974)は、アメリカ合衆国法律[1]である。
制定までの経緯

ケネディ・ラウンドが、1967年に終了した後、新国際ラウンドの交渉が検討され始めた。1971年11月のガット総会で、日本が正式に新国際ラウンドの交渉を提唱し、1973年2月の日米及び米ECの共同宣言で1973年中の交渉開始を宣言した。これは1973年11月のガットの東京総会において正式に決定され、東京ラウンドとして交渉[2]されることになる。

これらの動きに対応して、1973年4月10日、リチャード・ニクソン大統領は、議会に「通商改革法(Trade Reform Act)」を提出[3][4][注釈 1]した。

この法案の提案理由として、法案と同時に議会へ提出された「通商特別教書」は、次のように述べている[3]

第二次世界大戦後、米国は、世界経済において圧倒的な地位を占めていたが、その後国際経済情勢は大きく変化し、ECや日本が自由経済の最も強力な経済力として台頭してきた。その結果、米国はもはや単一の支配的な経済国家ではなくなった。今や経済的な相互依存の増大と経済的支配権の分極化という新しい時代がはじまっている。それと同時に世界には広い範囲にわたってさまざま貿易上の障害が拡がり、これが国際経済を歪め、米国のみならずあらゆる国の利益をそこなっている。米国はこのような現状認識にたって次の目的のために、現在大統領に与えられていない通商交渉に関する権限をこの法律により与えるように要請する。

@ いっそう開放的で公正な世界貿易システムを確立するための交渉を行う。

A 国内市場を破壊し、米国労働者の雇用機会を奪うような輸入の急激な増大に効果的に対処する。

B 不公正競争に対処するために米国の経済能力を強化し、米国の貿易政策をより一層効果的なものにする。

C 米国の貿易収支の均衡やインフレなど特別な問題に効果的に対処する。

D 新しい貿易体制を開発途上国の貿易促進を助ける機会として利用する。

以上が、1973年通商改革法の提案理由であり、直接的目的は、新国際ラウンドを迎えるにあたり、関税修正権限や非関税障壁の撤廃についての権限を議会から行政府に対し、授権を求めることにあった。

下院歳入委員会での検討を経て、1973年10月3日に正式な法案として提出[5]され、ジャクソン=バニク修正条項を盛り込んだ形で、10月10日に下院歳入委員会(Committee on Ways and Means)を通過[6][5]し、12月11日に272対140で下院を通過[6][5]した。

上院での審議は、それは第4次中東戦争やウォーターゲート事件により議会の審議が中断したほか、@通商交渉権限、特に非関税措置に関する交渉への議会の関与の問題、Aセーフガード、国内援助措置の適用の問題、B石油の対米禁輸を契機に多くの議論をよんだ資源確保の問題、COPECへの適用が問題になった一般特恵供与の問題、Dソ連などに対する最恵国待遇問題等をめぐって議会の内外で幾多の議論を呼んだため[6]に遅延し、1974年11月26日に上院財政委員会(Committee on Finance)を通過し、12月13日に上院を77対4で通過[6][5]した。上院での修正で題名が1974年通商法となり、非関税措置に対する協定の受諾のためのファスト・トラック手続が規定された。

法案は、両院協議会での調整を経て、12月20日に、下院で323対23、上院で77対4で可決され、1975年1月3日にジェラルド・R・フォード大統領の署名により成立[6][5]した。
主要な改正

1974年通商法は、制定後幾度か改正されている。その主なものは次のものがある。
1979年通商協定法

1979年通商協定法は、ファスト・トラック手続により制定された最初の法律であり、東京ランドの米国の実施法である。1974年通商法については、第2編をセーフガード協定に合致させる改正等基本的に東京ラウンド実施のための改正である。
1988年包括通商競争力法

1988年包括通商競争力法は、ウルグアイラウンドに向けたファスト・トラック権限の付与、HSの導入、保護主義的観点から1974年通商法の改正等を行った。特に手続により制定された最初の法律であり、東京ランドの米国の実施法である。1974年通商法については、第2編をセーフガード協定に合致させる改正等基本的に東京ラウンド実施のための改正である。
ウルグアイラウンド協定法


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