一方、『CNN』の記事ではイランの政治家や宗教指導者はこのクーデターを反米感情を高める材料に使用しているとの意見がある[2]。第6代イラン大統領であるマフムード・アフマディーネジャードは、クーデターでCIAが犯した犯罪について謝罪するようアメリカに要求した[2]。
2016年5月17日、イラン議会はクーデターへの関与を含む過去63年間にアメリカから受けた精神的・物質的損害への補償を請求する法案を賛成多数で可決した[7]。損害にはクーデターの他にイラン・イラク戦争でのイラク支援、1980年代末の石油施設破壊などがあげられた[7]。この法案は賛成174、反対7で可決され、アンサリ(英語版)副大統領によればイラン国内の裁判所はアメリカに500億ドル(約5兆4800億円)の支払いを命じたという[7]。 アイゼンハワー大統領は、クーデターとCIAの活動について、1953年10月8日の日記に以下のように書いている。Another recent development that we helped bring about was the restoration of the Shah to power in Iran and the elimination of Mossadegh. The things we did were ‘covert.’ If knowledge of them became public, we would not only be embarrassed in that region, but our chances to do anything of like nature in the future would almost totally disappear. Nevertheless our agent there, a member of the CIA, worked intelligently, courageously and tirelessly. I listened to his detailed report and it seemed more like a dime novel than an historical fact. When we realize that in the first hours of the attempted coup, all element of surprise disappeared through betrayal, the Shah fled to Baghdad, and Mossadegh seemed to be more firmly entrenched in power than ever before, then we can understand exactly how courageous our agent was in staying right on the job and continuing to work until he reversed the entire situation. 最近になって我々がもたらしたもう一つの出来事は、イランでシャーを復権させてモサッデクを排除したことだ。我々が行ったのは「密事」である。もし、それらの情報が公開されれば、我々は当地において面目を失うだけではなく、この先あそこで何か普通のことをする機会すらほぼ完全に潰える。それが分かっていてなお、我々のエージェントである現地のCIAの職員は賢明、勇敢かつ忍耐強く働いた。私は彼から詳しい報告を受けのだが、それは歴史的な事実というよりはダイムノヴェルのように思えるものだった。クーデターの最初の数時間で、シャーがバグダードへ逃亡しモサッデクが権力基盤をかつてないほどしっかりと固めるという裏切りで驚くことは全て消えた。そのことが分かっていれば、エージェントがいかに勇敢で適切に職務に当たって全ての状況をひっくり返すまで働き続けたかを、我々は正しく理解できる。 ? Eisenhower Library, Whitman File, DDE Diary Series, Box 1[8] 2000年、マデレーン・オルブライト国務長官はモサッデク政権の失脚にアメリカが重要な役割をしたことを認め、またこれによりイランの政治的発展を妨害することになったと述べた[9]。 2009年6月4日、バラク・オバマ大統領は中東歴訪中に訪問したエジプトのカイロでの演説で「冷戦中、民主的に選出されたイラン政権の転覆に米政府が関わっていた」と発言し、在任中のアメリカ合衆国大統領としては初めて1953年のイランクーデターにアメリカ政府が関与していたことを正式に認めた[1]。 2013年8月19日、ジョージ・ワシントン大学の国家安全保障公文書館(NSA)は1953年のイランクーデターを中央情報局(CIA)が主導していた証拠となる公文書を公開した[9]。NSAによれば、今回公開した文書は2011年に機密指定が解除されたものであり、『CNN』はCIAがクーデターに関与したことを明示する初めての公文書だと報道し[2]、『AFP』は公開済みの文書の中でクーデターへのCIAの関与を最も明確に認めるものだと報じた[9]。
アメリカ側
脚注
注釈^ 原文:“by virtually any available means, including military action,”
^ 『CNN』では単に「英国の秘密情報機関」としか書かれていないが、『ロシアの声』では「MI6」と組織名を明記している[3]。
出典^ a b c d e “オバマ大統領、53年イラン軍事クーデターへの米国関与を認める”
^ a b c d e f g h i j k l m “イランの53年政変はCIA主導、初の公式文書確認 米大学”. CNN. (2013年8月22日). https://www.cnn.co.jp/usa/35036278.html 2017年11月5日閲覧。
^ a b c d “CIA confirms role in 1953 Iran coup”. ロシアの声. (2013年8月19日). https://sputniknews.com/voiceofrussia/news/2013_08_19/CIA-Confirms-Role-in-1953-Iran-Coup-1164/ 2017年11月5日閲覧。
^ a b c d e f g David J Lynch (2017年8月9日). “Britain pressed US to join Iran coup against Mosaddegh”. フィナンシャル・タイムズ. https://www.ft.com/content/9ea5c5e0-7c50-11e7-9108-edda0bcbc928 2017年11月6日閲覧。