それから9年後。20世紀も終わりに近く、ソ連は既に崩壊していた。ボンドはモナコでロシアの犯罪組織「ヤヌス」のメンバーである元ソ連空軍戦闘機パイロットのゼニア(ファムケ・ヤンセン)をマークしていたが、彼女と将軍になっていたウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプター・タイガーを、デモンストレーションを行っていたフランス海軍フリゲート艦上から奪取・逃走する。
その後ゼニアとウルモフは、そのヘリコプターを用いて隠密でロシアのセヴェルナヤにある秘密宇宙基地を訪れる。そこにプログラマーとして勤める職員のボリス(アラン・カミング)は二人と同じヤヌスの一員であり、かねてより二人を手引きしていた。ゼニアとウルモフは抜き打ち査察を装い、ソ連時代に開発された、内蔵した小型核爆弾を用いて発生させた高出力EMPを目標に照射する秘密衛星兵器「ゴールデンアイ」の起動キーを受け取ると、ボリスを除いてそこの兵士と職員を皆殺しにする。また宇宙基地ごと隠滅するために、宇宙空間に存在する「ゴールデンアイ」衛星2機のうち1機を用いてEMPを基地に向けて照射し、宇宙基地は壊滅、警報を受けて飛来していたMIG29戦闘機も墜落する。しかしこのとき女性コンピューター技士のナターリア(イザベラ・スコルプコ)は、奇跡的に生き残り脱出することができていた。この様子をイギリスのMI6から衛星中継を通じて見ていたボンドは、「ゴールデンアイ」とヤヌスの関係の手掛かりを求めてサンクトペテルブルクへと赴く。
一方、ロシアの大臣会議に出席し、セヴェルナヤの事故がシベリア分離派の犯行と推測するという虚偽の報告をしたウルモフは、ミシュキン国防大臣(チェッキー・カリョ)からボリス以外の行方不明者がいることを知らされる。ボンドはサンクトペテルブルクでCIAのジャック・ウェイド(ジョー・ドン・ベイカー)と元KGBのヴァレンティン・ズコフスキー(ロビー・コルトレーン)の仲介を受け、ゼニアと接触することに成功し、彼女を通じてヤヌスの幹部と接触するチャンスを掴む。しかし、そこで待っていたのは9年前ウルモフに殺されたはずのアレックであり、彼がヤヌスの首領であることを告げられる。アレックの両親はコサック出身であり、旧ソ連の共産体制で迫害を受けていたためイギリスに加担しようとしたが、第二次世界大戦後にイギリスがソ連に対してコサックたちを引き渡したため両親が自死を選び、以来イギリスに恨みを持ちながらMI6で二重スパイとして長年生き抜いてきたことを告白する。アレックはボンドを捕らえ、ボリスに接触を図ったためやはり捕まったナターリアとともに、用済みとなったタイガーの中に閉じ込めて爆破しようとするが、間一髪で2人は脱出することに成功する。しかし直後に駆け付けたロシア軍によって捕らえられ、ミシュキンによる尋問を受けることになる。ここでボンドとナターリアはミシュキンに事件の真相を告げるが、割って入ってきたウルモフがボンドの銃を使ってミシュキンを殺害し、ナターリアが連れ去られる。戦車を奪ったボンドはサンクトペテルブルク市内でウルモフを追いかけるうちに、ヤヌスが拠点としている秘密の軍用列車を発見する。列車内でウルモフを倒しナターリアを奪還することに成功したボンドは、ナターリアのハッキングによってヤヌスの隠し拠点がキューバに存在することを突き止める。しかしボリスとゼニアは小型ヘリコプターで逃走。
「ゴールデンアイ」を起動するにはセヴェルナヤと同規模のパラボラアンテナが必要だということから、キューバに赴いた2人はウェイドが用意した小型機に乗って上空からその探索を試みるものの、まったく見つけられずにいた。その時突如攻撃を受けたセスナ機はジャングルに墜落。その後ゼニアがボンドに襲い掛かってくるものの、彼女を倒すことに成功する。一方、隠し拠点にいたボリスとアレックは残った「ゴールデンアイ」1機を起動させるため、湖の底に隠していたパラボラアンテナと基地を出現させて発射準備に入った。基地内部に侵入して発見され、投降したボンドはアレックから、ヤヌスの計画はボリスを用いてイギリスのイングランド銀行に不正アクセスして金を引き出し、その操作記録を「ゴールデンアイ」で隠蔽すると共にイギリス経済に壊滅的な打撃を与える計画であったことを告げられる。しかしナターリアが「ゴールデンアイ」の挙動を書き換えることに成功し、大気圏突入させて自爆させるよう仕向けさせた。そしてボンドは仕掛けておいた爆弾を起動させて基地を爆破し、パラボラアンテナの上に設けられたクレードル上でアレックと一対一の死闘を繰り広げ、彼を突き落とし、爆発して落下するクレードルの下に彼を葬った。ボンドはナターリアが奪ったヤヌスのヘリコプターに間一髪で飛び移り、無事地上に生還。水入らずの時間を楽しもうとした二人だったが、その矢先にウェイドとアメリカ海兵隊によって救出されるのだった。
スタッフ
監督 - マーティン・キャンベル
製作総指揮 - トム・ペブスナー
プロデューサー - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
コンサルタントプロデューサー - アルバート・R・ブロッコリ(クレジット無し)
原案 - マイケル・フランス
脚本 - ジェフリー・ケイン、ブルース・フィアスティン
音楽 - エリック・セラ
主題歌 - ティナ・ターナー
作詞・作曲 - ボノ、ジ・エッジ
エンディング・テーマ「エクスペリエンス・オブ・ラヴ」 - エリック・セラ
作詞・作曲 - エリック・セラ、ルパート・ハイン
劇中歌「スタンド・バイ・ユア・マン」 - ミニー・ドライバー
作詞・作曲 - ビリー・シェリル、タミー・ウィネット
撮影 - フィル・メヒュー
編集 - テリー・ローリングス
プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
美術 - ニール・ラモント
特殊効果 - クリス・コーボルド
ミニチュア効果 - デレク・メディングス
メインタイトル・デザイン - ダニエル・クラインマン
キャスト