16式機動戦闘車
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16式機動戦闘車
基礎データ
全長8.45 m
全幅2.98 m
全高2.87 m
重量約26 t
乗員数4名
装甲・武装
主武装52口径105mmライフル砲
副武装12.7mm重機関銃M2
74式車載7.62mm機関銃
機動力
速度100 km/h以上
エンジン直列4気筒4ストローク水冷ターボチャージドディーゼル
570 ps/2,100rpm
出力重量比21.9 ps/t
データの出典平成23年度日本の防衛 コラム「<解説>機動戦闘車の開発について」、 ⇒陸上自衛隊公式Flickrページ
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16式機動戦闘車(ひとろくしききどうせんとうしゃ、英語: Type 16 maneuver combat vehicle[注 1], 略称: 16MCV[1]・MCV・キドセン[2])は、防衛省が開発した装輪装甲車
概要

16式機動戦闘車は、開発事業名「機動戦闘車」として2007年(平成19年)度に開発が開始され、2016年(平成28年)度の防衛予算から調達が開始された装輪装甲車であり、積極的に戦闘に参加させる点から「戦闘車」に分類されている[注 2]。試作・生産は三菱重工業が担当する。普通科歩兵)に対する直接火力支援軽戦車を含む装甲戦闘車両の撃破などに使用するための車両であり、主に機動師団および機動旅団に新編される即応機動連隊、地域配備師団および地域配備旅団に新編される偵察戦闘大隊に配備される。即応機動連隊は既存の普通科連隊を母体に機甲科の機動戦闘車部隊と野戦特科の重迫撃砲部隊が一体となった諸職種連合の緊急展開部隊であり、偵察戦闘大隊は従来の偵察隊と戦車部隊を統合した機甲科部隊である。

16式機動戦闘車は戦車主力戦車)ではないが、大口径主砲砲塔に備える姿から、装輪戦車と呼ばれることもあり、戦車が担っていた任務を一部代替するものである。特筆すべきは16式機動戦闘車の火力74式戦車と同等であり、装輪車両の弱点である命中精度の低さ[注 3]を高度な射撃統制機能などの新機軸[注 4]導入によって克服が目指されている点である。しかし履帯(クローラー)を有しないため戦場機動力に劣り、重量に制限があるため同世代の主力戦車に準ずる火力や装甲を与えることは困難である。それゆえ16式機動戦闘車は戦車を完全に代替するものではなく、10式戦車と並行して配備される見通しである。

上記の通り16式機動戦闘車は戦車を代替するものではないが、予算上の制約により戦車は配備数を縮小廃止していく方向が25大綱26中期防で示されており、機甲師団教育部隊など戦車が必要不可欠な部隊は別として、本州や四国といった戦車の重要性が低いとみなされている部隊では戦車の運用を諦めることが想定されている。そこで16式機動戦闘車が全国へ配備されることによって、この車両が戦車の担っていた歩兵支援を代替する存在と見込まれている。

一方で、機動戦闘車の車輪(タイヤ)による機動は、履帯(クローラー)を有する戦車に比べて道路上での速度が高く、機構への負担が少ないという強みがある。戦車はこの欠点を回避するために戦略移動中は極力自走せず、戦車運搬車で輸送される。その点、機動戦闘車は自力走行でも問題が起きにくいとみられ、即応性が高く運用の負担が少ない。

他国ではイタリア陸軍が似たような運用を行っており、レオパルト1A5アリエテなど主力戦車部隊はイタリア半島北部に集中させ、チェンタウロ戦闘偵察車は全国に分散配置されている。もしも南部で戦闘が発生した場合、チェンタウロ戦闘偵察車はアウトストラーダ高速道路)を利用して迅速に展開し、戦車部隊が南部へ到着するまでの時間稼ぎの役割を果たす。

2016年1月22日、防衛装備庁は「平成28年度『16式機動戦闘車』の契約希望者募集要領」を公表し、採用時の名称は、「16式機動戦闘車」となる見通しとなった[3]


装輪式自走対戦車砲の比較[要出典]16式機動戦闘車11式装輪突撃車[注 5]AMX-10RCM1128 MGS[注 6]チェンタウロルーイカット
画像
全長[注 7]8.45 m8.00 m6.24 m6.95 m7.40 m8.20 m
全幅2.98 m3.00 m2.95 m2.72 m3.05 m2.90m
全高2.87 m2.10 m2.60 m2.64 m2.73 m2.80 m
重量約26 t26 t17 t18.77 t26 t28.8 t
最高速度100 km/h85 km/h100 km/h108 km/h120 km/h
乗員数4名3名4名
主武装52口径105mmライフル砲105mmライフル砲48口径105mmライフル砲51口径105mmライフル砲52口径105mmライフル砲62口径76mmライフル砲
副武装12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×112.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×112.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×112.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×17.62mm機関銃×27.62mm機関銃×2

開発経緯

16式機動戦闘車は2004年(平成16年)の防衛計画の大綱を基準とし、新規に陸上自衛隊が装備するべき車輌として模索された。2007年(平成19年)度、26億円の開発費が充てられ、本格的に開発が開始された。開発では将来装輪戦闘車両の研究試作や、10式戦車の開発技術・成果を活用するとされている。また、この時点では総開発費用173億円、試験終了を2015年(平成27年)と予定した[4]

2013年(平成25年)10月9日に防衛省技術研究本部陸上装備研究所(神奈川県相模原市)において、試作車(『機動戦闘車(その4) 機動戦闘車1号車』)が初めて報道陣向けに公開された[5]。また2016年(平成28年)1月10日習志野演習場で行われた「平成28年第1空挺団降下初め」の装備品展示において試作車(『機動戦闘車(その4) 機動戦闘車4号車』)が初めて一般公開された。

島嶼部に対する侵略事態やゲリラ特殊部隊による攻撃などの多様な事態に対処するため、優れた空輸性および路上機動性などの機動展開力、敵装甲戦闘車両などを撃破可能な火力を有する機動戦闘車を開発する計画である[6]


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