Billboard Hot 100では最高位2位、全英シングルチャートでは最高位9位を記録。1974年の第16回グラミー賞(英語版)で最優秀ヴォーカル入りインストゥルメンタル編曲賞(英語版)を受賞した。ウイングスのコンサート・ツアーやウイングス解散後のマッカートニーのソロ・ツアーで演奏されており、演奏時には打ち上げ花火の演出が採用されることがある。1991年にガンズ・アンド・ローゼズによってカバーされ、このカバー・バージョンは1993年の第35回グラミー賞で最優秀ハードロック・パフォーマンス賞(英語版)にノミネートした。 トム・マンキーウィッツが映画『007/死ぬのは奴らだ』の脚本を完成する前に、同作のプロデューサーであるサルツマンとブロッコリーはマッカートニーに主題歌の作曲を依頼。作曲に際してマッカートニーは、イアン・フレミングの原作のコピーを送るように頼んだ[5]。マッカートニーは、「ソングライターとしての野望の1つは、ジェームズ・ボンドのテーマソングを作ることだった。簡単にできるものじゃないとわかっていたけど、僕の目には魅力的な仕事だと感じられた」と語っている[6]。 ウイングスは、『レッド・ローズ・スピードウェイ』のセッション期間中であった[1]1972年10月19日にジョージ・マーティンのプロデュースのもと、AIRで「007 死ぬのは奴らだ」のレコーディングを行なった[7]。レコーディングにはレイ・クーパー
背景・レコーディング
サルツマンは、当初ウイングスの代わりにシャーリー・バッシーやテルマ・ヒューストン(英語版)が本作を歌うことを考えていた[9]。マーティンが完成した曲を映画会社に聴かせた際、会社側から「映画では誰にこの歌を歌わせるつもりか?テルマ・ヒューストンか?」と聞かれ、マーティンが「もうポールがレコーディングを済ませてるじゃないか!」と返したというエピソードが残っている[6]。ウイングスによる「007 死ぬのは奴らだ」は、映画のオープニングで使用され[10]、B.J.アルナウによる別バージョンも映画で使用された[11][注釈 3]。アルナウによる別バージョンは、マーティンが作曲したインストゥルメンタル「ニューオリンズの罠」(Fillet of Soul ? New Orleans)と「ハーレムの危機」(Fillet of Soul ? Harlem)とのメドレーとしてサウンドトラック・アルバムに収録され、1973年6月下旬にRCAレコードからシングル盤としても発売された[12]。 「007 死ぬのは奴らだ」は、イギリスで1973年4月16日、アメリカで5月10日に放送された特別番組『James Paul McCartney』で先行公開された。番組内ではスタジオでウイングスが本作を演奏する様子と、映画のシーンの一部が放送された[13]。『ビルボード』誌は、当時の「最高位の007映画のテーマ」とし、「甘美なメロディー、オーケストラによる突発的な喧騒、レゲエの一片、『1812年』のようなより大げさな演奏」の組み合わせを引き合いに、「マッカートニーの最も満足のいくシングルの1つ」と評し[14]、『キャッシュボックス』誌も「あらゆる点で素晴らしい曲」と評している[15]。 「007 死ぬのは奴らだ」は、イギリスで1973年6月1日、アメリカで1973年6月18日にシングル盤として発売された[7]。本作は、アメリカの3つのチャートのうち、最高位2位となった『ビルボード』誌のHot 100[16]を除く2つのチャートで首位を獲得した[17]。イギリスの全英シングルチャートでは最高位9位を記録[18]。アメリカでは、100万枚以上の売り上げにより、アメリカレコード協会からゴールド認定を受けている[19]。1974年の第16回グラミー賞
リリース・影響
「007 死ぬのは奴らだ」は、1973年7月に発売された映画のサウンドトラック・アルバム『007/死ぬのは奴らだ(英語版)』にオープニング・トラックとして収録された[21]。その一方で、マッカートニーのオリジナル・アルバムには未収録となっており、『ウイングス・グレイテスト・ヒッツ』(1978年)、『オール・ザ・ベスト』(1987年、アメリカ盤)、『夢の翼?ヒッツ&ヒストリー?』(2001年)[22]、『ピュア・マッカートニー?オール・タイム・ベスト』(2016年)[23]などのコンピレーション・アルバムに収録された。2018年12月7日に『レッド・ローズ・スピードウェイ』のデラックス・エディションが発売され、同作のボーナス・オーディオの1つとして「007 死ぬのは奴らだ」のリマスター音源とテイク10が収録された[24]。
1973年のウイングスのイギリスツアー[25]を皮切りに、マッカートニーは多数のライブで本作を演奏している[26]。ライブでの演奏時には打ち上げ花火を仕掛けるなど、観客を特に盛り上げる演出がなされており、マッカートニーはこの演出について「ジェームズ・ボンドといったら轟音と銃声だから」と語っている[27]。ライブ音源は『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』(1976年)、『ポール・マッカートニー・ライブ!!』(1990年)、『ポール・イズ・ライブ』(1993年)、『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』(2002年)、『バック・イン・ザ・ワールド』(2003年)、『グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ?ベスト・ヒッツ・ライヴ』(2009年)などのライブ・アルバムに収録された[22]。