0の0乗
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0 の 0 乗(ゼロのゼロじょう、: zero to the power of zero, 0 to the 0th power)は、累乗あるいは指数関数において、底を 0、指数を 0 としたものである。その値は、代数学組合せ論集合論などの文脈ではしばしば 1 と定義される[注 1]一方で、解析学の文脈では二変数関数 xy が原点 (x, y) = (0, 0) において連続とならないため定義されない場合が多い。目次

1 背景

2 1と定義される場合

2.1 モノイド論における扱い

2.2 集合論における扱い


3 定義されない場合

3.1 実解析における扱い

3.2 複素解析における扱い


4 コンピュータにおける扱い

5 脚注

5.1 注釈

5.2 出典


6 参考文献

7 関連項目

8 外部リンク

背景

実数 x の正整数 n 乗は、素朴には、n 個の x を掛け合わせたものである。厳密には、次のように再帰的に定められる。 ( ∗ ) x 1 := x , ( ∗ ∗ ) x n + 1 := x n × x ( n ≥ 1 ) . {\displaystyle {\begin{aligned}&(*)&x^{1}&:=x,\\&(**)&x^{n+1}&:=x^{n}\times x\quad (n\geq 1).\end{aligned}}}

x0 を定義する場合には、関係式 ( ∗ ∗ ) {\displaystyle (**)} が n = 0 でも成立するように定義を拡張するのが自然である。

そこで、 ( ∗ ∗ ) {\displaystyle (**)} に無理やり n = 0 を代入すれば、x0 + 1 = x0 × x すなわち x = x0 × x となり、x が 0 でなければ両辺を x で割って x0 = 1 を得る。すなわち、x ≠ 0 の場合は、x0 := 1 と定めることで、関係式 ( ∗ ∗ ) {\displaystyle (**)} が n ≥ 0 {\displaystyle n\geq 0} に対して成り立つように定義を拡張できる[注 2]。さらに負の整数 −n に対しても x−n := 1/xn と定義すれば ( ∗ ∗ ) {\displaystyle (**)} が満たされ、 x ≠ 0 の整数乗がうまく定義されて、指数法則 xn + m = xn xm や xnm = (xn)m が任意の整数 n, m に対して成立する。

次に、指数が実数の場合を考えよう。底が x ≠ 0 の場合は、上述のように整数乗が定まるのであった。詳細は省略するが、底を x > 0 の場合に制限すれば、指数法則が成り立ったまま指数を有理数、さらには実数へと拡張し、連続な二変数関数を得ることができる。また、x = 0 の場合に対する正の実数乗も、同様に連続性を理由として 0 と定義することができる。

すなわち実数の実数乗 xy は、底が x ≠ 0 で指数 y が整数であるか、底が x > 0 であるか、あるいは底が x = 0 で指数が y > 0 であればうまく定義でき、これら全ての点 (x, y) で二変数関数として連続となる。しかし、xy は底が x= 0 のとき、指数が負の実数であればうまく定義できず、どのように 00 を定義しても点 (0, 0) で二変数関数として連続にはならない。言い換えれば、00 を xy が連続となるように定めることはできないのである。
1と定義される場合

非負整数の指数のみを扱っている場合には、0の0乗は 1 と(しばしば暗黙に)定義されることが多い。その理由としては、以下のようなものが挙げられる。

実数 x を数直線上の線型変換とみなす場合、非負整数 n に対する実数 x の n 乗は x に対応する線型変換を n 回繰り返し作用させる線型変換に対応するから、0 の 0 乗には、自明な線型変換を 0 回作用させる線型変換である恒等変換(実数 1 に対応する)が対応すると考えたい。

上述のように、x ≠ 0 のとき x0 = 1 であるから、関数 x0 の連続性を担保する為に、x = 0 のときにも同じ式の成立を要請する(
空積も参照)。

00 = 1 と定義しておくと、種々の公式や証明で記述が煩雑になったり余計な場合分けをすることを防ぐことができる。

例えば、計算機科学者のドナルド・クヌースは、00 は 1 でなければならないと強く主張している[1]。彼によると「0x という関数は数学的意義に乏しいのに対し、x0 は様々な公式に頻繁に現れるため、こちらを基準に取る方が形式的に便利な局面が多い」という[2]。例えば、二項定理の公式 ( 1 + x ) n = ∑ k = 0 n ( n k ) x k {\displaystyle (1+x)^{n}=\sum _{k=0}^{n}{\binom {n}{k}}x^{k}}

は、(第 0 項について和の記法に例外を設けない限り)00 = 1 としたときのみ x = 0 に対して適用可能になる。同様の例として、指数関数の定義式 e x = ∑ n = 0 ∞ x n n ! {\displaystyle e^{x}=\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {x^{n}}{n!}}}

が x = 0 でも妥当であるためには 00 = 1 である必要がある。00 を定義しない文脈においては e x = 1 + ∑ n = 1 ∞ x n n ! {\displaystyle e^{x}=1+\sum _{n=1}^{\infty }{\frac {x^{n}}{n!}}}


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