11人いる!
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

テレビ朝日系列の2011年のテレビドラマ11人もいる!」とは異なります。

『11人いる!』(11にんいる!)[注釈 1]は、萩尾望都による日本の中篇SF漫画。漫画雑誌『別冊少女コミック1975年9月号から11月号に連載された[2][注釈 2]

宇宙大学の入学試験で宇宙船に閉じ込められた受験生たちを描いた密室劇で[3]、SF作品であると同時に、ミステリー、友情、恋愛などの要素も盛り込んだ作者の代表作である[4]

1976年(1975年度)、第21回小学館漫画賞少年少女部門を受賞[2]

テレビドラマ化、アニメ映画化、および舞台化されている。
概要

名門校・宇宙大学の入学試験最終テスト(最終日程の最後の科目)において、“外部とのコンタクトが不可能な宇宙船”を舞台に、宇宙のさまざまな国からやって来た11人の受験生が、本来ならチームは10人一組のはずが1人多いことから闖入者探しに迫られ、疑心暗鬼のなかで反目しつつ、信頼関係を築き合いながら友情や恋を培い、非常事態を乗り越えようとするさまを描く。

少女マンガ初の本格的なSF作品で、それまで少年マンガしか読まなかった読者や、小説家・文化人にまで大きな影響を与えた[5]。宇宙を舞台にしたSFの世界観に外部への連絡が不可能というクローズド・サークルなミステリ要素を取り入れた綿密な設定と、魅力的な登場人物、緊張感のある構成は完成度が高い。

作者によると、本作のヒントの1つになったのは、宮沢賢治の童話『ざしき童子のはなし』であるという[6]。舞台を宇宙船内に設定したのは、ざしき童子を基にしたストーリーを考えていた高校生当時、SFが好きで宇宙船内で起こる事件を色々考えていたため、と語っている[7]

なお、宇宙やメカの描写は、アシスタントに来た松本零士のスタッフが描いたものである[8]

続編に「続・11人いる! 東の地平・西の永遠」、番外編に「タダとフロルの スペース ストリート」がある。番外編には11人の中で登場しない人物もいる。
作品設定

ワープ航法と反重力推進の発明により、地球人類が宇宙へ進出を果たしている未来。人類は200年の間に51の惑星を開拓したが、異星人の遺跡の発見、および異星人とのファーストコンタクトを経て団結する必要に迫られ、総合政府・テラを樹立する。

その後、サバ系、ロタ系、セグル系の3大国で構成される星間連盟に、地球および周辺惑星もテラ系として加盟。400年の時を経てロタ、セグル、サバに次ぐ国力を獲得した。異なる種族間同士の遺伝交配はロタ系を除き可能。
テラ
星間連盟に加盟している4大国中、国力で第4位。人口で第1位。地球と51の植民地惑星からなる総合政府。
サバ
国力では第3位。人口では第2位。メンタリティの面でテラ系と多くの類似性を持つ。そのためテラ系にとっては好敵手と呼べる存在。バセスカいわく「サバ系は総じて美形が多い」が、トトのような例外もいる。
セグル
国力では第2位。人口では第3位。サバをしのぐ歴史と伝統を誇る由緒ある星系。
ロタ
国力では第1位。人口では第4位。特殊な宗教下にあるため、交易自体が困難とされている。作中ではロタ系人種が1人も登場していないため詳細不明。

上記4星系に属さない惑星もあり、作中ではフロルの出身星がそれにあたる。
宇宙大学国
テラ(地球連邦総合政府)によって設立された、1つの惑星が丸ごと大学という学園国家の様相を呈している機関。モットーは「自由・調和・博愛」。惑星全体をバリヤーで包み込み他国の武力を退けるほどの高度な科学技術を保有し、テラから勉学の権利を絶対に保障されている。作中の時点で創立から300年を数える。入試は2年半に1度で、各星系から多くの人材が集まるが、合格率は0.007パーセントという超難関である(第1次試験0.1パーセント、第2次試験10パーセント、最終試験70パーセント)。
11人いる!
あらすじ

宇宙大学の受験生である主人公タダトス・レーン(タダ)は、最終テストである実技試験(協調性のテスト)として、筆記試験の成績に基づいて組まれた10人チームのメンバーとなり、漂泊中と仮定して外部との連絡を断たれ、惑星「黒」の衛星になって公転周期53日で回り続ける廃棄済みの宇宙船・白(はく)号の乗員として53日間船内にとどまるよう言い渡される。だが白号に乗り込んでみると、そこにいたのはなぜか1人多い11人。大学側に事態を知らせようにも連絡手段は司令室(ブリッジ)に設置された非常用赤ボタンのみであり、押せばチーム全員が不合格になってしまう。試験合格のため、11人は互いに疑念を抱きながらも規定の53日間を過ごすことに決める。

11人目という不測の存在を抱えつつも試験は順調であるかのように見えたが、白号の軌道が惑星「黒」の公転軌道から外れて恒星「青」に近づいていくというアクシデントにより、船内温度が徐々に上昇。さらに船内温度が40℃に達すると、船内に繁茂している野生化した電導ヅタに起因する死亡率93パーセント、空気伝染の伝染病・デル赤斑病が発生する可能性があること、タダが5歳の頃、白号に乗船していた際にデル赤斑病の発生に遭遇して乗員の9割・1万人以上がワクチン不足により集団感染し死亡するという事件が起きていたことが判明し、11人はこの危機を回避するための行動を迫られる。

暑さと伝染病への不安が疑心を煽り、一時はタダを11人目として殺害しようとする騒ぎにまで発展するが、各人の機転や努力で互いに協力し合い、遂に白号の軌道変更とワクチン抽出に成功するが、45日目を迎えたところでフロルが発症したため、タダたちは棄権を申し出ることを決め、非常用ボタンを押した。しかし、全チームの中で最長期間を耐えたタダたちのチームは首席合格と通知され、彼らはそれぞれの未来へと旅立っていくのだった。
登場人物
タダトス・レーン
主人公の少年。愛称はタダ。テラ系シベリース出身。真面目だが少々押しに弱い。優れた直感力(
テレパシーに似たシベリース特有の超能力の一種)があるが、白号に来てから、11人目が誰か分からなかったり、(後日、半分当たっていることが判明するが)フロルを女性だと思ったりするなど調子が狂い始める。5歳の頃、白号に乗船していた際にデル赤斑病の発生に遭遇、自身はワクチン接種を受けて助かったが、両親を含む乗員の大半が死亡するという惨事を経験している。そのときの記憶は当時の白号の船長であった長老により封印されていたが、電導ヅタについて調べている際に記憶を取り戻した。大学入学後、念動力(しかも物体を空中で停止させるという上級ランクの力)まで発現させる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:78 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef