1型糖尿病
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1型糖尿病
別称T1D、インスリン依存性糖尿病
[1]、若年性糖尿病[2]

世界糖尿病デーのシンボルマーク「ブルーサークル」[3]
発音[da??bi?ti?s]
概要
診療科内分泌学
分類および外部参照情報
ICD-10E10
ICD-9-CM250.01
OMIM222100
DiseasesDB3649
MedlinePlus000305
eMedicinemed/546
MeSHD003922
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1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう、ICD-10:E10)は、膵臓β細胞の破壊によるインスリンの欠乏を成因とする糖尿病である。以前は「インスリン依存型糖尿病」[4]や「小児糖尿病」とも呼ばれていた。各種糖尿病のうち5-10%を1型が占めている[5]
解説

生活習慣病に分類される一般的に「糖尿病」と言われ想像する2型糖尿病とは異なり、1型糖尿病は生活習慣とは無関係の自己免疫性疾患が原因とされ、原因は異なるが同じ糖尿病の病態を示す。

膵臓にあるβ細胞は、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを分泌している。ところが、何らかの原因によりこのβ細胞が破壊されると、インスリンの分泌が極度に低下するか、ほとんど分泌されなくなり、糖尿病を発症する。インスリンが機能しないため血糖値が上昇し、糖尿病性昏睡などの急性のものから、糖尿病性腎症などの慢性のものまで、さまざまな合併症を引き起こし、放置すると死亡する。20世紀前半にインスリンが治療応用されるまでは、極度の食事制限を要する致死的疾患の一つであった。

予防法は分かっていない[6]。根治法はなく対症療法が行われる。経口血糖降下薬は無効で、患者はかならず注射薬であるインスリンを常に携帯し、毎日4回自己注射しなくてはならない[7]。今日ではペン型注射器が開発され、発症者の大半である小児でも自分で打ちやすくなった。
原因

発症機序の詳細は不明であるが、遺伝因子と環境因子の相互作用の結果発症する自己免疫疾患と考えられており[8]、動物実験では腸内細菌叢の操作により、発症および症状の進展を制御出来たとする研究報告がある[8]

発症原因やリスクに関わる研究例は、

自己免疫疾患の遺伝的素因(HLA-DR、DQ、PTPN22、CTLA-4など)[9]

自己抗体(ICA、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体など)

分子模倣(コクサッキーBウイルスと抗GAD抗体の抗原であるグルタミン酸デカルボキシラーゼの相似性を根拠とする、そのほかエンテロウイルスEBウイルス[10] がよく候補に挙げられる)

乳児期の一過性の潜在性ビタミンD欠乏症が将来の発症リスクを3倍に上昇させる[11]

1型糖尿病のハイリスク遺伝子を有する児に対して、早期に調整乳を曝露すると発症リスクが上昇する[12]

その一方で、1型糖尿病の一部には自己抗体が証明されず、膵臓にも炎症細胞の浸潤が証明されないものもある。これはあきらかに自己免疫性とは言えないものである。アジアアフリカ人に多いとされるこの病型の原因についてはほとんど不明である。しかし、2型糖尿病を発症しインスリン療法による治療中に1型を発症する例もある[13][14]
分類

原因と発症形式による分類[15]

β細胞破壊の原因

自己免疫性(1A型) - 血中に自らの膵細胞を攻撃する自己抗体が認められるもの

特発性(1B型) - 自己抗体が認められないもの[16]


発症形式

典型例(急性)

緩徐進行性[17][18]

劇症型[19]


疫学

発症率

日本糖尿病学会(1993)によれば(0 - 14歳)は日本では10万人に約1.5人[20]

(田嶼ほか(1999))によれば(0 - 17歳)は日本では10万人に約2人[21] と報告されている


最近、世界的に1型糖尿病の発症率の増加が報告され、環境要因との因果関係が疑われている(IDF報告およびLancet2004 Nov 6-12:1699-700.より)

症状

初期の自覚症状は喉の渇き、多飲・多尿、体重の減少などに過ぎない。これが進行すると、急性の合併症である糖尿病性昏睡を引き起こし、手当が遅れると死亡することもある。そのため、早期発見が非常に重要な病である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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