10式戦車
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2012年8月、富士総合火力演習にて実弾の射撃および難易度の高いスラローム走行技術を一般に公開した。

2013年(平成25年)4月時点での試作車の現状であるが、1号車は陸上自衛隊朝霞広報センターにて、試作2号車は土浦の武器学校、試作3号車(ドーザ付)は富士学校に展示されており、試作4号車は技術研究本部陸上装備研究所で保管されている。

また、車輪前部のラバー製カバーが折り目がないものに変更されるなど、納入の度に量産車にも幾度か改修が施されている。加えて、既に納入済みの車両も逐次対応していくとされる。
仕様

火力・防護力・機動力などの性能は、90式戦車と同等かそれ以上を目標としている。乗員は車長砲手操縦士の3名。

将来の対機甲戦闘および機動打撃を行いうる性能と、ゲリラコマンド攻撃の対処における優位を確立するため、以下を開発のコンセプトとしている。

高度なC4I機能などの付加

火力・防護力・機動力の向上

全国的な配備に適した小型軽量化

民生品の活用(COTS)および部品の共通化などによるライフサイクルコストを含む経費の抑制

将来の技術革新などによる能力向上に対応するための拡張性の確保
量産型の車体。
試作車両と細部が異なる。乗員との対比でも解るようにコンパクトである。
火力
火砲・弾薬砲塔上面に各種センサー類、及び12.7mm重機関銃M2を備える。詳細は「10式戦車砲」を参照

主砲は従来の44口径120mm滑腔砲より13%軽い、新開発された軽量高腔圧砲身の日本製鋼所製の国産44口径120mm滑腔砲(10式戦車砲)を装備、砲弾は発射薬や飛翔体構造を最適化した国産の新型徹甲弾APFSDS)が開発され、新型弾薬に合わせ薬室の強度も強化されている。また、将来的に必要であれば55口径120mm戦車砲に換装可能なよう設計されている。

10式戦車の設計では90式戦車で使われる120mm戦車砲弾の使用も考慮されている[9]。弾薬の互換性を保持するため主砲には一部にラインメタル120 mm L44滑腔砲と共通の設計がなされ[10][11]、90式の主砲弾(設計が古く現在では貫徹力不足のDM33互換JM33)を使用できるとされている。なお、10式用の砲弾は徹甲弾の他に空包が調達されている。これにより、訓練や演習時、記念行事などでの模擬戦闘で90式ができなかった空包射ができるようになる[12]

副武装として主砲同軸74式車載7.62mm機関銃砲塔上面には12.7mm重機関銃M2を装備している。また、12.7mm重機関銃M2用の銃架は、車長潜望鏡上部にある円形のレールに取り付けられ、旋回式となった。
自動装填装置

自動装填装置を装備し、砲塔後部バスル内にベルト式の給弾装置を配置していると見られている。また、砲塔後面には給弾用ハッチがあり、そこから自動装填装置への給弾を行う[13]。弾薬保持機構は90式戦車が爪型だったのに対し筒型になっている。これにより装填中の砲弾の挙動をより安定させることができ、不整地走行時の装填の安定性向上や、従来より早い装填速度を達成している。[14]。またそれらの改良により10式戦車の自動装填装置は90式戦車と比べて7割程度の重量へと軽量化されている。

砲弾の搭載弾数については、自動装填装置内で「現時点で14発」とする記事[10]や、砲塔弾薬庫に14発、砲手の後方に2発、車体に6発の計22発が収納できるとする記事[15]のほか、90式戦車とほとんど変わらないという記事[11]があり、こちらでは90式は自動装填装置内と車体内に各18発と戦闘室内に4発の計40発が搭載可能と記述している。
指揮・射撃統制装置スラローム射撃を行う10式戦車。

指揮・射撃管制装置に関しては、走行中も主砲の照準を目標に指向し続ける自動追尾機能があり、タッチパネル操作でも主砲の発砲が可能である。無線通信レーザーセンサー赤外線ミリ波レーダーなどのすべてのセンサーが完璧に機能する条件下では、小隊を組んだ10式戦車同士の情報のやり取りで、8標的まで同時捕捉し、これに対する同時協調射撃が可能となる。小隊長は、10式に装備された液晶ディスプレイをタッチパネル操作することで、各車に索敵エリアを指示したり、「自動割り振り」表示を押すことで各車に最適な標的を自動的に割り振り、同士討ちや重複射撃(オーバーキル)を避けながら効率よく標的を射撃することが可能になっている[16]

10式には自動索敵機能があり、センサーが目標を探知すると目標の形状などから目標の種類(戦車、装甲車両非装甲車両、航空機、固定目標、人など)を自動的に識別する。FCSは探知・識別した目標の脅威度の判定を自動的に行い、ディスプレイに目標を色分けして強調表示させる。これらの情報は、小隊内各車の状況(燃料、弾薬、故障状況など)とともに小隊内でリアルタイムに共有することができる。脅威度が高い目標が出現した場合は、90式戦車と同様に車長砲手をオーバーライドできるだけではなく、小隊長が他の小隊車のFCSを強制的にオーバーライドして照準させることができる。


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