10式戦車
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10式戦車
性能諸元
全長9.42m
全幅3.24m
全高2.30m
重量約44t(全備重量)
懸架方式油気圧式
速度70km/h(前進・後進速度[1]
主砲10式戦車砲(44口径120mm滑腔砲)
副武装

12.7mm重機関銃M2砲塔上面)

74式車載7.62mm機関銃(主砲同軸

装甲

複合装甲(正面要部)

均質圧延鋼装甲

増加装甲(装着時は各部)

エンジン

三菱8VA34WTK 水冷4サイクルV型8気筒ディーゼル
1,200ps/2,300rpm
乗員3名


開発費:約484億円

単価:約15億円(令和元年?令和5年)

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10式戦車(ひとまるしきせんしゃ)は、日本主力戦車陸上自衛隊が運用する国産の戦車としては4代目となる。
概要

10式戦車は陸上自衛隊61式74式90式に次ぐ4代目となる日本の最新国産主力戦車である。

10式戦車の開発は防衛省技術研究本部、試作・生産は三菱重工業が担当した。戦闘力の総合化、火力・機動力・防護力の向上、小型・軽量化などを達成。2009年(平成21年)12月に実施された防衛省装備審査会議において部隊の使用に供することを認める評価がなされた[2][注 1][注 2]。また、装備化年度が平成22年度(2010年度)になることから「10式戦車」と名称が定められた[2]

主砲には日本製鋼所の国産44口径120mm滑腔砲(軽量高腔圧砲身)を備え、新型の国産徹甲弾の使用により貫徹力を向上させている。また、90式戦車と同様に自動装填装置を採用し、乗員は車長砲手操縦士の3名である。小型・軽量化と応答性・敏捷性の向上のため、水冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジンと油圧機械式無段階自動変速操向機(HMT)を組み合わせた動力装置(パワーパック)を搭載する。また、全国的な配備・運用のために車体を小型軽量化したことで重量は約44トンに抑えられており、さらに着脱が容易なモジュール型装甲を実装している。日本戦車戦闘車両としては初めてC4Iシステムを標準装備したことも特徴である。

平成22年度(2010年)より調達が開始されており、平成23年度(2011年)より富士教導団戦車教導隊などから順次部隊配備される。平成24年(2012年)に量産第1号車が富士学校機甲科部に引き渡され、平成24年(2012年)12月に駒門駐屯地第1戦車大隊へ配備された。
開発経緯

日本を防衛するための能力を将来にわたって維持するため、将来の情報戦に対応できる機能・性能を有した現有戦車の後継が必要とされた。導入する戦車の条件として、C4Iシステムによる情報共有および指揮統制能力の付加、火力・防護力・機動力の向上、全国的な配備と戦略機動のための小型軽量化が求められた。

現有戦車の改修や諸外国で装備されている戦車の導入も検討されたが、防衛省の政策評価書によれば次のような理由から不適当であるとされた。

現有の74式戦車および90式戦車を改修する場合、C4Iシステムを付加するには内部スペースが足りず、電子機器のための給電能力も不足しており設計が古いことから将来の情報戦に求められる性能が総合的に不足する。

諸外国の新鋭戦車を導入する場合いずれも90式戦車より大型で重量が約6-12トン重い上、陸上自衛隊でそのまま利活用できるC4Iシステムを搭載しておらず、独自のC4Iに適合させるための大規模改修が必要となる。

以上の理由から既存の戦車の改修によって目標を達成することは困難であり、将来の各種任務に必要な性能を満たす戦車を装備するためには新戦車の開発を行うことが適当と判断された。

開発を担当したのは防衛省技術研究本部の技術開発官(陸上担当)、試作・生産は主契約企業の三菱重工業である。開発は平成14年度(2002年)から平成21年度(2009年)まで行われ、試作については平成14年度-平成20年度(2008年)にかけて、試験については平成16年度(2004年)-平成21年度(2009年)にかけて実施された。

2008年2月13日、神奈川県相模原市の技術研究本部陸上装備研究所で新戦車の試作車両として初めて報道公開された。また、同時に主な諸元、砲塔内の一部を撮影した写真、走行・射撃映像なども報道向けに公開された。記者会見では価格についての質問があり、担当者から希望的なニュアンスで7億円との回答があったとされる。試作車両の車体後部左側面の銘板には「新戦車(その5)戦車(その2)戦車2号車」と書かれており、複数の雑誌で2008年1月に完成した試作2号車と記述していた。

2010年6月14日、静岡県駿東郡小山町陸上自衛隊富士学校富士駐屯地)で10式戦車の試作車両として報道関係者に公開され、90式と並走した。同年7月11日に行われた富士学校・富士駐屯地開設56周年記念行事では2両の試作車による走行展示が行われ、これが初の一般公開となった。なお、7月9日の予行でも報道関係者に公開されている。

2010年10月24日には、埼玉県の朝霞訓練場で行われた自衛隊観閲式で展示が行われた。ただし、観閲行進には不参加[4]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}10式戦車の試作車両。2010年富士総合火力演習でのドーザ付き10式戦車・試作3号車。2010年富士総合火力演習での10式戦車・試作3号車(後部)。2010年富士総合火力演習での銘板。
まだ「防衛庁」と表記されている。試作1号車側面(陸上自衛隊広報センター)。カバーに折り目がないタイプの量産車
第8師団第8戦車大隊所属の車両(2016年)。

2012年1月10日に量産第1号車(初号車)の「入魂式行事」が陸上自衛隊富士学校にて行われ、報道陣に対して試作車(1号車と3号車)と共に量産車の公開が行われた[5]。富士学校校長・機甲科部長らによる機甲科部マーキングへの最後の筆入れ(入魂の儀式)とテープカットがなされた[5]。量産車は試作車と細部が異なっており、主な変更点は以下の通り。

車体前部の形状[5]

砲塔側面モジュール装甲へのハッチの追加[5]

主砲先端の砲口照合装置ミラーの位置の変更[5]

砲塔後部の用具入れの形状の変更[5]

車体側面の乗車用ステップの増加[6][注 3]

砲塔側面の76mm発煙弾発射筒の開口部をそれぞれ1カ所に集約[6]

試作第4号車は2013年4月13日に一般公開された。塗装はOD一色で、車体下部に地雷原処理装備のマウントが確認できる[7]。その他にも、砲塔、架台車(車体)研究用に第0号車(単車としては存在せず)があったとされる。

2012年(平成24年)6月29日からは陸上自衛隊広報センターにて試作1号車が広報センターの中庭に常設展示の状態になっている[8]

2012年8月、富士総合火力演習にて実弾の射撃および難易度の高いスラローム走行技術を一般に公開した。


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