0マン
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『0マン』(ゼロマン)は、手塚治虫による日本SF漫画作品。1959年から1960年にかけて雑誌『週刊少年サンデー』(小学館)に連載された。『週刊少年サンデー』では創刊号から連載された『スリル博士』に続く手塚作品であった。

「0マン」と呼ばれる超人類と人類との抗争を軸とした大河ドラマを展開する作品である。目次

1 あらすじ

2 登場人物

3 0マン

3.1 メカニック


4 評価など

5 初出

6 単行本

7 アニメ化構想(実現せず)

7.1 パイロットフィルム詳細


8 脚注

9 外部リンク

あらすじ

日本も参加した近未来の戦争[1]のさなか、インドの奥地で一人の日本兵がシッポの生えた赤ん坊を拾って連れ帰る。リッキーと名付けられた赤ん坊は日本で人間の男の子として育てられ、小学生になっていた[2]

その頃、科学者の田手上(たてがみ)博士は、「雪男調査団」を率いてヒマラヤから「0マン」という生物を2体、日本に連れ帰る。リッキーは偶然のことからこの2人と出会い、それが自分の実の両親であることと、自分が0マンであることを知る。

リッキーは両親とヒマラヤの地下にある0マン国へと向かう。だが父とははぐれ、母は無断出国を理由に罪人とされる。0マン国が大僧官という独裁者に支配される国であることを知ったリッキーは母親とともに脱出し、再び日本に戻る。

0マンは秘かに日本で人類攻略の手を進めていた。田手上博士に人間の味方となることを約束したリッキーは0マンの箱根の基地を破壊、その対応に0マン側は電子冷凍機という装置を使用した。だがこれが暴走して、日本は寒冷化する。

電子冷凍機を水爆で破壊する作戦も失敗に終わり、寒冷化は全世界へ広がる。田手上博士はリッキーの父の援助を得て地球脱出用のロケットを作り、人類の他の惑星への移住を計画する。一方、地球に残って0マンとの対決を選んだグループがおり、リッキーも加わっていた。彼らは大僧官の娘・リーズを人質に取り、交渉に持ち込むことに成功するが、決裂。このときリッキーは深い傷を負い、0マン側に捕らえられて地下牢に収容されてしまう。だが、地下牢にいた反体制運動家のモルモに手当を受け、彼に協力することになった。

その頃、電子冷凍機の活動が低下し、全世界で大規模な雪解けが起こった。雪解け水は地下の0マン国にも流れ込み洪水が発生、その混乱の中で反体制派が蜂起して革命が起きる。大僧官はリーズとともに辛うじて脱出した。一方、金星に向かった田手上博士らはそこで0マンの先祖のような生物が大量に生息していることを発見する。彼らは金星への居住をあきらめて引き返し、雪解けの起きた地球へと戻った。

0マンの新政府は金星から戻った人間と友好関係を結ぶこととなり、リッキー一家も許されて市民権が与えられた。だが、0マン国を脱出した大僧官は一部の人間と結び、新政府や他の人間と対立する。電子冷凍機を処分するための装置・ブッコ・ワース光線が大僧官側の手に落ち、リッキーたちは捕らえられて窮地に追い込まれる。

優位に立った大僧官側だったが、人間の幹部であるカクテルの鉄とチャコール・グレイが反目し、それを利用した大僧官の差し金で鉄は殺される。人間側は大僧官たちの基地を制圧、リッキーも解放された。しかしグレイはブッコ・ワース光線の装置を保管した部屋に立てこもり、0マン国に照準を合わせて、その建築物や国民を次々と消していった。この知らせに憤ってブッコ・ワース光線の秘密を明かそうとした大僧官はそれを果たすことなく急逝。グレイとブッコ・ワース光線は忽然と消滅して危機は去ったが、0マン国は激しく破壊されていた。

0マン政府は会議を開き、人間との共存をあきらめて金星に移住することを決定した。これを伝えられたリッキーは逡巡の末、金星に行くことを決め、0マンたちは地球を去った。その数ヶ月後、0マン国の跡に田手上博士ら人間の調査隊が訪れる。もぬけの殻となった0マン国を見た田手上博士は、0マンは宇宙に去ったのかもしれないと述べ、もしも人間が戦争で自ら滅ぶようなことがあれば再び0マンはやってくるのではないかと語った。
登場人物

0マンの登場人物は、瞳の部分に人間とは異なる描き方(黒丸に斜めに白線の入った形)がなされている。
リッキー
本作の主人公。人間としての名前は力力也(ちから・りきや)。赤い野球帽タイプの帽子を被り、
半ズボン姿。同年代の0マンの中でも運動能力に優れている。話の途中で事故に遭遇してシッポを切断し、以後は作り物のシッポをつけるようになる。
リッキーの父親
0マン国では兵器開発などに従事する科学者だった。ヒマラヤで一度は生死不明となるが生き延びる。地球脱出ロケットの製作に協力した。
リッキーの母親
リッキーの父親とともに田手上博士に捕らえられる。その後、0マン・人間双方より過酷な扱いを受け、水爆使用の時には「人間の恨みの中で生きるより」とリッキーとともに爆発での死を選ぼうとした。ピットやガリ公の母親代わりにもなる。
田手上(たてがみ)博士
生物学者。名前の通りライオンのたてがみのような顔の輪郭に眼鏡をかけている。「雪男探検隊」でリッキーの両親を捕獲する。首相とは同窓生。NHKが特別放送を許すほどの信用と影響力がある。
力有武(ちからありたけ)
元日本兵。リッキーの育ての親。帰国してからは建設作業員となっていた。リッキーのシッポを切除する手術の費用を工面するため、田手上博士の研究所から0マンを強奪する計画に参加するが偶然その場にいた(息子である)リッキーと鉢合わせになり銃殺される。
ドンペイ
小学校でのリッキーの親友。リッキーのシッポの秘密を知っていた。途中出番がなくなるが、終盤に意外な活躍を見せる。
アセチレン・ランプ
「おんぼろタイムス」の新聞記者。0マンの存在を知り、リッキーを捕らえようとするが失敗。その後、0マンのロケットの設計図を入手。アメリカに渡って、寒冷化により無人化した街から財物を略取して成り上がるが、ロケットを完成できないままに凍死。『週刊少年サンデー』での連載時には名前を「乱風記者」と表記したコマがある。
甘井と桃山
「おんぼろタイムス」でのランプの同僚記者。キャラクターはチックとタックを使用。リッキーたちの味方となって行動する。お人好しで楽天的だが、0マンとの和平交渉の時にはそれを0マン側に利用されたことも。
首相
日本の総理大臣。エンマ大王の策略により、替え玉に置き換えられてしまう。容貌は連載当時の岸信介首相を模したものになっている。
エンマ大王
人間としての名前はクノッペン・ハウト。生物学者で、田手上とも旧知の関係。ヒマラヤで0マン国へ連れて行かれ、以後0マンの手先として活動する。電子冷凍機により凍死。
ピット・ハウト
エンマ大王の息子。父が0マンに殺されたと信じたことから、リッキーに報復を試みる。しかし逆にやり返され、さらに父の真相を知ったことでリッキーと親交を結んだ。
サタン
エンマ大王の手下で、サングラスをかけた美形悪役風の男。実はロボットである。
大僧官


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